国際連合総会第69セッション第4委員会での日本代表のステートメントの和訳 


2014年10月24日の国連総会第69セッション第4委員会で、議題項目48「原子放射線の影響」についてステートメントを述べた13ヶ国のリストから、午後4時21分から25分の間に口述された日本代表のステートメントを和訳した。動画へのリンクはこちら。 ちなみに、昨年のステートメントの一部はこちら


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日本代表によるステートメント
国際連合第69セッション第4委員会
議題項目48:原子放射線の影響

2014年10月24日


議長、

   まずは、国際連合第69セッション第4委員会での、特にこの重要な議題項目、「原子放射線の影響」においての、あなたの効果的な議長職に心からの謝辞を述べたいと思います。

   原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、日本が1955年以来の設立メンバー国でもありますが、電離放射線への被ばくの影響について科学的評価と報告を提供するという極めて重要な役割を果たしています。委員会の仕事は、われわれが放射線リスクを評価し、皆が恩恵を受ける放射線防護と安全基準を確立する助けとなっています。

   特に東京電力株式会社(TEPCO)の福島第一原子力発電所での2011年の事故に照らして、原子力技術の安全性に長年コミットしてきている国として、われわれは、委員会の仕事を高く評価しています。この点では、2013年4月に出版された報告書「電離放射線の線源、影響およびリスク」とその附属書「2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルと影響」を賞讃、そして感謝いたします。

   9月に、UNSCEAR委員長のカール=マグナス・ラーソン氏とそのチームが来日されました。福島で、訪問団は、最近出版された報告書についてのパグリック・ダイアログのイベントを開催されました。報告書は、他の点と共に、全体的には事故後の発がん率には変わりがないだろうと示しました。UNSCEARのこの報告書とパグリック・ダイアログは、科学的知識に基づいた知見を提供したために、歓迎されました。また、それらは、経験と学んだ教訓を国際コミュニティーと共有するにおいても役だっています。

議長、

   これらは、UNSCEARが原子力の安全性において果たしている極めて重要な役割の例のごく一部です。その重要な役割を認め、日本はこれまでも、そしてこれからもUNSCEARの活動を支援し続けます。これに関連して、今年の2月に、日本政府はUNSCEARに、全額$863,000の自主的な寄付を貢献したことを謹んでご報告いたします。

   結論として、私は、UNSCEARの重要な仕事に対する日本のコミットメントと支援が続くことを再確認したいと思います。

   議長、ありがとうございました。


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原文


Statement by Japanese Delegation 
At the Meeting of the Fourth Committee
69th Session of the United Nations General Assembly 
On agenda item 48:
Effects of atomic radiation 

24 October 2014

Mr. Chairman,

At the outset, I would like to express our sincere appreciation for your Excellency’s effective chairmanship at the Committee during the 69th session of the United Nations General Assembly, in particular under this important agenda
item “Effects of atomic radiation.”

The United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation (UNSCEAR), to which Japan has been a founding member since 1955, plays a vital role in providing scientific assessments and reports on the effects of exposure to ionizing radiation. The work of the Committee helps us evaluate radiation risk and establish radiation protection and safety standards from which we all benefit.

As a country long committed itself to the safety of nuclear technology, particularly in light of the accident of 2011 at the Tokyo Electric Power Company (TEPCO)’s Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, we highlyvalue the work of the Committee. In this regard, we commend and appreciate the publication in April of the 2013 Report “Sources, Effects and Risks of Ionizing Radiation” and its annex “Levels and effects of radiation exposure due to the nuclear accident after the 2011 great east-Japan earthquake and tsunami”. 

In September, we welcomed the visit of Mr. Carl-Magnus Larsson, Chair of UNSCEAR, and his team to Japan. In Fukushima, the visiting delegation held public dialogue events on their recent published report. The report indicated, among other points, that overall, cancer rates would remain stable following the accident. This report by UNSCEAR and their public dialogues were well received as they provided the findings based on scientific knowledge. They have also been useful in sharing the experiences and the lessons learnt with the international community.

Mr. Chairman,

These are just some of the examples of the vital role that UNSCEAR plays in the safety of nuclear energy. In recognition of their important role, Japan has and will continue to support the activities of UNSCEAR. In this context, we are pleased to inform you that in February of this year, the Government of Japan made a voluntary contribution totaling 863,000 USD to UNSCEAR.

