第12回 「県民健康調査」甲状腺検査評価部会(2019年2月22日開催)での説明や議論の書き起こし



第12回「県民健康調査」検討委員会「甲状腺検査評価部会」のアーカイブ動画(OurPlanet TV提供)より、説明、発言および議論の一部を書き起こした。資料および後日公開される公式議事録は、こちらからダウンロードできる。発言者の所属等に関しては、次第内の部会員出席者名簿や関係者座席表を参照願いたい。病理医の加藤良平 部会員は欠席だった。
なお、以下の書き起こしは、発言を完全な文章で書き起こしていない部分もあり、聞き取れなかった箇所もあることをご了承願いたい。

第12回甲状腺検査評価部会の動画


当日の出席者名簿
関係者座席表

志村浩己 福島医大 甲状腺検査部門長(以下、志村)資料1-1本格検査(検査2回目)の細胞診実施に関する分析結果」をご覧ください。これは、前回までの評価部会におきまして、悪性あるいは悪性疑いの方の発見率には、先行検査における結節発見率の年次的変化、あるいは先行検査一次検査と本格検査一次検査の間の検査間隔の違い、本格検査における高校卒業後の世代の受診率の低下、また加えて細胞診の実施率の変化などが交絡因子として関与しているのではないかということをご議論いただいております。今回、このうち、細胞診の実施率について詳細な分析のご依頼をいただいておりましたので、解析を行いました。今回の解析は、前回の評価部会でご提案いただいた方向にしたがい、行っております。資料1-1のデータにつきましては、前回と同様に、本格検査1回目の結果を解析したもので、先行検査と本格検査両方とも受診した方を対象としております。

まず1ですが、これは一次検査実施年度別に、本管区検査受診者を2群に分けておりまして、細胞診の実施率および悪性・悪性疑い発見率を、ここでは二次検査の時の結節径の分類別で解析いたしました。

図1をご覧ください。これは、本格検査一次検査実施年度別にみた、二次検査で結節があると確認された方のサイズ別の割合を示しています。横軸は二次検査における結節の最大径、縦軸は全体のうちのパーセンテージを示しています。ご覧になりますように、2014年度および2015年度実施分ともに、10mm以下の結節が最も割合が高くて、20.1mm以上の割合が低くなっております。

図2をご覧ください。これは、各年度別の細胞診実施率および悪性ないし悪性疑いの発見率を示しております。2015年度実施分におきましては、2014年度実施分と比較して細胞診実施率は低くなっておりまして、悪性あるいは悪性疑い発見率も、割合は低くなっておりますが同様の傾向を示しております。
図3ですが、これは図2のデータを、二次検査時点の結節径別に示したグラフです。細胞診実施率は、20.1mm以上の結節において年度間に差は認められませんでしたが、10.1-20.0mmおよび10.0mm以下の結節におきましては、年度間に差がみられました。一方、悪性あるいは悪性疑い発見率は、10.1-20.0mmでは差が少なかったのに対しまして、10.0mm以下の結節においては年度間に差が認められました。20.1mm以上におきましては大きな年度間差が認められておりますが、20.1mm以上の結節を有する方の数が少ないため、この結果の信頼性は低いと思われました。なお、この悪性あるいは悪性疑い発見率に関しましては、今回のデータでは、二次検査で結節が確認されている方を分母にした発見率となっておりまして、前回のデータとは計算方法が異なっております。

以上をまとめますと、10.0mm以下および10.1-20.0mmの群では、2014年度実施群において細胞診実施率と悪性あるいは悪性疑い発見率が高い傾向を示しておりました。

次に、2に移らせていただきます。細胞診実施率および悪性ないし悪性疑いの発見率を地域別に検討しました。4地域の分類は前回と同じですが、注1から注4に記載したとおりであります。

図4は、地域別にみた、二次検査時に結節を認めた方をその時の結節径別に分類した割合を示しています。横軸は二次検査時の結節径でございます。ごらんになりますように、すべての地域において10.0mm以下の結節の割合が最も高くて、20.1mm以上の結節の割合が低くなっております。

次に図5です。図5は、各地域別の細胞診実施率および悪性ないし悪性疑いの発見率を示しております。細胞診実施率は避難区域等の地域が最も高く、ついで中通り、浜通り、会津地方の順で低くなっております。また悪性ないし悪性疑い発見率も同様の傾向を示しておりました。

図6ですが、これも同様に、図5のデータを二次検査時点での結節径別に示したグラフです。細胞診実施率は20.1mm以上の結節において地域間に大きな差は認められませんでしたが、10.0mm以下と10.1-20.1mmの群では、避難区域等と中通りにおいて高い傾向を示しておりました。悪性ないし悪性疑い発見率におきましても、10.0mm以下および10.1-20.0mmの群では、細胞診実施率と同様の傾向が認められました。20.1mm以上の群におきましては地域差が大きかったというデータが示されておりますが、これは20.1mm以上の結節を有する人の数が非常に少ないため、パーセンテージとしては結果の信頼性は低いと考えてられました。

以上、2番のデータをまとめさせていただきますと、細胞診実施率および悪性ないし悪性疑いの発見率は、避難区域等で最も高く、ついで中通り、浜通り、会津地方の順でした。10.0mm以下あるいは10.1-20.0mmの群では、避難区域等と中通りにおいて細胞診実施率と悪性あるいは悪性疑い発見率が高い傾向を示しました。20.1mm以上の群では、細胞診実施率に明らかな地域差は認められませんでした。

最後に3番です。3番は、さきほどと同じように、細胞診実施率および悪性ないし悪性疑い発見率を、先行検査の時の細胞診を実施された方、あるいは実施されていない非実施の方に分けて検討しました。先行検査の時に細胞診を実施して本格検査を受診された方は122人。先行検査の時に非実施だった方は1302人いらっしゃいました。

