ドイツTV動画「なぜ福島災害は無害化されているか」 ドイツIPPNW公式日本語字幕動画のナレーションの書き起こし(英語・日本語併記)


2013101日ドイツのテレビ局3sat"nano"という番組で放映された、フクシマ原子力事故の健康影響が過小評価されていることに関する動画。ドイツIPPNWの理事会員である小児科医のアレックス・ローゼン医師は、UNSCEAR2013年フクシマ報告書論評(論評の和訳はこちら。論評の概要の和訳はこちら)を手がけた人物の1人だが、ドイツではUNSCEAR報告書への関心が強く、ローゼン医師へも早々とインタビューの依頼が来ていたと聞いている。

既に日本字幕付きバージョンも出回っているが、ローゼン医師自身によるドイツ語ナレーションの英訳の和訳が日本語字幕となっている、ドイツIPPNW公式版を紹介する。また、ナレーション書き起こしの英訳と和訳を下記に書き起こしとして掲載した。

インタビューされた人達。
アレックス・ローゼン、小児科医、IPPNWドイツ支部
ヴォルフガング・ホフマン、疫学研究者、グライフスヴァルト大学
マーク・モリトール、ベルギーTVのジャーナリスト、UNSCEARベルギー代表についての記事の著者(その記事の和訳はこちら
キース・ベイヴァーストック、放射線生物学者、元WHOの放射線リスク研究部門の部長

3sat nano: Warum die Katastrophe von Fukushima verharmlost wird

(3sat "nano" なぜ福島災害は無害化されているか)




ナレーション書き起こし

While contaminated water flows into the ocean near Fukushima and experts anticipate that the removal of the three melted fuel cores would not be finished for at least 40 years, good news seem to appear for a change.
汚染水がフクシマ近海に流出し、溶融した3つの燃料炉心の除去が最低40年間は終わらないと言われる中、趣向を変えて、朗報が出て来たようだ。

The harbinger of these good news was Wolfgang Weiss, the representative of the German UNSCEAR delegation. 
この朗報のメッセンジャーは、UNSCEARドイツ代表団団長のヴォルフガング・ヴァイス氏だった。

UNSCEAR is the United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation.
UNSCEARは原子放射線の影響に関する国連科学委員会である。

"Statistically, we do not see any direct risks or health effects for the Japanese public due to Fukushima."
「フクシマ事故に起因する、日本国民への直接のリスクや健康影響は、統計学的に現れていない。」

Regrettable, none at UNSCEAR wanted to talk to us – appearently for good reasons...
残念ながらUNSCEARのどの委員も我々の取材に応じなかったが、それには良い理由があるようだ・・・

(Dr. Alex Rosen, German IPPNW)
(アレックス・ローゼン医師、IPPNWドイツ支部)

"We are very critical of the UNSCEAR report, due to be released in October, of which we have a draft copy, because we see it as an attempt to downplay the effects of Fukushima."
「我々の手元には、10月に発表される予定のUNSCEAR報告書の暫定報告書がありますが、フクシマの影響を過小に見せようとしていると思われるため、我々は非常に批判的です。」

The physician Dr. Alex Rosen has been studying the health effect of radiation on children and future generations for a long time and is a board member of the German section of the International Physicians for the Prevention of Nuclear War (IPPNW).
アレックス・ローゼン医師は、小児と将来の世代への放射線による健康影響を長年研究しており、核戦争防止国際医師会議(IPPNWドイツ支部の役員である。

(Dr. Alex Rosen, German IPPNW)
(アレックス・ローゼン医師、IPPNWドイツ支部)

"Despite better knowledge, the Japanese government refused to distribute stable iodine tablets to children in order to avoid mass panic. 
「日本政府は知識があるにも関わらず、集団パニックを避けるために、子供達に安定ヨウ素剤を配布することを拒否しました。

We know that children who are exposed to radioactive iodine have a greater risk of developing thyroid cancer. 
放射性ヨウ素に被ばくした子供は、甲状腺癌になる確率が高いことがわかっています。

And we already have a higher number of thyroid cancers in children than expected."
そして、既に、予期されたより多くの小児甲状腺癌が見つかっています。」

Mass screening in Fukushima children revealed a high number of thyroid abnormalities.
福島県の子供達の集団スクリーニングでは、甲状腺異常が多く発見された。

“Mass screening just detects more cases” is the official explanation. So can all these cases be explained by mere statistics? 
「集団スクリーニングを実施すれば、より多くの症例が見つかるものだ。」というのが公式見解である。

So can all these cases be explained by mere statistics? 
それでは、これらの症例全部が、統計学だけで説明がつくのだろうか?