By way of conclusion, I would like to reaffirm Japan’s continued commitment and support to the important work of UNSCEAR.

I thank you, Mr. Chairman.

甲状腺検査の偽陽性について:岡山大学・津田敏秀教授の説明「診断学の基礎知識と甲状腺がん議論の整理」(第4.41版)


(注:2014年10月31日に、現時点での最終版の第4.41版に差し替えられた)


2014年10月20日午後2時より、環境省の「第12回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が開催された。その前日の2014年10月19日午前5時00分付けで、大岩ゆり記者による朝日新聞デジタル記事『甲状腺検査の問題指摘「がんの疑い」判定、福島の子に負担 専門家会議』が公表された。この記事は、環境省会議資料のリーク記事であった。その証拠に、会議冒頭で、環境省の得津馨参事官がこのように述べている。「それから、昨日、本会議の資料の一部と思われる内容が報道され、大変失礼致しました。今後とも引き続き科学的・医学的な見地から議論を続けてございますけれども、事務局と致しましては、資料の管理等、さらに気をつけて行きたいと思っております。」(動画

この記事では、会議で公表された「中間とりまとめのたたき台」に言及しており、中でも目を引いたのは次の記述であった。1,744人が「偽陽性」だとは初耳だったからである。

『たたき台では、無症状のまま問題にならないがんを見つける可能性や、がんではないのにがんの疑いがあると判定される「偽陽性」の増加、手術で合併症が起きる可能性などの問題点も指摘。これまで検査を受けた約30万人のうち1744人が偽陽性だったと認定した。うち381人は、超音波検査などを経て、甲状腺に針を刺す検査も受けたとしている。』

そしてこの供述は、環境省事務局配布資料3「中間とりまとめに向けた論点整理等(線量評価部分以外)」の10ページ目(画像)から引用されていたようだった。




「ここで言う偽陽性 とは、がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断されることを指す。 」と定義した上で、「一次検査で B 又は C 判定とされて二次検査を受診し結果が確定した 1,848 人のうち 1,744 人が、穿刺吸引細胞診を受けた 485 人のうち 381 人が、いずれも偽陽性であったと言える(悪性ないし悪性疑いと診断されたのは 104 人)。」と述べられている。
会議中に、福島県立医科大学副学長の阿部委員がこの供述に関して異議を唱え、福島医大としては、手術後に良性だと判明した1名のみが偽陽性だと考えている、と述べた。

会議を中継していたアワープラネットTVの白石草氏によると、会議終了後、得津参事官は「公衆衛生の世界では、一次検査で異常が見つかり、最終的に異常なしは全て偽陽性というんです」とコメントされたそうだ。

しかし、「がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断される」偽陽性が381人や1,744人となると、スクリーニングのデメリットが非常に大きくなってしまうが、そもそもこのような偽陽性の定義は正しいのか?

疫学の教授である、岡山大学の津田敏秀氏に問い合わせ、その返事を簡潔にまとめた。詳細は、この下に貼付けてある、津田氏の詳細な説明のPDFファイルを参照願いたい。


”結論から言うと、いずれもあっているし、いずれも舌足らずで間違っていると言えます。試験の記述式なら、バツにするかお情けの部分点でしょう。

阿部氏が福島医大での穿刺吸引細胞診の偽陽性例のことを言っているのであれば、正解です。もちろん、何の検査での偽陽性は明示した方が良いですが、この場合言わなくても分かるでしょう。環境省資料の、「穿刺吸引細胞診を受けた485人のうち381人が偽陽性」というのは、この検査陽性が「(穿刺吸引細胞診で)がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断される」と定義されていることが間違いなので混乱の元となっています。この場合の本来の485人は、「医師により穿刺吸引細胞診が必要と判断される」と定義されるからです。穿刺細胞診の話であれば、381人は偽陽性ではなく単なる陰性です。(下記の「診断学の基礎知識と甲状腺癌議論の整理」p. 11の表5の③を参照)穿刺吸引細胞診で陽性とされた者のうち「がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断される」が検査陽性の定義であれば、偽陽性は正しくは阿部氏が言うように1人です(p.11の表5の③とp.12の表5の④を参照)。診断学の基礎として学ぶ、偽陽性というのは、検査毎に出てきます。偽陽性をどの検査について問題にしているのかを定義することが必要です。原則的に、1つの検査に感度と特異度があり、それぞれの検査に対して偽陽性例などを論じる必要があります。