図7は、その先行検査時細胞診実施別にみました、二次検査結節径分類別結節有所見者の割合を示しています。横軸は二次検査時点での結節の最大径です。ご覧になりますように、先行検査時に細胞診を実施されていた方は、二次検査の腫瘍径としましては、非実施群に比較しまして、10.1-20.0mmおよび20.1mm以上の群に分類されているものが多い傾向が見られました。

図8をご覧ください。これも、先行検査時の細胞診実施率別にみたデータであります。左の細胞診実施率のグラフは、本格検査における細胞診の実施率を示しており、横軸は、先行検査時の細胞診実施、非実施を示しています。本格検査における細胞診実施率は、先行検査で細胞診実施されていた方については、非実施の方よりも、本格検査における細胞診実施率は低くなっていました。また、悪性あるいは悪性疑い発見率も同様の傾向を示していました。

図9は、図8のデータを、二次検査時の結節径別に分類したグラフです。本格検査時の細胞診実施率は、すべての腫瘍径のグループにおいて先行検査における細胞診非実施群の方が実施群と比較しまして、細胞診実施率が高い傾向が認められました。また、悪性あるいは悪性疑い発見率も同様の傾向を示しておりました。

以上をまとめますと、先行検査において細胞診を実施している場合、いずれの結節径においても本格検査において細胞診実施率および悪性ないし悪性疑いの発見率は低くなる傾向が認められました。

説明は以上です。

鈴木元 部会長(以下、座長):最初の1と2というのは基本的に細胞診実施率と悪性ないし悪性疑い発見率がかなり相関しているというような結果だと思います。ちょっとわかりづらいのが3の方でして、こちらは、先行検査で細胞診を実施していたかどうかというのが、あまり本格検査の方に関係はなかったということをおっしゃりたいのでしょうか?

志村:以前から申し上げておりましたが、先行検査で細胞診を実施されて、かつ本格検査に受診をされた方は、先行検査の時の所見と増大傾向、あるいは超音波検査の所見に変化があったもののみ細胞診を実施するという運用をしております。そのために、先行検査で細胞診を実施された122名においては、実施されてなかった方よりも細胞診の実施率は下がっていまして、それを反映して、悪性・悪性疑いの発見率も下がっているという状況であります。しかし、細胞診を実施された方の腫瘍径は、大きい方に少しシフトしているという特徴もございました。

祖父江友孝 部会員(以下、祖父江)(大阪大学):図1〜3と図4〜6は、本格検査1回目の状況ですね、これ。2014年、2015年、あるいは地域と。おそらく避難地域が2014年に行われたということで、避難地域を含む2014年が高いということで理解できますけれども、先行検査の時の細胞診の実施状況が地域別でどうだったかという所の関連がですね、説明してもらうと理解しやすいと思います。

志村:この、細胞診を実施した方と実施してない方に加えて、地域別で分類しますと、各群の母集団の数がさらに少なくなりまして、非常にバラバラして一定の傾向が出ないようなデータになっていたと記憶しています。

祖父江:質問はですね、細胞診実施率あるいは実施割合が、先行検査時に地域別に違っていたかどうか、です。

志村:先行検査では、細胞診の実施率は避難区域が最も高くなっておりまして、中通り、浜通り、会津地域の順に細胞診実施率は下がっております。したがいまして、そこから再受診された方もその傾向を継続されていたと記憶しています。同じ傾向が、細胞診を実施された方が避難区域で多いという傾向があったと思います。

祖父江:だとすると、ちょっと逆になっていますね、今。非実施割合、非実施人が多いところで、本格検査での細胞診実施率が高く、悪性あるいは疑い発見率が高くなっている。だから、まあ私もちょっとうろ覚えなんですけど、B判定の割合が確か、避難区域は少なかったんです。で、そのB判定の中で、細胞診の実施率は避難区域が高かったという、そういう関係じゃなかったですか?

志村:その通りです。細胞診実施をされて本格検査に再度受診された方は、二次検査受診された方の全体の10%になりますので、その方々の変化というのは、細胞診非実施者の方の方が10倍ありますので、そちらの方に引っ張られている、いわゆる、全体のデータに対する細胞診実施者の寄与度といったものは少ないという状況がございます。

南谷幹史 部会員(以下、南谷)(小児科医、千葉県):図2の確認なんですけど、2014年度と2015年度の細胞診の実施率が50%くらい違うわけですが、ただ対象者は__一緒なわけですよね。それでこの率が違うというのは、どういうことなんでしょうか?

志村:なかなか明確なお答えは難しいところもありますが、先行検査から細胞診実施率の傾向をみますと、年次推移で少しずつ下がってきているという傾向が全体的にはみられます。そういう傾向の一環として、ここで差が出ているということが考えられます。細胞診実施の基準は変えてはいませんけれども、超音波画像の評価に関しましては、われわれの経験が積んできて、その見かたも少しずつブラシアップされているということもあるのかもしれませんけれども、もう少し明確な理由は、ちょっとまだわかりません。

南谷:そうすると、必ずしも大きさだけで細胞診をするかどうかを決めているわけではないという理解でよろしいですか?内部の構造とか?

志村:はい、特に10.0mm以上の大きさで決めておりますが、それ以下は超音波画像の所見を評価した上で決めているという状況です。

片野田耕太 部会員(以下、片野田)(国立がん研究センター):確認なんですけど、3番の細胞診実施率というのは、個人単位の情報をもとにしているということですよね?

志村:その通りです。

片野田:1番も、地域ごとではなくて、個人単位で何年度に受けたかどうかで分けていますか?