According to Dr. Rosen, the UNSCEAR report is based on several faulty assumptions.
ローゼン医師によると、UNSCEAR報告書は、いくつかの誤った仮定に基づいている。

(Dr. Alex Rosen, German IPPNW)
(アレックス・ローゼン医師、IPPNWドイツ支部)

"For example, they insist that the unborn child has the same level of vulnerability to radiation as a small child. 
「例えば、胎内の子供の放射線感受性は、幼い子供と同等だと主張されています。

This, however, goes against basic radiation biology. 
しかしこれは、基本的な放射線生物学に反しています。

Of course, the unborn child has a much higher sensitivity to radiation. 
当然のことながら、胎内の子供の放射線感受性は、はるかに高いのです。

The high rate of tissue growth and mitosis leads to more pronounced effects of radiation and to more mutations.
体組織の発達や細胞分裂のスピードが高いため、放射線被ばくへの影響が大きく、突然変異をより起こしやすいのです。」

We meet the epidemiologist Dr. Wolfgang Hoffman of the University of Greifswald. 
グライフスヴァルト大学の疫学者ヴォルフガング・ホフマン博士に会いに行った。

As an expert, he also has doubts about the UNSCEAR report and draws parallels to past cover-ups, such as the case of Chernobyl.
彼も、専門家としてUNSCEAR報告書に疑問を持っており、チェルノブイリ事故のような過去の隠蔽と比較している。


(Dr. Wolfgang Hoffman, University of Greifswald)
(ヴォルフガング・ホフマン博士、グライフスヴァルト大学 )

"To make a prognosis about future developments at this point is not serious science, especially when the report says that there will be no risk. 
「現時点で今後の展開を予測するのは、特に報告書が被害が出ないだろうと述べるのは、真面目な科学とは言えません。

This is obviously not the case.
これは明らかに事実と異なります。

There will certainly be a higher cancer incidence."
癌の発症率は確実に高くなるでしょう。」

Dr. Hoffman knows the possible consequences of the UNSCEAR report: Critics can be accused of raising panic - and potential compensation lawsuits can be prevented in advance.
ホフマン博士は、UNSCEAR報告書の効果がどういうもので有り得るかを知っている。批判する者はパニックを煽ると非難される。そして、起こり得る補償訴訟もあらかじめ回避することが出来る。

(Dr. Wolfgang Hoffman, University of Greifswald)
(ヴォルフガング・ホフマン博士、グライフスヴァルト大学 )

"We should not underestimate the tremendous pressure that is being exerted on this committee from various sides.
UNSCEAR委員会に様々な分野からかかっている多大な圧力を過小評価するべきではありません。

And, of course, critically thinking experts would never have a chance to be accepted in this body in the first place.
そしてもちろん、批判的な専門家は最初からこの委員会に受け入れられることはありません。」

(Dr. Alex Rosen, German IPPNW)
(アレックス・ローゼン医師、IPPNWドイツ支部)

"Many of the UNSCEAR members have had careers in nuclear agencies and regulatory bodies in various countries, in the International Atomic Energy Agency (IAEA), an organization who sees its purpose in the worldwide promotion of nuclear energy, or even in nuclear energy companies that make their money building and operating nuclear power plants."
UNSCEARメンバーの多くは、様々な国の原子力機関および規制機関、原子力エネルギーを世界に推進することを目的に掲げている機関であるIAEA(国際原子力機関)、あるいは原子力発電所の建設と運営で利益を得ている原子力会社においてさえ、勤務経験があります。」

So have we let the foxes guard the henhouse? 
これは、“ネコにかつお節の番をさせている“ということか?

Or are German physicians simply smarter than 72 international experts who stand behind the report unanimously?
それとも報告書を全会一致で支持する72人の国際的な専門家よりも、ドイツの医師の方が賢いだけなのか?

But appearantly, the support was not as unanimous as it may seem. 
しかし、実は、全会一致の支持というわけでもなかったようだ。

We discover a news story that the Belgian delegation initially refused to sign the report.
UNSCEARベルギー代表が当初、報告書にサインするのを拒否したと言う新聞記事を発見した。

So was there an internal conflict within UNSCEAR? 
では、UNSCEAR内で内紛があったのだろうか?

We pose this question to the head of the Belgian delegation, Dr. Hans Vanmarcke, but he declined to provide us with information.
ベルギー代表団団長のハンス・ファン=マルケ博士に尋ねてみたが、情報を提供してもらえなかった。

 So instead, we contact the journalist responsible for the article by video conference.
そこで代わりに、記事を書いたジャーナリストに、ビデオ会議でコンタクトを取った。

(Marc Molitor, Belgian TV)
(マルク・モリトール/ ベルギーTV)

"Members of the delegation told me that the report was written in such a way as to downplay the consequences of the catastrophe. 
「報告書はフクシマ事故を影響を小さく見せるために書かれたのだと、代表団のメンバーが私に話してくれました。

And that they acted as if the experiences and studies of Chernobyl simply did not exist. 
そして、チェルノブイリでの経験や研究が単に存在しなかったかのように振る舞ったということでした。

They fought over this.”
これについて、論争があったのです。」

This goes very well together with another fact: a large part of the data on which the report is based came from the World Health Organization (WHO). 
これはまた別の事実とも一致する。
報告書のベースとなったデータの大部分は、世界健康機構(WHO)から来ている。

A 50-year old gag order by the IAEA prevents the WHO from unrestricted reporting on radiation-related health risks.
しかし50年前のIAEAによる箝口令のために、WHOは放射線関連の健康リスクについて自由に報告することができないのだ。

(Dr. Alex Rosen, German IPPNW)
(アレックス・ローゼン医師、IPPNWドイツ支部)

"There is no department in the WHO that deals with the health effects of radiation. 
WHOには放射線による健康影響を調査する部署はありません。