隠されていた情報:ハンフォードでの何十年にもわたる欺瞞


”Decades of deception at Hanford”(「ハンフォードでの何十年にもわたる欺瞞」)は、ワシントン州シアトルのTV局、KING5のサイトに、2014年6月23日に掲載されたインベスティゲティブ・リポートである。一読してその重要性に感銘を受け、ただちに和訳を開始した。しかし、諸事情により、半分以上終えた所で中断したままになっていた。数日前に、残りの和訳をやってしまおうと、元記事に引用されていた関連文書を確認しに行ったら、記事そのものが削除されていた。(URLはこれである⇒http://www.king5.com/news/investigators/Decades-of-deception-at-Hanford-264328171.html)(アーカイヴはこちら

幸い、記事本文はコピーしてあったが、非常に残念なことに、引用されていた重要関連文書はダウンロードしておらず、記事が転載されているサイトの記事内のリンクもデッドリンクとなっていた。

ニュース記事の筆者は、KING5のチーフ・インベスティゲティブ・リポーターSusannah Frame氏である。




彼女がこの記事内容をリポートしているニュース動画(英語)はこちらである。



ここでは、削除されている記事の完全和訳を、この動画内の該当部分のスクリーンショットと共に紹介する。


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ハンフォードでの何十年にもわたる欺瞞



ハンフォードサイトで毒性化学物質、あるいは放射性物質に曝露される作業員は、サイト内の診療所で直ちに処置を受けることができ、またそこでは通常の健診を受ける事もできる。この診療所は、これまで様々な民間会社によって運営されてきたが、全米で最も汚染されているサイトをクリーンアップする責任を持つ全作業員にとって、重要なリソースである。



しかし、「KING5 インベスティゲーター」によると、診療所を受診する作業員は、必ずしも毒性化学物質の影響についての真実を知らされるわけではないことが分かった。これは、1940年代のプルトニウム製造の初期の頃にさかのぼる欺瞞のパターンである。

ハンフォードで24年間勤務したベテランであるドン・スラウ氏のケースは、エネルギー省から雇われている医療供給者がどのようにして作業員から重要な情報を隠してきたか、という例である。



スラウ氏は健康物理学技術者で組合の安全委員でもあるが、作業中に2度、有毒な蒸気の曝露を受けたことがある。スラウ氏は、1996年に起こった最初の曝露の時には、立っていることもできなかったと述べた。

「要するに、化学物質に圧倒されたのです。そして、同僚がその場から引きずって移動させてくれたのを覚えています」とスラウ氏は最近のインタビューで述べた。


スラウ氏は、サイト内の診療所に連れて行かれたが、診療所のスタッフは、後に、その曝露による長期的な影響はなかったと説明した。

「この蒸気の吸入により私の肺にいくつかの点ができたと決定はされましたが、その当時は、大丈夫だと言われました」とスラウ氏は述べた。


しかし、スラウ氏は大丈夫ではなかった。吸入した化学物質のせいで、反応性気道疾患という不治の肺の病気になっていた。現在、スラウ氏の肺機能は50%しか残されておらず、就寝時には酸素吸入が必要である。



「酸素ボンベなしにはどこにも行けません」とスラウ氏は述べた。

スラウ氏は、ずっと後まで、自分が曝露を受けた蒸気が、体に永久的な損傷を与えたことを知らなかった。しかし、サイト内の診療所は知っていたが、その事を10年間隠していた。

スラウ氏は、シアトルのハーバービュー・メディカルセンターの医師が自分の医療カルテを見直すまで、自分の病状がどれほど酷いのかを知らなかった。


スラウ氏のケースに関する2005年のカルテ記述で、当時ハーバービューの職業・環境医学部の部長だったジョーダン・ファイヤーストーン医師は、「当時(1996年)、彼(スラウ氏)は、最初の曝露の後の(肺への)残存影響について認識していなかった。しかし、後述のように、後の職業検診時に、ハンフォードサイトのメディカルディレクターによって、(業務に戻るための)呼吸器機能のメディカルクリアランス(訳註:医師による健康状態の確認)のための肺活量測定(呼吸検査)が行われた所、ちょうどその頃に、彼の肺活量測定値が悪化した(肺疾患を示した)ことが明らかである。」