志村:その通りです。

片野田:質問は以上なんですけど、感想としてはやっぱり、細胞診の実施率が、2番だと3倍近く地域によって違っていて、一番低いところで6%ほど、高いところで18%くらいまであって、それが、悪性あるいは悪性疑いの発見率と、これだけきれいに相関しているので、線量との関係を見る時に、非常に解釈が難しいなという感想と持ちました。

髙野徹 部会員(以下、髙野)(大阪大学):先ほどの志村先生のお話で、超音波所見の見方がブラシアップされたので率が減ったというお話だったんですけども、そうだとすれば、より悪性を拾い上げる効率が上がっているはずなので、悪性あるいは悪性疑い発見率が細胞診率に一致していると、ほぼ__に動いているということでしたら、そのケースはちょっと考えにくいんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか?

志村:ひとつのスペキュレーションであって、すべてが分かっているわけではございませんので、今後の課題とは思います。

座長:今の質問にちょっと関連するんですが、これは、外科の先生の方がお答えになった方がいいと思うんですが、年度によって実際に手術まで回って行った腫瘍のステージはどうだったんでしょうか?年度によって違って来てたのかどうかということなんですけども。

志村:本日、手術を担当しているドクターが不在ですので、ちょっと詳細は・・

横谷進 福島医大甲状腺・内分泌センター長(以下、横谷):今、ここで即答することはできませんが、それは可能なので、ちょうど時間系列に置いた時に、ほぼ、今までのデータというのは、先行検査で見つかったケースが最終的に手術してどうだったかということは分かっていて、その先のところがようやく分かってきたところなので、それが可能になってきているので、これから、それらに対する答えを出してくることができるだろうというふうに思っております。ただ、発見の年は何で定義するかによって変わってくるので、まあそこら辺も考えて行かないと傾向が見えないかもしれませんので、検討したいと考えてます。

片野田:もう一点だけ確認なんですが、1番と2番の関係についてなんですけど、2番が地域別の集計になっていて、ざっくり言えば、避難区域等と中通りが2014年度に実施したという、そういう理解でいいんですか?

志村:少数の例外はございますけども、基本的にはそういう関係性があります。

片野田:さきほど、個人単位で何年度に受けたかで集計はしているけれども、ただ、2番はたとえば、図5の4本あるラインを真ん中で割ったものが1番のグラフに大体相当しているという理解でいいですか?

志村:ただ、中通りは実際は、2014年度で検査を行った市町村と2015年度に検査を行った市町村がございますので、中通りについてはクリアーには分けられないという状況ではあります。

座長:先ほど私が質問したことに対して自分で答えるのも変なんですが、以前からこの部会の中で、腫瘍径の分布が年度によってずいぶん違ってきてて、2014年度にあたったかと思うんですが、他の年よりも腫瘍径が小さくなったというデータをお見せいただいたように思います。ちょっとこの、同じ細胞診実施率で、実際はその時に発見されているもののステージが違っているのではないかというのは、先ほど私が質問した内容でしたので、もっと外科のデータをこれから解析して示していただけるということなので、期待しておりますのでよろしくお願いしたいと思います。

ちょっと次のに関係するのですけども、これまで年度、あるいは地域によって悪性・悪性疑いの発見率に大きく影響の出るものっていうのは、この間の解析で何度か出てきました。一番最初に志村先生の方からもありましたけども、検査間隔。当然、検査間隔というのは、受診者の年齢分布に関係してきますし、それぞれも、所見の多くなる年長の人たちの受診率の地域差がどうかとか、あるいはこの、年度の細胞診の実施率という、こういうものがおそらく発見率にずいぶん影響してくるのだろうと思っています。で、この部会、今までの解析の中で、今後、線量との関係で、交絡因子あるいはバイアスの原因になりそうなものを解析に入れていくとした時、今、私があげたものの他にどういうものが考えられるでしょうか?祖父江先生、片野田先生、スペシャリストに聞きたいんですけど。

祖父江:甲状腺に関しては、大きなリスク要因というのがあまりないんですよね。タバコとかウイルス感染とかそういうことでなくて、やっぱり、検診の受け方ですね、やり方。ここのところの違いをいかに線量との関係を見る時に説明を加えて行くかということですけども、今、把握しているもの、検診の実施年度、B判定の基準、それから細胞診の実施割合等々、それを加味していくのはそうなんですけども、それ以外何か、まあ、私たちがこれが正しいというよりは、現場の方々ではっきり関係するような、検診のやり方に関してのファクターを考えていただけると、suggestionしていただけるとありがたいと思います。

片野田:今、鈴木先生がおっしゃったのは、年齢と検査間隔、受診率、細胞診の実施割合も入っていて、あと、祖父江から先ほどお話のあった、B判定率も年度によって違うということなので、それを入れるということと、先ほどの資料1-1の3の、前回の結果っていうのが影響しているとなると、これがちょっと、私自身もどういうふうに入れていいのか、まだ思いつかないんですが、ちょっとこの3番のやつが扱いが難しいかなと思っています。他は、今あげたようなものを、考慮できれば考慮した方がいいという意見ではありますけれども、先ほどの資料でもありますように、ざっくり、年度でかなり傾向が変わっているということなので、まだ年度で分けてというのもありかなと思います。

部会長:今後の解析の中で今あげられたような因子等々を解析に加えていくかについて、また継続して議論して行きたいと思います。


30:50 
部会長:では続いて、資料1-2「市町村別UNSCEAR推計甲状腺吸収線量と悪性あるいは悪性疑い発見率との関係性」の方に移りたいと思います。

大平哲也 福島医大 健康調査部門支援長(以下、大平):資料1-2の方をご覧ください。市町村別UNSCEAR推計甲状腺吸収線量と悪性あるいは悪性疑い発見率との関係性をですね、示したグラフになります。参考資料5を見ていただきますと、こちらの方にですね、UNSCEAR2013年報告書抜粋資料と書かれた参考資料がございます。こちらの方の報告書にUNSCEARの方で、東日本大震災原子力事故後に放射線被ばくレベルの影響ということで放射線被ばくレベルをですね、各市町村ごとに推計しているものがございます。あらかじめ申しておきますと、こちらの方の4ページ、5ページの方に書かれていますように、こちらの推計にはですね、不確かさというものが大きく影響しておりますので、これがすべてのものを反映しているわけではないということを、まずご了承いただけたらなと思います。