On this field, the WHO relies solely on the knowledge and expertise of the IAEA."
この分野に関してWHOは、IAEAの知識と専門的経験のみに頼っているのです。」

However, such a department did exist in the past: The British radiation biologist Keith Baverstock directed a team of WHO researchers investigating radiation risks. 
しかし、そのような部署はかつては存在した。
英国の放射線生物学者キース・ベイヴァーストック氏は、放射線リスクを調査するWHO研究者チームの指揮を取っていた。

In 2001, the department was closed without a reason, and Baverstock, who is currently doing research in Finland, was transferred. 
2001年に、部署は理由なしに閉鎖され、現在フィンランドで研究をしているベイヴァーストック氏は、転任させられた。

We are able to contact him through a video call.
彼とビデオ電話でコンタクトを取ることができた。

(Dr. Keith Baverstock, Finland)
(キース・ベイヴァーストック博士、フィンランド)

"The IAEA was not very happy with the findings of my program. 
IAEAは、私が指揮を取っていた研究プログラムの調査結果が気に入らなかったのです。

It was, if I may say so, not controlled by the WHO headquarter in Geneva, as our office was independent and free standing. 
研究プログラムは、言って見れば、私達の事務所がジュネーヴのWHO本部から独立して分かれていたため、WHO本部にコントロールされていませんでした。

Generally speaking, the WHO had little control over what we published, and I think they were unhappy about that."
一般的に、WHOは我々の研究結果をコントロールできなかったため、IAEAには気に入らなかったのだと思います。」

Prevented research?
妨害された研究?

Experts with conflicts of interest?
利益相反を持つ専門家達?

Downplaying of the catastrophe?
大惨事がそれほど重大でないと主張する?

Just like in Chernobyl...
チェルノブイリの時と同じだ・・・

Apparently, the lessons were not learned.
明らかに、教訓を何も学ばなかった。

Or... there was no will to do so.
あるいは・・・学ぶつもりがなかったのだ。
    

和訳:Yuri Hiranuma
和訳校正:

(2013年11月20日に、動画を、ドイツIPPNW公式英語字幕版から、ドイツIPPNW公式日本語字幕版に差し替えた。)




福島県の公園では、1時間しか遊べない


福島市から京都に自主避難した女性、Akemiさんが、2013年3月に帰省した際に、福島市の実家の近所で撮った画像を紹介する。


看板の内容
公園を利用する皆さんへ
環境放射線の影響により、公園利用にあたっては次の点に留意してください。

  • 公園の利用は、1日あたり、1時間程度としてください。
  • 公園の利用後は、手や顔を洗い、うがいをしてください。
  • 土や砂を口に入れないよう注意してください。

(問い合わせ先)福島市公園緑地課 TEL 525-3765


これが、その公園である。Akemiさんの実家周辺の3つの公園に、同じ看板が立っていたそうだ。砂場には、ブルーシートがかかっており、重しがしてある。実は、この公園は、緑地帯公園だったそうだ。Akemiさんは、先に息子さんを京都に避難させていたのだが、2012年8月に1週間ほど京都へ行っていた間に、除染作業の一環なのか、その緑地帯公園が普通の公園に変身していたそうだ。Akemiさんによると、毎朝この公園を突っ切って登校しているこどもがいるそうだ。


少し違う角度から撮られた画像では、左上に工事用のショベルカーが見える。



さらに別のアングルからの画像では、公園の上の方に工事現場があるらしいのが分かる。実は、ここに家が建つそうである。


Akemiさんがその工事現場に近づいて撮った画像。ラデックスでは、0.52 μSv/hと表示されている。


除染後には、’どの公園でも除染後の空間線量を表示されている。この公園の看板には、測定日は平成25年3月11日で、空間線量は0.186 μSv/hと書いてある。しかし、Akemiさんのラデックスは、0.49 μSv/hという、約2.5倍の数値を表示している。


ちなみに、福島県のテレビ番組では、このような「県内環境放射線量測定値」が、軽やかな音楽と共に、まるで天気予報のように放映されているという。



*****
なお、このような看板は、2011年4月25日から福島市各所で設置されていたらしい。

2011年4月25日の共同通信の記事の引用。

福島市公園に注意呼び掛ける看板 基準上回る線量 

福島市は25日、大気中から国の基準(毎時3・8マイクロシーベルト)以上の放射線量が検出された市内の二つの公園に「利用は1日あたり1時間程度としてください」と注意を呼び掛ける看板を設置し、砂場はブルーシートで覆った。


 福島第1原発から60キロ以上離れているにもかかわらず、基準と同じ放射線量が検出された「信夫山子供の森公園」。いつもなら子どもたちの声が響き、桜の花見客でにぎわうが、この日は人の姿は全くなかった。


 市公園緑地課の職員は「いい公園にするために頑張ってきたのに…」と話し、近所の女性(78)は「子どもの声が聞こえなくて寂しい。こんなに静かな春は初めて。原発事故がただただ悔しい」と涙を浮かべた。


 福島市の中心部にあり、基準を0・1ポイント上回った新浜公園にも看板が設置された。


*****

近所の公園で遊ぶのに、1時間という時間制限がある子供達。
事故による放射能フォールアウトが、「環境放射線」と呼ばれている件。
除染後の空間線量と個人モニタリングの差異。
1時間しか遊べない公園のすぐ傍に新築中の家。(ちなみに、福島市では、浜通りから避難してきた人達が定住するべく家を新築中のため、ちょっとした土地バブルが起こっているという話である。)