「私は、この医師らが責務を果たさなかったと感じます。(医師としての)誓いを破ったのです」とスラウ氏は述べた。「慢性の肺感染症や気管支炎を患っていた間ずっと、何が起こっているのか全然分かりませんでした。裏切られた気持ちです。これは冗談のようです。でたらめです」

作業員はまだ危険にさらされている

今年の3月中旬以来、37人のハンフォード作業員が、核廃棄物入りの巨大タンクから漏れた化学物質の蒸気に曝露された後で、サイト内の診療所、あるいはリッチランド市の最寄りの病院へ送られた。



政府の調査では、タンク内には、第二次世界大戦と冷戦時代のプルトニウム生産という汚染業務の残物である、約2,000の有害化学物質が見つかっている。




ハンフォードサイトの原子炉のウラン燃料棒を溶かすために苛性化学物質が使われ、そして少量のプルトニウムが溶かされた燃料から取り除かれたのである。




このプロセスから生じた廃棄物は、177のタンクに入れられた。それから何十年も経った今、この廃棄物は極めて有毒なままであり、技術が発達して永久廃棄が可能になるまで、有毒でありつづけるだろう。この廃棄物は、放射性崩壊による放射能を帯び、不規則な間隔で有毒な蒸気を発生する。特別なフィルターのおかげで放射能はタンクから漏れないが、有毒ガスが漏れ、何にも止められずことなく、タンクファームの周囲の大気中に拡散するのである。


情報は最初から隠されていた

プルトニウム生産プロセスによる危険は最初から知られていた。しかし、文書によると、連邦当局は、作業員を心配させて生産を遅らせることへの懸念から、安全リスクを過小評価するように勧められた。

1948年に書かれたとあるメモでは、もしも作業員らが自分らの安全を「疑うかなりの理由」があると知ったら、「士気を打ち砕くような影響」があるかもしれないと言う事で、ある放射線影響の研究を秘密にすることを主任らに促していた。もしも研究が公表されたら、従業者らが「特別危険手当」を要求し、全作業員の間の恐怖が政府に対しての「苦情の数を増やす」可能性があるとメモに述べられていた。

「士気を打ち砕くような影響」

「疑うかなりの理由」

「特別危険手当」「苦情の数を増やす」

1947年に書かれたまた別のメモは、主任らが健康リスクについての文書を改ざんすることを推奨していた。(メモの)著者は、政府に対しての「苦情を奨励する」可能性を持つ情報は、「言い回しを変えるか削除すべきである」と述べていた。


もっと最近では、ハンフォードサイトでの毒性物質への少量の曝露でさえも癌や他のを引き起こす可能性があると警告した1997年の科学研究論文が、政府によって隠されていた。その研究論文は、米国エネルギー省下請け業者によって運営されている、リッチランド市パシフィック・ノースウェスト国立研究所の科学者らによって執筆されたものだった。

放射性廃棄物政策に関する元大統領顧問のボブ・アルバレズ氏は、この1997年の研究論文は、自分の元に届けられ、そして作業員らと共有されるべきだったと述べた。1997年当時、アルバレズ氏は、エネルギー省本部のシニア職員としてハンフォード問題に直接取り組んでいた。


「我々は、この研究論文について何も知りませんでした。隠されていたのです。」とアルバレズ氏は述べた。「(前略)これらの有毒な蒸気への曝露の結果、作業員らの潜在的な疾患のリスクが驚くほど高くなると述べている研究論文があるということは、今やっていることをすべてを中断してこの問題を直さなければいけない、という本当に強いシグナルのようなものです。」

エネルギー省は、研究結果が公表されなかった理由は、他の科学者が研究に欠点があることを見つけたからだと述べている。「報告書の利点を考えたとしても、概念と過程における重大なエラーがあるため、その価値が疑わしくなってしまう。」と、メルビン・ファースト氏は、ハーバード大公衆衛生学部のレターヘッドに記述した。KINGは、ファースト氏が随分前にハーバード大から退職しており、パネルの他のメンバーの中でもハーバード大と関連を持つ人はいなかったことを突き止めた。また、ファースト氏は、タバコ業界での雇われ人としても知られており、受動喫煙が無害であるという記事を書いたこともある。