まず、こちらの1番ですけども、震災時6〜14歳の対象者におけるUNSCEAR推計甲状腺吸収線量と悪性あるいは悪性疑い発見率との関連性を説明したものです。これは、参考資料5の12ページにおけますTableのC-16.2というものをご覧いただければと思うんですけど、これはですね、その当時10歳の子どもにおける一年間の甲状腺の平均の吸収線量を示したものです。

この表は、避難区域以外の福島県内の市町村の推計線量を示したもので、一番右側にトータルと書いてあります。このトータルと書いてある数値を、10歳と書いてありますけども、こちらの推計は、1歳と10歳とアダルトということになってまして、今回の解析は、6歳未満がほとんど甲状腺がん発見率がないということから6歳以上の方を対象として評価しました。で、このC-16.2の10歳のTable の数値を、6〜14歳の子どもたちの解析の方に用いております。

C-16.2が避難区域以外の甲状腺の吸収線量ということになりますが、参考資料5の40ページのTable C-18.5の方には、避難区域の10歳の方の一年間の甲状腺の推計線量が出ております。ただし、見ていただければわかりますように、双葉町、楢葉町、浪江町と書いてありますけども、避難区域(経路?)別に推計されております。わたくしどものデータでは、誰がどういう経路で避難したかを正確には持ち合わせておりませんので、今回は、たとえば双葉町であれば、2種類のtotal dose(右から3番目)の中で一番高い線量を当てはめて、そこの数値を用いました。すなわち、双葉町の6〜14歳の子どもは、すべてこのtotal doseである14 mGyという数字を当てはめて評価を行なっております。

元に戻っていただきまして、資料1-2の最初の①-7に書いてあります地図別に、推計甲状腺推計線量というのを書いてあります。ここで先ほどの表のtotal doseを市町村すべてに当てはめました。

そうしますと、たとえば会津地域でいえば、ほとんどが20 mGy未満ということになりますし、一番高い所で言いますと、いわき市とか南相馬市が30 mGy以上ということで、こういうふうに地図上で色分けしております。で、この人たちの発見率というのを、先行検査と本格検査と分けて、オッズ比をみたものです。オッズ比は、20 mGy未満をreference「1」としまして、性・年齢を調整した上で、何倍発見があるかというものをみたものです。

図1の方に、先行検査と本格検査のオッズ比をみていると思いますが、こちらみて行きますと、先行検査で20以上25未満の所で若干上がっているように見えますが、有意な上昇ではございません。全体的に量反応関係というのはみられないというのが、今回のこの図でみてとれるかと思います。本格検査におきましては、同じように20以上25未満のところでやや上昇がみられておりまして、この丸の上下の線は95%信頼区間を示しておりますので、ここの所で1以上となっていますので、この部分で有意な上昇がみられております。しかしながら、全体的に量反応関係はみられていないというのが、これでみてとれるかと思います。これが6歳から14歳までの結果です。

続きまして、①-8をみていただけると思います。先ほどは、避難区域の最大線量をすべての子どもたちに当てはめて計算したものですけれども、今度は最小値を当てはめて、同じような解析を行っております。図の方をみていただけると分かりますように、ほぼ先ほどと同じような分布はしておりますけども、どちらかというと最小値を用いておりますので、やや低い方の色分けが多くなっているかと思います。
こちらで見ましても、同じように解析をさせてもらいました。先行検査・本格検査、両方みていただきますと、先ほどと同じような関連性がみられまして、先行検査・本格検査ともに、20以上25未満でやや発見率の上昇がみられておりますが、量反応関係は、やはりみてとれないというふうに思います。


続きまして、①−9をご覧ください。こちらは、震災時15歳以上の対象者を、同じようにUNSCEAR推計甲状腺吸収線量と悪性あるいは悪性疑いとの関係性を示したものです。で、こちらはどのものを使ったかと言いますと、まず、先ほどの参考資料C-16.1という表をご覧ください。

ちょうど10ページになると思いますけれども、ここも同じように、避難区域以外の「Adult」と書いてありますけれども、大人の1年間における吸収線量を示したものです。一番右側にTotalと書いてありますけれども、そのTotalの線量を各市町村に当てはめて計算を行いました。

同じように、避難区域の方はですね、39ページのC-18.4「Adult」と書いてありますが、各避難区域の平均吸収線量をみたもので、一番右から3番目にTotal doseと書いてありますが、この線量をすべての住民に当てはめて計算を行ったものです。

元に戻りまして、①ー9の福島県の地図上に推定甲状腺吸収線量の分布が書かれております。で、15歳、大人ですので、甲状腺吸収線量は子どもに比べて低くなっておりまして、10 mGy未満の所をreferenceにしまして、それ以上の4つの__でオッズ比を計算しております。

図3の方に、先行検査と本格検査、そしてこちらは甲状腺吸収線量の最大値を当てはめて計算したものですけれども、先行検査、本格検査ともに、オッズ比の上昇はみられておりません。

続きまして、①-10の方は、最小値を当てはめて関係性をみたものですが、こちらも同様に10未満をreferenceにして性・年齢調整オッズ比をみたものですが、やはり推計甲状腺線量と発見率の間に関連性は特にみられませんでした。