個々にさまざまな事情があるのだと思うが、このような画像を目にすると、色々と考えさせられる。

*****
注:郡山市の酒蓋公園の看板の画像を、今年4月のものだとして掲載しておりましたが、現在の放射線量からその真偽が疑わしいとのご指摘を頂いたのと、元々、インターネット上に出回っていた画像で元ソースが不明であるとの点を考慮した上で、米国時間の2013年11月16日に削除いたしました。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

国際連合総会第4委員会でのUNSCEARへのステートメント:中国の強い指摘、および日本の言い訳とクレーム


UNSCEAR2013年報告書が提出された、2013年10月25日国際連合総会第68回セッション第4委員会の動画より、中国国連代表のステートメントで福島原発事故関連の部分と、日本国連代表のステートメント全文の書き起こし和訳をした。この委員会のプレスリリースはこちら

中国代表のステートメントには、外交辞令ながらも、日本政府への強い要望が含まれていると感じた。日本代表のステートメントは、日本政府の「意図」が良く表されているようであり、2013年10月11日にUNSCEARが最初に報告書を第4委員会に提出した直後の下記の報道以来、不自然なほどこの報告書についての報道がない理由が伺えるようである。



中国国連代表のZhao Xinli氏のステートメント
動画の1:05:54より:同時通訳のため、書き起こし中に、文章構成が不完全な部分が所々見られたが、極力意味が通るように和訳した。)

遺憾で痛ましいフクシマ原子力事故は、同様の事故が起こるのを防ぐための、より効果的な予防対策と、さらに包括的で徹底的および系統的な考察を求める視点を持ち、真剣な反省および注意深い調査と研究に携わることを促すものであります。

今でも、フクシマ原子力事故現場では二次的事象がまだ度々起こっており、世界中、特に近隣諸国の国民に大きな不安をもたらしています。当事国は、国際コミュニティー、特に懸念を持つ諸国の国民の不安が軽減されるように、誠実に責任を果たし、事故の余波と対応し、関連情報の透明性と信頼性を確保するために、時宜を得た効果的な対策を採用するべきであります。

(中略)

原子力放射線がもたらす課題を目の前に、国際連合は、原子力放射線の安全性を確保する役目を果たすべきです。これは、次の4つの分野で行なうことを示唆いたします。

最初に、大きな原子力事故(訳注:"the"とあるので、この場合はフクシマ事故のこと)の余波を適切に処理し、学ばれた教訓を復習すること。原子力大事故が、人間に生理学的、及び心理学的に及ぼす悪影響を考慮すると、将来的予防のために、悪影響を評価し、かつ学ぶべき教訓をまとめるために、国際コミュニティーの努力を統合するべきです。当事国は、人間の安全を最優先すべき問題と見なし、援助が可能であり、かつ提供する気がある国連関連機関や諸国との対応においてオープンで透明なアプローチを取り、事故の余波の処理に向けての協調した取組がなされ、様々な悪影響が最小限におさえられるようにするべきです。(訳注:最初の部分のみフクシマ事故関連のため、後略。)

書き起こし原文
The regrettable and harrowing Fukushima nuclear incident should prompt us to engage in serious reflections and careful investigation and research with a view to finding more effective, preventive measures, still comprehensive, in-depth, and systemic consideration to prevent occurrence of similar accident.

To date, secondary incidents still occur, now and again, at the site of Fukushima nuclear incident, causing widespread worries around the world, especially among the people of neighboring countries. The country concerned should genuinely fulfill its responsibility and adopt timely and effective measures to deal with the aftermath of the incident and ensure the transparency and credibility of relevant information so that international community, particularly the people of various countries concerned, are reassured.

(...)

In the face of challenges posed by atomic radiation, the United Nations should play a role in ensuring atomic radiation safety. I suggest we go about that work in the following four areas:

First, properly handle the aftermath of the major nuclear incidence and review the lessons learned. In light of the harmful effect of major nuclear incidence on human physiology and psychology alike, the efforts of the international community should be integrated to assess the harm done and sum up the lessons to be learned for future prevention. The country concerned should deem human safety the number one issue, take an open and transparent approach in working with relevant UN agencies and countries that are able and willing to help so that concerted efforts can be made to handle the aftermath of the incident and minimize various harmful effects.

(...)