作業員らは、化学物質の測定値が高いことを知らされていなかった

長年の間、ハンフォードの放射性廃棄物の処理を任された下請業者は、作業員らに、化学物質の蒸気が突然放出されるのは避けられないが、放出された蒸気に含まれている毒性物質はごくわずかであり、「許容曝露限度よりずっと少ない」と言って安心させてきた。



しかし、KING5は、2005年から2009年の蒸気の測定データを入手したが、そこには、蒸気内の危険な化学物質の濃度が曝露限度よりずっと高いことが示されていた。


その期間中、脳損傷の原因となる可能性を持つ毒性金属である水銀は、

* 2009年に、作業曝露限度を473%超えていた。 
* 2006年に、作業曝露限度を342%超えていた。
* 2006年に、作業曝露限度を223%超えていた。

肺への損傷と緑内障の原因となる可能性を持つアンモニアは、

* 2005年に、作業曝露限度を1,856%超えていた。
* 2005年に、作業曝露限度を1,595%超えていた。 
* 2005年に、作業曝露限度を643%超えていた。

そして、発癌物質であることが知られているジメチルニトロソアミンは、

* 2005年に、作業曝露限度を3,731%超えていた。
* 2006年に、作業曝露限度を4,880%超えていた。 
* 2006年に、作業曝露限度を13,866%超えていた。

ハンフォード・サイトで26年間勤務した後に2013年に退職したマイク・ゲフリー氏は、このような数値は見た事ない、と述べた。




「なんてこった!私は、この測定日に、これらのタンクファームで作業をしていました。ここに出て来るタンクファームの測定日に、ひとつのこらず、そのタンクファームで作業をしていました。」と驚愕した。「『一体誰が、この情報を手にしていたのに作業員から隠していたのか?』と、ただひたすら考えています。」とゲフリーは述べた。



「誰かがこの情報を見て、作業員に知らせないでおこうと決めました。その人は、牢屋にぶちこまれるべきです。いいですか?作業員には話さないでおこうと決めた人物は、文字通り、犯罪者として裁かれるべきです。」とゲフリ氏ーは述べた。



政府からの返答

月曜日の午後、エネルギー省のメディア担当者が、KING 5 に、測定値について、そして測定値が作業員と共有されなかった事実についての文書を送って来た。




「KINGがエネルギー省への質問内で引用した統計は、作業員への曝露の可能性を持つレベルを表しているのではなく、タンクのヘッドスペースや排気筒内のように、作業員にはアクセスできないエリア内でのレベルである。このエリアに近接して作業が行われる場合、事前に、曝露の可能性を低減するための詳細な計画が立てられ、作業員の防護のために個人防護装備一式の使用が考慮される。

2005年以降、59,700以上の個人の検体および、作業員が実際に曝露を受ける可能性があるエリアの検体が採取されてきたが、作業曝露限度(OELs)を超えたものはない。この検体採取プロセスは、米国内で適用される業界の標準と同じものである。さらに、タンクファームの作業曝露限度は、学術界と政府の専門委員会が行った、詳細な毒性学研究に基づいている。」

しかし、長年の間ハンフォードで作業に従事してきて、サイトでの大気サンプリングについて何十年もの専門的知識を持つ人物は、実際、その測定値は作業員へのリスクを示している、と述べた。

「『ソース』内でこのような測定値が存在すること自体、これらの同様の化学物質が、作業員が呼吸するエリアに存在する絶対的な可能性があるということを意味する。このレベルが作業曝露限度より少ないとエネ省が言うのは間違ってはいないが、一度の検体採取で測定された数値が、最悪のシナリオを代表すると言う仮定はできない。別の検体採取で、これと同じ化学物質や蒸気でもっと高い数値が見られるかもしれない。」と、その専門家は述べたが、仕返しを恐れて匿名を希望した。

ドン・スラウ氏は、作業から肺へのダメージを受けたにも関わらず、まだハンフォードで雇用されているが、タンクファームで作業していた際、化学物質のガスの危険性について聞いた覚えがないと言う。