①-11の方に結果の方をまとめてあります。UNSCEARによる推定甲状腺吸収線量は、理論的な計算による事故後1年間の推定値であります。ですので、先ほども申しましたが、実際上のものとは異なっている可能性があります。また、おひとりおひとりのものに違いがありますが、今回、すべてのひとつの自治体では同じ線量を当てはめておりますので、実際の個人の線量とは差異がある可能性がありますことをご了承ください。震災時年齢が6〜14歳の対象者および15歳以上の対象者において、線量依存性の悪性あるいは悪性疑い発見の性・年齢調整オッズ比の上昇の傾向は認められませんでした。また、各市町村平均推定甲状腺総吸収線量の最大値または最小値ともに用いて解析を行いましたが、その傾向に明らかな差異は認められませんでした。以上でございます。

座長:議論に入る前に私の方から、UNSCEARの線量評価に関しまして、コメントをさせていただきます。
先ほど___先生の方からも、不確実性があると説明あったと思いますが、福島の事故で、事故当時の放射性ヨウ素の実測値が非常に少ないです。特にこういう線量評価において必要なのは、空気中にどのくらいの放射性ヨウ素が漂っていたかという濃度の時間経緯、それから場所の系列?、それがあればかなり正確な評価ができますし、実際に住民の甲状腺を測定していけば、どのくらいの内部被ばくがあったかということを実際に知ることができるわけです。
そういうものは少なかったために、UNSCEARが何をやったかと言いますと、大気輸送拡散沈着モデル、ATDMと言っておりますが、日本でいうと、WSPEEDIというと皆さんご存知かと思いますが、そういうコンピューターシミュレーションで線量を評価しております。で、このコンピューターシミュレーションのベースになっている考え方というのは、原発からどのくらいの割合で、たとえば放射性ヨウ素が放出されていたか、その放出されていた時に風はどう動いていて、放出された放射性ヨウ素の雲、プルームといいますが、それがどの方向に飛んで行ったか。これをコンピューターでシミュレーションしております。
このシミュレーションというのが、今、私たちも研究していますが、非常に難しい。その難しい第一は、本当の意味で気象の、その時風がどっちに吹いていたかというのを正確に知ることができません。特に3月12日のプルームが北の方向に飛んでいるわけですが、それがどこの地域まで含んで飛んでいたか、あるいはいつの段階で__かというのが、非常に不確実性がありました。
現在、その再評価をやっていまして、そこの中には、双葉とかあるいは南相馬とか、新地とか、そういう所でSPMという大気中の浮遊物質の測定ステーションがありましたが、そのデータを使って、今、この時期、どれくらいのたとえば放射性セシウムが飛んでいたかというのは、かなり正確にわかるようになってきています。ただ、このUNSCEARのデータをまとめた段階では、まだそういうデータが利用できていませんので、まだまだ不確実性の高いものだということを承知していただきたいと思います。
で、このUNSCEARの参考資料5の、たとえば5ページ目、段落の112とかの一番最後に書いてありますが、「(...)ATDM解析に直接基づいている。これらの住民グループの地区平均実効線量と臓器吸収線量は、特定の場所と時間に関するATDM解析の結果に不確かさがあるため、一般的に4倍から5倍過大評価若しくは過小評価される可能性がある」、要するに、そのくらいの幅がある評価しか、まだ、このUNSCEARの段階ではできていなかったということだと思います。それからその下に114のパラグラフがありますが、UNSCEARの線量評価の中で、たとえば福島県民全体で言いますと、先ほどのたとえばC-16.3の15ページ(実際には14〜15ページ)ちょっと見てください。

これは1歳児のものですが、この表の一番右から2番目に、ingestionという項目があります。Ingestionというのは、経口で、口から入った量です。これが、1歳児ですと、32.79 mGyと、みんな一律にあげられてます。これはどういう仮定をしたかというと、先ほどの8ページ(実際には5ページ)の方に戻っていただきますが、食品の流通で汚染されたものがそのまま福島県産であったと仮定して、それだけ食べていたという仮定をしています。そのため、すべての県民が同じ線量を付与されているわけですが、これは、UNSCEAR自身、パラグラフ114の下から3行目で、「(もし)福島県で消費された食物の25%が県内産であったと仮定した場合、事故後1年間の経口摂取による実効線量の推定値は、本委員会の推定値の30%になると考えられる」と、この辺もかなり大きな不確実性の要因になっていると思います。
ですから、今日のこのデータというのは、ある程度吸入線量で地域によって凹凸があるので、その凹凸がどのくらい実際の線量評価に影響しているかという、相対的なものみているというふうに理解していただきたいと思います。ここに書いてある数値そのものが信頼性が高いものではないということを十分意識しておいていただきたいと思います。
ちょっと長くなりましたけれども、こういうUNSCEARの線量評価というのは、今、改定作業に入っていまして、おそらく2021年、あるいは2022年頃に、報告書の改訂版が出るという方向に考えまして、現在作業が始まっているところですので、将来、ブラシアップされた線量を甲状腺がんの疫学調査に使えるようになってくるだろうと。で、まあ、今日の解析というのは、そういう意味での途中段階の線量評価を使ったものだということをまず理解していただきまして、その上で委員の先生がた、方法論とかあるいは実際に解析をしている結果等に何か疑問点あるいは質問がありましたら、お願いしたいと思います。

片野田:今のご説明で、食事以外のものは相対的な差がゼロであるということは、今回の分析では食事以外は考慮していないと考えていいのか?(座長:それでいいです。)あともう一点、複数の値があった場合に最小の値を使った場合というようなご説明がありましたけれども、最小を使うか最大を使うかというのは、結果にどういう影響を及ぼしたかという確認をしたいんですけれども、もし線量による勾配があった場合に、最小のを使った場合の方が勾配が強く出るという理解でいいですか?その、横幅は短くなるという、そういう理解でいいんですか?

大平:はい、そのような理解でよろしいかと思います。

片野田:わかりました。で、今回は、資料には入っていないけれども、最大のものを使った結果も同じだったということですか?