日本国連代表のタカハシナオキ氏のステートメント
動画の1:18:52より:タカハシ氏が英語で読み上げた。)

議長、このトピックが非常にテクニカルな性質であるため、今日の私のステートメントが首都からの直接の指示に基づいている事を明白にしたいと思います。まずは、あなたの、国際連合第68セッション第4委員会での効果的な議長職に謝辞を述べたいと思います。

1955年に国連総会によって設立されて以来、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、または略してUNSCEARは、電離放射線の供給源および影響の権威ある科学的レビューを提供するというきわめて重要な機能を果たしてきました。委員会の仕事は、世界に、放射線リスクを評価し、放射線防護と安全基準を設定するための科学的データを提供してきました。

原子力技術の安全性に完全にコミットする国家として、日本は、委員会の仕事から恩恵を受けました。2011年に、大地震と津波によって引き起こされた原子力事故の個人的かつ悲劇的な経験を通して、日本は、原子力安全に対する強いコミットメントをさらに強化し、この分野でのUNSCEARの重要な役割を、なおいっそう認識しています。

議長、放射線と核エネルギーを使用するにあたっての人類と環境の安全と保障を確保することの重要性は、誇張できません。公衆衛生においてそれを促進することは、医学目的での放射線使用においてと同様に欠かせないものです。UNSCEARは、2011年の東日本大震災と津波の後の原子力事故による被ばくと放射線リスクの程度に関する科学的評価を2年以上行なっている唯一の組織です。評価の結果は、我々が人類と環境内での安全を確保し続けるために適切な対策を取るために、確実に役立つでしょう。この点では、科学委員会のコミットメントと活動的な仕事に感謝します。

議長、日本政府は、悲劇的な事故以来、福島第一原子力発電所の作業員および周辺住民における被ばく量を把握することを最大に重要だと考慮していると言及させて下さい。

残念なことに、今月、UNSCEARがこの委員会に報告書を提出した直後に、福島第一原子力発電所の作業員の内部被ばく量評価の間違った認識に基づいた記事がいくつか報道されました。日本メディアのいくつかは誤解をして、UNSCEARは日本政府が発電所の作業員の内部被ばく量を過小評価したと結論づけたと、間違って書きました。UNSCEARが、被ばく量推計において、過小評価だけでなく、過大評価の要因もあると理解しているのを我々は認識しています。しかし、UNSCEAR報告書には、内部被ばく量の過小評価しか書かれていないため、公衆が、報告書のメッセージを誤って解釈してしまう可能性があります。この点では、日本は、UNSCEARに、近日発表予定の評価報告書で、内部被ばくの全体的評価のバランスを取って頂くことを求めたいと思います。日本政府は、UNSCEARに必要な証拠とデータを提出する準備ができており、委員会にそれを考慮して頂けたら大変感謝致します。

議長、前述致しましたように、科学委員会の役割の重要性を誇張することはできません。最後に、UNSCEARの重要な仕事に対しての日本の継続したコミットメントと支援を再度断言したいと思います。議長、どうもありがとうございました。

書き起こし原文
Mr. Chairman, due to the nature of this very technical topic, I would like to make it clear that my statement today is based on instruction directly from our capital. As the outset, I would like to express my appreciation to you for your excellency's effective chairmanship in the Fourth Committee during the 68th session of United Nations General Assembly.

Since its establishment by General Assembly in 1955, the United Nations Scientific Committee for Effects of Atomic Radiation, or UNSCEAR in short, served the vital function of providing authoritative scientific review of sources and effect of ionizing radiation. The work of the committee has provided the world with scientific data for evaluating radiation risk and establishing radiation protection and safety standards. 

As a country fully committed to the safety of nuclear technology, Japan has benefited from the work of the committee. Through the personal and tragic experience of the nuclear accident caused by the massive earthquake and the tsunami in 2011, Japan further enhances its strong commitment to nuclear safety, and recognizes, all the more, the critical role played by UNSCEAR in this field.

Mr. Chairman, the importance of ensuring the safety and security of human beings and the environment in the use of radiation and atomic energy cannot be overstated. It is as indispensable to promote in public health as in use of radiation for medical purposes.  UNSCEAR is the only organization that has been carrying out the scientific assessment for more than two years regarding the levels of exposure and radiation risks attributable to the nuclear accident following the Great East earthquake and tsunami in 2011. The results of assessment will definitely be useful for us to take appropriate measures to continue ensuring the safety of human beings and in the environment.  In this regard, we appreciate the commitment and active work of the scientific committee.

Mr. Chairman, allow me to mention that the Government of Japan has been attaching the utmost importance to grasping the amount of exposure of workers at Fukushima Daiichi nuclear power station and the residents in the region since the tragic accident. 

To our chagrin, some articles were published based on misperceptions of the evaluation of the internal exposure on workers at the Fukushima Daiichi nuclear power station in Japan right after UNSCEAR submitted its report to this committee this month. Some Japanese media misunderstood and incorrectly wrote that UNSCEAR has come to a conclusion that the Government of Japan underestimated the amount of internal exposure of workers at the plant. We are aware that UNSCEAR understands there are factors of underestimation as well as overestimation in exposure estimation.  But only underestimation of internal exposure is written in the report of UNSCEAR, which would possibly lead the public to misinterpret the message of the report. In this regard, Japan would like to kindly request UNSCEAR to give balance to the overall evaluation of internal exposure in the incoming assessment report. The Government of Japan is ready to submit the necessary evidence and data to UNSCEAR and would be most grateful if the committee would take them into consideration.

Mr. Chairman, as previously mentioned, I cannot exaggerate the importance of the role of the scientific committee. To conclude, I would like to reaffirm Japan's continued commitment and the support for the important work of UNSCEAR. I thank you, Mr. Chairman. 