スラウ氏の妻ヴァーナさんは、スラウ氏のような作業員が、危険の可能性を知らされずに作業場に送り出されていたのは不公正である、と言う。



「何も知らない人を作業場に送り出すのは不公正です。」とヴァーナさんは述べた。「そのようなエリアで作業をすることがどれほど危険なのかと言う情報を入手する必要があります。」

ヴァーナ・スラウさんは、「ハンフォード関係者は、作業員が人間であることを考える必要があります。そして、作業員にどんな影響を与えているのかを考える必要があります。お金でなく、人間のことを考える必用があります。」と付け加えた。

ドン・スラウ氏は、ハンフォードでの作業による体調の悪化後、他の作業員の代弁者となった。スラウは、現在、サイトの安全委員である。「他の人が自分のような経験をするのを見たくないですが、しかし、残念なことに、もっと多くの人の体調が悪くなってきています」とスラウ氏は述べた。



山下俊一氏「将来像の考察」


告知もほとんどなく、2014年7月25−27日に、ほぼ非公開の形で開催された、「第2回 福島県立医科大学・IAEA国際学術会議」の資料が、「ふくしま国際医療科学センター 放射線医学県民健康管理調査」の英語サイトに掲載されていた。久し振りの山下俊一氏の英語講演から、少し紹介する。(全体の書き起こし和訳は、時間の都合で断念)
ちなみに、この資料は、日本語のサイトでは紹介されていない。学術会議に関しては、首相官邸災害対策ページの、「原子力災害専門家グループからのコメント:第六十九回 福島原発事故後の国際協力支援―国境を越えた被災者同士の絆―(平成26年9月10日) 佐々木 康人」という記事で少し紹介されている。



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第2回 福島県立医科大学・IAEA国際学術会議
講演者動画・資料

第3日 2014 年 7 月 27 日(日)

「将来像の考察」 山下俊一 長崎大学  英語動画 日本語同時通訳動画


山下氏の講演パワーポイントスライドのいくつかの和訳


福島医科大学・IAEA学術会議「放射線、健康と社会
医学職業教育にとっての福島事故後の含意
20131121−24
  • 1日目:リスクコミュニケーションについての講演
  • 2日目:精神衛生についての講演
  • 3日目:医学放射線教育とSTS(科学技術社会論)
  • 4日目:精神衛生とリスクコミュニケーション



サマリー1:放射線と健康(山下氏が201311月当時に書いたもの)

  • 多次元的で複雑な311災害は、現存する社会においての人命の価値に対する感じ方や、公衆のリスクに対する自覚や認識などの、既存の問題および潜在性を持つ新たな問題を変える可能性がある。
  • STS(科学技術社会論)の医学教育カリキュラムを含む、医学教育の改革が重要な問題となる。
  • 放射線リスクについて互いにコミュニケーションを取り、社会的信頼および個人的信頼度を得るための、共通の言語が必要である。
  • 原子力事故を含む複合災害の複雑さを処理するための人材の訓練と開発も、また必要である。



サマリー2:健康(リスク)と社会について
  • STSの重要性について実りの多い議論や相互理解があったにも関わらず、われわれはまだ、人の命全体の、様々なそして多次元的側面を理解し、信頼できる対策を実施する混乱の真っただ中にいる。「群盲象を評す」である。
  • 普遍的なアドバイスに従う必要がある。「正直さは最善の方策である」(福島県出身の野口ヒデオ博士の言葉)
  • IAEAと福島医科大学は、現在、主要な専門家と海外と国内の関連研究機関と協力し、放射線教育と精神ケアとリスクコミュニケーションの新たなパラダイムシフトを確立するための分岐点に立っている。


科学のコミュニケーション
  • 科学の理解:放射線生物学・化学・物理学・規制など
  • 科学者の役割(専門家)
  • 教育者の役割
  • 科学翻訳者と科学通訳者
  • 危機、危機後と平時という、災害サイクルの様々な段階での
    リスクコミュニケーション

この福島医大・IAEA学術会議の結果は、特に、
統合されたSTS概念の導入および、
STSの医学教育カリキュラムへの多次元的な履行への挑戦において
福島事故後の復興の医学と医療システムにとっての
マイルストーン(画期的な出来事)となるだろう。