大平:資料の方には、最大と最小と両方が入っています。

座長:こういう、線量との関係のグラフをみるというのは、私たち放射線疫学をやっている者には非常にfamiliarなんですが、他の方はあまり慣れてないと思います。

吉田明 部会員(以下、吉田)(甲状腺外科医、神奈川県):6〜14歳のところでですね、20から25 mGyのところがいずれもみんな高くなっているのは、何か考えられるということがあるのでしょうか?

大平:こちらに関しましては、先行検査と本格検査と両方とも同じように高くなっているということを考えれば、もともとの地域特性を示しているもの「かも」しれないということが考えられます。

片野田:ちょっと今、聞き漏らしてしまったんですけれども、もう一度おっしゃっていただけますか?(吉田部会員が質問を繰り返す。)私が答えるべきかどうかというのはあるんですけれども、もし仮に線量の効果があったとすれば、量反応関係があったと考えるのが自然なので、局所的にどこが有意かをみるよりは、やはり勾配をみるべきだというのが私の意見です。

座長:20から25のところが跳ね上がっていることに対しての答えというのは、今、実際にないんだと思います。先ほどの議論の中で、いくつかの交絡因子があるということがわかってきてますので、そういうものを調整してた行った時にここがどういうふうに動くのかというのが、今後解析する話だと思っています。片野田先生がおっしゃったもうひとつのことは、もし線量効果関係があるのだったら、25から30、あるいは30以上というところに向かって、線が上がっていく、オッズ比が上がっていくというパターンになるはずが、現在そうなっていないということを強調されたかと思います。

片野田:もうひとつは、信頼区間が非常に広いので、おそらく実際に観察された悪性ないし悪性分布の数というのが、他の線量分布に比べて少し少ないのかなというような印象を持っています。

南谷:これは、住民票があったところでの地域分けということですか?ずっとそこにいたというわけじゃないんですよね?避難の行動パターンとかを考えると、どこに住んでいるかということだけで検討すると、何をみているのかなという気がするんですけれど、いかがでしょうか。

大平:ご指摘のように、この住所は震災当時の住民票の住所をもって解析をしております。ですので、先生のご指摘のように、避難の経路によって異なる可能性は十分ありまして、そのために、先ほど申しましたようい、最大値・最小値両方で当てはめて計算したということでございます。

座長:ちょっと追加しますと、放射性ヨウ素の内部被ばくというのは、かなり初期の、3月12日とか3月15日のプルームで、場所によってはそのあとの3月19〜20日とか、そういう後半のプルームも影響する地域があります。避難地域の方々というのは、最初のプルーム、初期のものにあたった結構県内に避難してしまってるんで、逆に線量の低い人たちが出て来てしまっているというところがあると思います。もちろん、UNSCEARの線量評価の中でも少し見えてるのだと思いますが、基本は最初の時期の、どこにいたかというので、かなり内部被ばくの量というのは規定されていきますので、一年間どこにいたかというのでUNSCEARは評価していますが、ヨウ素の内部被ばくというのでいうと、3月の前半部分がかなり地位的?というふうに理解しています。

髙野:ちょっと私が勘違いしているのかもしれませんけど、浜通り、中通り、避難区域に分けた時は、避難区域からの悪性の患者の率が高かった結果というのは、このデータに反映されているのでしょうか?

大平:今回の解析は、同じデータセットを用いて解析を行っていますが、区分をUNSCEARの推定甲状腺吸収線量を用いて解析した結果こうなっているということでございます。

髙野:そこでさっきの細胞診の受診率とかがかんでくると、またデータが変わってくる可能性というのはないんでしょうか?

大平:もちろんその影響は多少ならずとも出てくる可能性があります。先ほど先生がおっしゃったように、地域それから細胞診の実施率をですね、将来的には踏まえて解析を行う必要があるのではないかなというふうに考えております。

座長:地域間の比較から線量に変えたというのは、同じ避難地域と言ってても、実際に線量はかなり凹凸があるということです。このUNSCEARのたとえば40ページで見ていきますと、10歳児の、同じ避難地域と書いてますが、低い所は12、高い所は58とか、結構でこぼこがあるんですね。そういうものを入れて行った時、どこの地域で発見が多かったかというふうに、解析し直して行るところ?かと思います。

片野田:今の(参考)資料5の40ページの見方について確認なんですけど、このテーブルは避難区域の人たちのテーブルで、一番はじめの富岡であれば、富岡にずっといた場合と郡山に避難した場合と、その2通りをやったというような理解でいいんでしょうか?

大平:先生、すみません。たとえば富岡の人は、ほとんどが郡山に避難してるので、避難経路は郡山ですという意味合いですね。例えば楢葉であれば、田村に行っている人もいれば、会津美里に行っている人もいる。そこで避難経路によって吸収線量を違うように評価しているという、こういうことです。

片野田:わかりました。で、ひとつの市町村が必ず同じひとつに避難しているわけではなくて、市町村によっては複数の場所に避難している場合もあるということですかね。わかりました。

祖父江:今の40ページの表ですけど、Destination dose, Total dose, Projected dose, Averted doseはわかったんですが、これは食事由来の被ばくというのは考慮していないということですか?

座長:食事由来のものが、このDestinationのところに入っているんです。避難地域以外は、この、Destinationのところでの食事の量っていうのが一律に全部付与されているもので、行った場所によっては、県外であればそこがなくなっている。

祖父江:あ、なるほど。埼玉だとDestination doseが非常に低いというのはそういうことなんですか。

座長:はい。

片野田:さきほどの質問に対する答えに関してなんですけど、20から25のところで見かけ上というか突出して高いという結果について、実際、どの市町村で何名かがみたいな数字は出ますでしょうか?

大平:郡山が一番多いと思います。

片野田:やっぱり人口の多い所が多いとは思うんですけども、そのあたりの数は出ますか?