和訳:Yuri Hiranuma
和訳校正:

PSRとIPPNWのUNSCEAR報告書についての論評に関する記者会見の報道


ドイツでの報道

テレビとラジオのニュース
医学メディア
新聞、その他

ニューヨーク・イベントに関する国際ニュース

原子力規制委 田中委員長「津波が来ない事を神に祈るのみ」


規制委員会 定例記者会​見 (平成25年10月23日) 
http://www.youtube.com/watch?v=pZpvyqq37GQ
(「神に祈るのみ」発言は、36分38秒の辺。)


32分2秒 
ロイター記者:11月から1Fの4号機で燃料のプールからの取り出しがありますけども、何か懸念されていることはありますでしょうか?

田中俊一委員長:使用済み燃料の取り出しは、間違いを起こしてはいけない大きなリスクを伴う仕事ですから、非常に注意深くやるようにということを、今、色んな形で、注意だけでなく色んな体制も含めて、今、喚起してます。

ロイター記者:まあ、あの、一年程度の作業だと東電はみているみたいですけども、それなりの台風とかですね、地震が来るということを前提に作業はする必要があると思うのですが、今、規制委員会として東電に具体的に与える指示とかですね、あるいは今度廣瀬社長と面談されるる時に伝えることとかですね、分かる範囲で結構なので、何かコメント頂けますか?

田中委員長:もちろん台風なんかの場合には来るのが予測できるわけですから、そういった時には作業は、風が吹く時は、やればクレーンにぶら下げたものが揺れたりして危ないですから、そういう気象条件とかも配慮しながら当然やってもらうことになると、まず。具体的なやり方については今後指示性が出て来ると思いますので、それについてはきちっと見て行きたいと思ってます。

ロイター記者:廣瀬社長にこの件で何かお伝えすることはあり得ると言う事でよろしいですか?

田中委員長:まあ、そういう事も含めて色々、あの、色んな体制を整えなきゃいけないと思うんです。例えば、クレーンの運転をする技術者だって、そう誰でも運転していいかというと、そうでもないでしょうから、そういう事です。資格だってねえ、私だってクレーンを運転する資格持ってるけど、私にはとても運転できると思えない。そういうものです。

34分20秒
NHK記者:あの、雨水の件なんですけども、先程の質問にもあったように、現状は堰に溜った水は一旦タンクに移して、まあ測って流すというようになってますけども、現実には間に合わなくてですね、堰の所で測って流したり、あるいはそこで溢れさせてしまったりという事が起きてしまってるわけですけども、そういう意味ではですね、タンクに一回移すというような事は、どこまで厳密に必要なのか、というあたりはどのようなご意見でしょうか?

田中委員長:まあ、あの、どの程度の汚染レベルになってるかによって違うんですけれども、基本的には確認するってのが原則ですから、その原則を守ってくというためには、一旦やっぱりどこかに溜めて、それで測定してから出せるものは出すというのが、それが基本だと思ってます。ただ、今回みたいな大きな台風が来て、何年ぶりかになるような大雨がわーっと降った時に対処できなかったということは、これはまあ非常に大変残念だけども、しょうがないことが起こっちゃったっていうことですよね。

NHK記者:じゃあ、そこは原則論の外に、あの、大雨が降った、ちょっとまあイレギュラーな時とは分けて考える必要というようなお話でしょうか?

田中委員長:まあ、イレギュラーな時でも対処できるように準備すべきだってのが皆さんのご要望だけども、まあ人間なかなか、あの、天災っていうのは、人間の予測を超えることがしょっちゅうありますのでね。そういう時でも、だから、極めてその、それで危ないことが起こらない、今日も島崎委員が指摘してたように、津波なんか来ると大変だって言うんだけれども、これも予測できないんですよね。だから、来ないことを神に祈るのみっていう、そういうものもあります。

PSRとHRNのNYC共催イベント「フクシマ惨事の健康影響:公開討論」プレスリリース和訳


PSRのプレスリリースの和訳(原文はこちら。PDFはこちら。)

フクシマ惨事の健康影響:公開討論

2013年10月24日
ニューヨーク州ニューヨーク市

人権専門家は、フクシマ原子力事故によって被ばくした人々の健康への権利を守るために
即時に行動を起こすことを呼びかける。

医師グループによると、国連科学委員会の報告書はフクシマ原子力惨事の
健康影響を系統的に過小評価している

公開討論

1024日(木)午前9時半から正午まで

バハイ・インターナショナル・コミュニティー、866 UN Plaza, Suite 120, NYC

もしくは、イベントの録画動画がWWW.PSR.ORGにアップされる予定。

入場料は無料。国連パスは必要なし。事前の申し込み必須。取材班メンバーのリスト、連絡先と所属先をHRNNY1024@gmail.comまで送ることを願う。

社会的責任を果たすための医師団とヒューマン・ライツ・ナウ共催イベント

目的:フクシマに関して対立する2つの報告書が、1025日の国連総会に提出される。ひとつは国連人権委員会「健康への権利」特別報告者の報告書、もうひとつは原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書で、それぞれ、国連総会の第3委員会と第4委員会に提出される。特別報告者のグローバー氏がグローバー報告書について、ラカウ医師がPSRIPPNWUNSCEAR報告書についての論評(および概要を議論する。井上氏が日本の状況における人権についての懸念を議論する。これらの報告書の世界的な影響に焦点があてられることになっている

2011年のフクシマ原子力災害以来、日本の住民やコミュニティーは危険なレベルの放射線にさらされ続けている。その結果としての汚染地域の住民への健康影響に関して、深刻な懸念がある。住民は、安全で健康的な環境に住む権利があるが、防護措置や支援が十分に提供されていない。医療および自分の体の医療データへのアクセスへの権利が著しく侵害されている。専門家は、2つの国連報告書が、原子力災害後に影響を受けた住民の生活と健康に関する政策にどのように影響するのか、そして住民らの基本的人権を保護するために直ちに何をするべきかを話す予定である。

発表後に質疑応答の時間がもうけられている。

場所:バハイ・インターナショナル・コミュニティー、866 UN Plaza, Suite 120, NYC (48th Street & First Ave.)