日本学術会議を通して推奨


山下俊一氏の講演より、興味深い供述を書き起こし和訳


山下氏:「群盲象を評す」という言葉がある。これが我々の状況である。その意味は、我々はいつも正直になる、である。正直さは、信頼を得るために重要な鍵である。(「正直な」は、多分信頼を得るために発行された、とても重要な鍵である。)ここで良い例を挙げる。それは、ここ福島の主要な科学者である。名前はノグチ・ヒデオ博士。だから、ノグチ博士の特別な言葉を学んでほしい。「正直さは最善の方策である」
(英語原文書き起こし:This is our situation. It means we always become honest. Honest is a very important key issued, probably to get trust. So we have the good exampled, and the leading scientist here in Fukushima. The name is Dr. Hideo Noguchi. So, please learn his special word, “Honesty is best policy.”)

(訳注:ノグチ・ヒデオ博士とは、野口英世博士のことだと思われる)
 
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山下俊一氏の〆の言葉の大意:福島医科大学のスローガンは、「福島の悲劇を福島の奇跡に変えよう!」と「健康と医科学研究で、ふくしまから一緒にはじめよう。」である。最終ゴールは、福島県を日本一の長寿県に変えること。この事業をどのようにして継続するか。チェム氏は8月でIAEAから退職する。日本政府は3年間の資金援助を約束しているが、それも来年で終わる。どうか、ボランティアとして、継続して福島を支援しに来てほしい。(と、会場に訴える)


「スリーマイル島物語:住民の証言」by アイリーン・美緒子・スミス


アイリーン・美緒子・スミスさんによる、スリーマイル島事故後の周辺住民のインタビュー。
1979年3月28日に起こった、米国ペンシルバニア州スリーマイル島原子力発電所事故後、1988年までの間に250人の周辺住民に行われたインタビューを元にし、隔月雑誌「80年代」に1987−1989年に掲載された記事集PDF。(アイリーンさんを通して、出版社からネット掲載許可を得ている)
英語原文は、スリーマイル島事故の10周年の1989年にアイリーン・美緒子・スミスさんにより執筆された記事で、日本語記事には、フォーマットは異なるものの、英語記事に出て来るインタビューがすべて収録されている。

2014年8月6日 朝日新聞 福島版記事の書き出し:環境省会議への申し入れ、座長解任要請

2014年8月6日 朝日新聞 福島版記事(書き出し)



被災者の意見聴取 超党派議連求める 原発事故専門家会議に

超党派の国会議員でつくる「子ども・被災者支援議員連盟」(会長・荒井聰元国家戦略相)は、政府の「福島原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の運営に対し、「被災者当事者からの事情聴取(ヒアリング)」など6項目を申し入れた。

会議は「被曝を避ける権利」を求めて超党派で成立した子ども・被災者支援法により設置。安倍晋三首相と石原伸晃環境相への申し入れは、同法に規定されている「被災者の意見の反映が実現していない、と批判。外部専門家が会議で表明した①被曝の健康影響には安全値はない、との国際的合意を基礎とする②住民の健康管理は国の直轄事業にする③健康調査は福島県外の汚染度の強い地域でも継続的に行い、甲状腺がん以外の幅広い疾病に対応する④甲状腺がんの多発に備えて対策を検討するーーことを求めている。

一方、会議の傍聴を続けてきた被災者らの市民団体も5日、長瀧重信座長(長崎大学名誉教授)の解任を求める要請書を提出した。「被曝量が小さいから健康調査の拡大は必要ないなどと法の趣旨に反する会議運営をしている」と批判している。

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「子ども・被災者支援議員連盟」の申し入れの内容(転載元はこちら