大平:それはデータとしては持っております。今、手元にはございませんので後日。

片野田:出そうと思えば出せる、と。

大平:はい。

祖父江:今の関連で、今までの検診の受診状況の表はすべて4地域となってますので、同数?に関して、この地域ごとの分布がわかるとですね、まあ、今までの検診の受診状況との比較が割としやすいと思います。で、今後やっていくこととしては、性・年齢だけじゃなくて、受診状況に応じた調整を行うということが必要なので、そこのアンバランスがどの程度起こっているのかということを確認する参考にはなると思います。

座長:その辺は宿題として今後検討をお願いしたいと思います。

片野田:私も今後の提案として、資料1との絡みで申し上げます。細胞診の実施割合を2部なり3なりわけて、それでみてはどうかということと、もうひとつ実施年度ですね、参考資料2の2ページ目に本格調査の2014年度の実施地域と2015年度の実施地域の色分けがされていますけれども、これと比較しながら見てたんですが、少なくとも2014年度の実施であれば、ある程度線量のバリエーションが確保できそうなので、2014年度の実施地域に限って同じ表を書いてみるのもひとつの方法かなと思います。

大平:どうしても__すると症例数が少なくなってしまうという、そういうリミテーションが出てくるとは思いますが、解析自体は可能です。

祖父江:今回のデータとはちょっと違うんですけれども、今まで発見率と、発見とアウトカムにしてますけれども、これ本来、罹患をアウトカムとすべきであって、先行検査を受けた全員について、検診以外で発見された甲状腺がんも把握すべきところです。従来から、がん登録との照合が必要であると言ってますけれども、少なくとも2015年までは、県の事業として行っているがん登録に関しては、県の判断で照合できると思いますので、ぜひ進めてほしいと思います。2016年以降は、これ、全国がん登録で、今、体制がちょっと変わっていますので、それはちょっとまだ時間かかるかもしれません。

座長:非常にタイムリーなご意見だったと思いますが、これは県の方あるいは医大の方で、がん登録をどういうふうに使って行くか、何か今の考え方ございましたら、お願いしたいと思います。もし、今即答できないようでしたら、この次にでも準備していただきたいなと思います。

安村誠司 福島医大理事(教育・研究担当)(以下、安村):以前から祖父江先生からご指摘いただいているように、地域がん登録のデータとの照合、また全国がん登録のデータを用いた集計等、今後やっていくということで、県と福島医大でそれは進めて行くということは考えております。よろしくお願いいたします。

座長:できればこの次にでもですね、大体どういうふうなスケジュール感で動いているか報告していただければと思います。

吉田:二次検査の実施率および悪性・疑い発見率という一連の表の中で、発見された人たちが罹患した甲状腺がんの年齢別の層別というのはやらなくていいんですかね。放射線の方は6歳から14歳と15歳以上というふうに分けて書いてますけど、一番交絡因子の中で関係するのはやはり年齢だと思いますので。

座長:それも今、データとしては、解析前のものがあると思うので、また次回にでも説明してもらえるといいかと思います。こういう細胞診実施率と悪性・疑い発見率の、年齢階層別ということかと思います。

志村:前回の評価部会で年齢階層別の細胞診実施率のデータは出させていただいたと記憶しております。参考資料1です。参考資料1の表1が年齢別で、表2がそれを検査間隔3部に分けた層別となっておりますので、ちょっとこれをご覧いただいて、また解析が必要でございましたらお教えいただけるとありがたいです。

1:11:15
座長:それでは次の議題に移りたいと思います。甲状腺検査対象者への説明・同意について、事務局の方から説明お願いいたします。

志村:資料2-1甲状腺検査のお知らせ改訂案」をご覧ください。前回の検討委員会におきまして、評価部会の中で甲状腺検査のお知らせについてメリット・デメリットの周知?内容について素案を作成して検討せよというご指示がございましたので、作成しました。現時点におきましては、ページ②-5がお知らせということになってまして、ここで簡単な説明がされている状況でございます。改訂に関しましては、前回、第11回評価部会で各部会員の先生がたのご意見をいただいておりましたので、それを反映する形で、また検査対象者にとってわかりやすい表現や手法を用いることに留意して作成いたしました。まず今回の改訂案として、お知らせという冊子の表紙に、②-1ページですね、メリット・デメリットの要約というか、主なものを文章化しまして、詳細なものは別紙、別のところにあるものをご覧いただきたいという旨を書かせていただきました。それで別紙に関しましては、②-3ページに、とりあえず現時点で、少しまた、実際、中まで見ていただく時には見やすくしたりとかいう工夫をするつもりではありますが、案として作成させていただきました。最初に検査が始まった経緯と、検査にはメリット・デメリットがあることなど、一般的には甲状腺の超音波による甲状腺検診は行われて来なかったということを記載させていただきました。内容では、メリットが1から4、デメリットが1から4ということでまとめさせていただきまして、メリットの1から3およびデメリットの1から4は、前回の評価部会の先生がたのご意見を整理した形でまとめました。メリットの4番に関しましては、われわれが平素説明している内容を反映させていただきました。ご説明は以上です。

座長:続けてこの改訂案を部会のみなさんに回覧しまして、またコメントをいただいております。そっちが資料の2-2「甲状腺検査のお知らせ改訂案への部会員意見」にまとめてあります。それについて事務局から少し説明をお願いいたします。