日時:1024日(土)午前9時半から正午まで

講演者:

アナンド・グローバー氏

アナンド・グローバー氏は、「皆が到達可能な身体的および精神的健康の最高水準を享受する権利」に関する国連特別報告者として、国連人権理事会に2008年6月の第80回セッションで任命されている。このポジションは名誉職であり、グローバー氏は、国連職員でもなければ、報酬も受け取っていない。グローバー氏は、また、ボンベイ高等裁判所とインド最高裁判所に所属する弁護士でもある。

2012年11月15−26日に、グローバー氏は、日本への事故調査ミッションに携わり、「達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利」に関する独立調査を行なった。これには、医療サービス、物資や医療健康施設の使用可能度、利便性、妥当性、および質が含まれた。その他の調査内容は、東日本大震災の状況下の日本での健康の基礎的な決定要因、それにつながった事象(緊急対応、復旧、災害被害緩和を含み、また、これらの対応に関する課題とそれに対して取られた行動に特別の焦点を当てた)、学ばれた教訓および優れた取組である。このミッションでは、日本政府官僚、非政府組織、そして東日本大震災と津波およびフクシマ原子力災害で被災した住民に対しての事情聴取が行なわれた。グローバー氏の所見と勧告の報告書は、2013年5月に人権理事会(UNHRC)に提出されており、そして2013年10月25日のニューヨークでの国連総会の第3委員会に提出されることになっている。

ジョン・ラカウ医学博士

ラカウ医師は、開業医、放射線と健康委員会の理事会メンバーおよび委員長、そしてワシントンDCの社会的責任を果たすための医師団の前会長である。また、ラカウ医師は、米国アイオワ州アイオワ・シティー市のアイオワ大学医学部の臨床助教授でもある。

井上まり氏は、弁護士であり、東京を本拠とするヒューマン・ライツ・ナウのニューヨーク代表である。

共催組織:

ヒューマン・ライツ・ナウ: ヒューマン・ライツ・ナウ(HRN)は、国連経済社会理事会決議により、国連特別協議資格を持つ国際人権NGOであり、東京を本拠とし、弁護士、学者、ジャーナリスト市民などで構成される数百人のメンバーを持つ。2011年7月に、市民団体等とともに、福島原発事故後の人権状況を調査するように、国連人権高等弁務官事務所に要請した。この要請を受けて、「健康への権利」特別報告者のアナンド・グローバー氏が2012年11日に来日した。2012年12月に、HRNは、70以上の日本および世界中の市民団体に承認された合同声明文を提出し、IAEAと日本政府に、11月にグローバー氏によって報告された中間的な所見と勧告に基づき、人権をベースにした原子力災害へのアプローチを取るように要請した。原子力災害後のフクシマでの状況の認識を促すために、HRNのニューヨーク事務所は、国際コミュニティーに継続中の危機について知らせるために、人権セミナーや記者会見を行なった。(http://hrn.or.jp/eng/)

社会的責任を果たすための医師団: 社会的責任を果たすための医師団(PSR)は、国際核戦争防止会議(IPPNW)の米国支部であり、放射性物質やその他の有害物質についての確実な根拠のある公衆衛生政策を提唱している。PSRは、核兵器使用防止および核兵器廃絶、安全かつ原子力不使用のエネルギーを推進し、地球温暖化および有毒物質による環境破壊の緩和、阻止、および回復 のために活動している、医学と公衆衛生の代弁者である。フクシマによって危険なレベルの放射線への被ばくによって最も危険にさらされている人達を守る事、そして住民の継続した被ばくによる健康影響を十分でオープンな形で追跡することは、当面、喫緊の課題である。PSRは1961年に設立され、大気圏核実験による世界的な放射能汚染を止めた部分的核実験禁止条約の達成に貢献した。PSRは、各政府に核兵器開発競争を終えるように要求する一般市民の圧力を構築したことに対して、1985年にIPPNWと共にノーベル平和賞を授賞した。(http://www.psr.org/)

詳しくは、こちらの注釈付き論評(および概要)を参照願いたい。

連絡先:日本語 yurihrnm@gmail.com(米国PSR
英語 alfred.c.meyer@gmail.com (米国PSR)alexrosen@gmx.net (ドイツIPPNW)


和訳:Yuri Hiranuma
和訳校正:

UNSCEARの国連総会への2013年フクシマ報告書についての論評の概要


「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の国連総会への2013年10月のフクシマ報告書についての注釈付き論評」全文はこちら
下記の概要のPDFはこちら英語原文はこちら