201484
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
環境大臣 石原 伸晃 殿
子ども・被災者支援議員連盟 会長 荒井聰
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する
専門家会議」に関する申し入れ
かねてより当議連および多くの市民、自治体が、原発事故子ども・被災者支援法132項・3項に定める健診や医療費の減免措置について、その幅広い実施を求め、意見書や要望の形で政府に提出してきました。しかし、同法に基づき基本方針においては、「新たに有識者会議を開催し、今後の支援の在り方を検討」することとされました。
この結果設置された環境省が主催する「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下専門家会議)においては、 これまで被ばく線量の評価に関する限定的な議論がなされてきたにとどまり、当議連が要望してきた被災当事者からのヒアリングは実現していません。一方、当 議連の推薦を受けてヒアリングに参加した外部有識者からは、これまでの専門家会議の議論に対して、厳しい意見が表明されています。
そこで当議連は、政府に対し以下の通り申し入れます。
専門家会議における報告のとりまとめを行う前に、原発事故子ども・被災者支援法14条に基づき、被災者からのヒアリングを実施するとともに、とりまとめ案についてパブリックコメントを行うこと。
当議連推薦の専門家が専門家会議で表明した下記の意見につき、十分な検討を行い、とりまとめに反映すること。
Ø  被ばくの健康影響には閾値がないという国際的合意を基礎とすべき
(崎山比早子氏、津田敏秀氏)
Ø  原発事故による住民の健康管理は国の直轄事業と位置づけるべき
(木田光一氏)
Ø  健康管理調査は、福島県及び福島県外の汚染の比較的強い地域において継続的に長期間続けるべき(木村真三氏、菅谷昭氏)
Ø  甲状腺癌にのみ対応した健診ではなく、幅広い疾病に対応したものであるべき(菅谷昭氏)
Ø  県内各地域の比較においても甲状腺がんの多発が観測されていることを前提に今後の対策を検討すべき(津田敏秀氏)

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市民団体(”関東ネット”)の長瀧座長解任と会議の進め方見直しの要請(崎山比早子氏の私信メールより文書を入手)


2014年8月5日
井上信治環境副大臣殿
浮島智子環境政務官殿

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う
住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
座長解任と進め方見直しの要請

 かねてより、多くの被災者・支援者や自治体が「子ども・被災者支援法」(以下略して支援法)132項・3項に定める健診や医療費の減免措置などの健康支援を、汚染状況重点地域など幅広い地域で実施することを求めてきました。
 政府は、こうした強い要望に対して、専門家会議を設置して検討するとしました。本専門家会議は、このような経緯で設置されたのです。

しかし、専門家会議では、現在まで被ばく線量の評価に関する限定的な議論がなされてきたにとどまり、健診のあり方や医療費の減免などについてはほとんど議論されていません。長瀧重信座長の強引な委員会運営により、警鐘を鳴らす外部専門家の意見は無視され、「被ばく量が小さいため、健診の拡大は必要ない」という結論ありきの会議運営が進められています。「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に未解明(支援法第一条)」であるにも関らず、現状の把握より、限られた国際機関の知見のみを採用し、結論を導こうとする会議の進め方は改めるべきです。

長瀧重信座長は、6月26日に開催された第7回会合において、「被災者支援法が成立した時代とは違う。」と、同会議の設置の背景になっている同法を否定する発言をされました。さらに、7月16日に開催された第8回会合では「この会議でがんが増えているということが結論になると大変」など、科学的根拠のない一方的な見方を示した上で、「誰が被ばくしているのか」となどと、原発事故によって今なお被曝を強いられている被災者の心情を踏みにじる言葉を口にしました。

 原発事故に伴う子どもの「健康診断」については、2013年9月に、復興庁が者支援法の基本方針を策定するにあたり実施したパブリックコメントにおいて、1200にものぼる意見が寄せられ、要望が最も強かった項目です。支援法第十四条には「被災者の意見を反映」するよう定められているにもかかわらず長瀧座長の一方的な議事進行や発言は、法の理念や被災者の声をないがしろにしており、キタイを裏切られた思いで、容認致しかねます。

 様々な専門家の視点や意見をしっかり受け止め、偏りの無い公正な議事進行ができる方に会議を運営して頂きたく思います。
 以下、要望します。

  1. 長瀧座長を即座に解任してください。
  2. 「子ども被災者支援法」の趣旨に則った会議を実施してください。
 
<賛同団体>38団体

<個人賛同>31

220人の手術症例とこれまで報告されてきた臨床データについて

   2024年11月12日に開催された 第53回「県民健康調査」検討委員会 (以下、検討委員会)および3日後に開催された 第23回「県民健康調査」検討委員会「甲状腺検査評価部会」 (以下、評価部会)で、 220例の手術症例 について報告された。これは、同情報が 論文 として20...