UNSCEARの国連総会への2013年フクシマ報告書についての論評の概要  
社会的責任を果たすための医師団(PSR)米国
国際核戦争防止会議(IPPNW)ドイツ支部

放射能フォールアウトの人間の健康および生態系への影響を懸念する医師グループとして、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が近々国連総会に提出する報告書を批評した。フクシマ原子力災害についての広範囲に渡る複雑なデータの評価に尽力されたUNSCEAR委員会のメンバーに感謝の念を表したい。UNSCEAR報告書には、炉心溶融による公衆衛生と環境への影響の将来的な評価において役立つ情報が含まれてはいるが、その反面、大惨事の真の影響を系統的に過小評価をしていると思われる。UNSCEAR報告書内の仮定の多くは2012年5月と2013年2月に公表された WHO/IAEA報告書に基づいているが、これらの報告書は、真の放射線被ばく量を正しく伝えておらず、不完全な仮定に従っており、過去2年半以上に渡って継続している放射能放出を無視し、放射線の非癌影

国連総会へのUNSCEARの現在の報告書に関して、最も重要であるのは、次の10の問題である。

1) 日本でより大きな大惨事を防いだ主要因は風向きだった
2) 原子力災害は進行中であり、放射性物質を放出し続けている
3) 放射性物質の放出と放射線への被ばくの推定は、中立的な情報源に基づくべきである
4) 福島産の農作物の推奨は、放射線被ばくのリスクを増加させる
5) ホールボディーカウンターは、内部被ばく量を過小評価する
6) 東電の作業員の線量評価は信頼できない
7) 胎芽の放射線への特別な脆弱性が考慮されていない
8) 甲状腺癌や他の癌は、今後数十年間に渡ってモニタリングする必要がある 
9) 非癌疾患や放射線の遺伝的影響も、また、モニタリンングされるべきである
10) 放射能フォールアウトと自然放射線との比較は誤解を招く

2013年8月20日現在、福島県の18人の子供達が甲状腺癌の診断を受け、さらに25人の細胞診の結果が癌性病変を疑わせるものである。この子供達の甲状腺癌が放射線誘発性であるかどうかは判断できないが、日本での癌の発症率の統計によると、この集団で予想される甲状腺癌の発症率は1年で1人以下と示唆される。さらに、369,813 人の福島県の子供達の4割がまだ一次検査を受けておらず、二次検査対象者の半分ほどは結果待ちのため、甲状腺癌の人数は今後増加すると見込まれる。日本政府は、安定ヨウ素剤の配布・投与を拒否しただけでなく、年間の被ばく許容量を20ミリシーベルトに上げ、実質、多くの子供達が放射能汚染区域に居住し続けることを強制し、子供達を守る事を放棄した。学校関係者は、学校の敷地から1メートルも離れていない所にある放射能ホットスポットを無視し、給食に福島産の米を再導入している。日本政府は避難区域の住民の帰還を促しているが、除染作業は期待されたような結果をもたらしていない。

「被ばくした人達での、放射線由来の健康影響の発症の識別し得る増加は予期されない。」と述べて、フクシマ原子力災害の医学的影響を単なる統計学的問題に狭めてしまうのは皮肉であり、何千もの家族の個々の苦しみの体験談を無視することになる。予測というのは、それが基づく仮定とデータの妥当性に左右され、検出可能な影響を平均値で曖昧にしてしまうようにデザインされた研究は、原子力産業の目的に奉仕しているに過ぎない。その代わりに、UNSCEARは、より中立的なデータを使用し、被ばく線量推計につきものの不確かさを認めて指摘し、特定の集団においては脆弱性が高いことを考慮し、可能性のある被ばく線量の範囲全体を発表し、放射線の人間以外の生物相への影響を分析し、さらに、進行中の放射能放出の最新データを取り入れるべきである。そうすれば、UNSCEARは、これから数十年の間に放射能フォールアウトからどのような影響が予期されるかという現実的な状況を描くことができるはずである。これは、甲状腺癌、白血病、固形癌、非癌疾患や先天性奇形などに関する予測であり、すべて、チェルノブイリ原子力災害の影響を受けた集団でも見られている。

フクシマ事故は、最悪のシナリオには至らなかったが、風向きが違う方向であれば、もっとひどい結果に成り得た。これは、将来の原子力安全ガイドラインおよび推奨を考慮するにあたって重要な要因である。医師と医療従事者が放射線被ばくの真の影響を理解することは、放射能フォールアウトを受けた人達全員が適切な医学的モニタリングを受けるためには、大変重要なことである。最終的に問題となるのは、強力なロビーグループの影響に屈服しないという独立した科学研究の信念だけでなく、健康と幸せを保てるような生活水準へのすべての人間の普遍的権利なのである。これこそが、フクシマ原子力災害による健康影響の評価においての指針となるべきである。
201310月18日



和訳:Yuri Hiranuma
和訳校正:

メモ:2024年2月2日に公表された甲状腺検査結果の数字の整理、およびアンケート調査について

  *末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節、のう胞)が、まとめて公式発表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。  2024年2月22日に 第50回「県民健康調査」検討委員会 (以下、検討委員会) が、 会場とオンラインのハイブリッド形式で開催された。  ...