県民健康調査課・鈴木:②ー6、資料2-2をご覧ください。お知らせ文改訂案について、事前に各部会員にお送りし、意見をいただきました内容を列挙したものでございます。内容について簡単にご説明いたします。
まず、資料2-1の②-1ページ部分でございますが、このお知らせ文改訂案に対しまして、阿美部会員から、今まで甲状腺の超音波検診が一般的に行われて来なかったという記載がなくなり、曖昧に感じる、というご意見をいただきました。
次に ②のお知らせ文中段18〜23行目の目的記載部分についてでございますが、祖父江部会員・髙野部会員から、検査の目的としての記載内容を変更すべきというご意見をいただきました。
次に、③のお知らせ文後段、24〜31行目のメリット・デメリットの記載について、祖父江部会員・髙野部会員から、別紙の説明内容との整合性や重複する部分があるので不要ではないかというご意見がございました。
次に、お知らせ文最後、④の32〜34行目、検査希望の確認について、祖父江部会員・髙野部会員から、16歳以上の方からの本人同意についてご意見をいただきました。
次に、②-7をご覧ください。資料2-1の②-3ページ、別紙「甲状腺検査について」ですが、⑤の資料全体について、祖父江部会員から、証拠に基づいた記述にすべきであり、既存のガイドラインの引用として、IARC報告書を引用すべきとのご意見をいただきました。髙野部会員からは、メリット・デメリットを、利益と害とすべきというご意見をいただきました。
次に⑥1〜6行目に対し、片野田部会員・祖父江部会員・髙野部会員から、ご覧の記載の内容のとおりのご意見をいただきました。次に②-8ページでございますが、⑦の7行目から、全体につきまして、髙野部会員から、整理の仕方についてご意見をいただきました。
次にメリット部分、⑧から⑩までについて、祖父江部会員・髙野部会員から、エビデンスがないというご意見をいただきました。
次に丸11、メリット(3)に対しまして、片野田部会員から、受診者のメリットではないのではないかというご意見をいただきました。
次に②-9でございますが、丸13のデメリット(1)(2)(4)について、髙野部会員から、若年者の甲状腺がんは早期診断・早期治療が必ずしも利益にはならない、若年者の甲状腺がんが通常のがんとは大きく異なる自然史を持っていることを説明する必要がある、として、改訂案としてご覧のご意見をいただきました。
次に丸14、デメリット(1)についてですが、阿美部会員から、甲状腺がん検診は推奨されていないことを記載した方が良いというご意見、祖父江部会員から、利益が示されていないということを不利益の部分に記載すべきというご意見や、加藤部会員・南谷部会員から、若年の甲状腺がんの転移や予後についてのご意見、南谷部会員から甲状腺乳頭がんの死亡率がもともと低いため、別の指標を用いて比較すべき、とのご意見といただきました。
次に丸15、デメリット(3)についてですが、片野田部会員から、この項目に対する脚注として、本格検査にがんないしがんの疑いの割合を記載すべきというご意見をいただきました。
次に丸16、デメリット(4)についてですが、この報告は甲状腺検査のデメリットではない、というご意見をいただきました。
次に、②-10ページですが、丸17、参考※全体について、阿美部会員から、全体として内容が甲状腺検査を受けるように誘導しているというご意見、南谷部会員から、表やグラフで示した方がいいというご意見をいただきました。
次に丸18、参考※2についてでございますが、片野田部会員から、ベラルーシの検査との比較ではなく、今回の検査における値を記載し、低いという価値判断も不要というご意見をいただきました。髙野部会員から、超音波検査を受けた集団と受けない集団とで比較したデータを提示する必要がある、というご意見をいただきました。
次に丸19、参考※3についてでございますが、片野田部会員から、この文章から5mmを基準とすることがなぜ過剰な診断の抑制となるのかわからないというご意見、髙野部会員から、この記述で不必要な診断が妨げられているとは証明されていないというご意見をいただきました。
次に丸20、参考※5についてでございますが、片野田部会員から、細胞診の実施割合の示し方について、ご意見をいただきました。
次に、②-11ページをお開きください。その他といたしまして、阿美部会員から、一般的な状況においてがん検診は推奨されていないというご意見、加藤部会員から、甲状腺がんの一般論と特殊な状況での検査を分けて考えるべきというご意見、髙野部会員から、インフォームドコンセントの説明の目的の上で、害については可能性の段階であってもすべて提示すべきであり、科学的根拠の乏しい利益の提示は慎むべきというご意見をいただいております。
最後になりますが、参考資料3としまして、前回部会員からいただいたご意見を添付しております。事務局からの説明は以上でございます。

阿美弘文 部会員(以下、阿美)(甲状腺外科医、福島県):お知らせの表面の方はいままで通りでいいのかなと思いまして、メリット・デメリットの方はもっと単純に羅列するっていうかたちの文章にした方がいいのかなというふうには考えてます。

1:23:40(この辺から、かなり議論が白熱してくる。)
座長:この検診の目的の書き方のところで祖父江部会員の方から、「本検査は甲状腺にかかわる健康影響を最小限にすることと放射線と甲状腺がんとの関連を正しく評価することを目的としています。」というご意見でしたら、これは県の方から、もともとここに書いてありますように、甲状腺検査、不安に応えるために始まったということで行われていますので、ちょっとコメントいただけますでしょうか。

鈴木:はい、参考資料4(甲状腺検査に関する目的について(第9回甲状腺検査評価部会 資料1‐1)をご覧いただけますか。第8回部会におきまして、甲状腺検査の目的に対しまして、祖父江部会員からご意見があり、第9回部会でご説明させていただいた時の資料でございます。今回、祖父江部会員および髙野部会員から、検査の目的をこれにすべきというご意見であります。甲状腺検査は、これまで、資料等の記載のとおり、「県民の不安に応えるために始まり、これまで子どもたちの健康を長期に見守ること」を目的に実施してまいりました。第9回部会の時の事務局としてのご説明においては、検討委員会と評価部会の設置要項における目的に包含されるもので評価していただきたい__の視点?であると考え、ご説明したところでございます。検査の目的自体を変更する場合、検査のあり方についての議論になると考えております。今回の利益や不利益を丁寧に説明するとの趣旨でのお知らせ文の改訂の議論とは別にご議論の上、検討委員会にもはかって行く必要があるものと考えております。

祖父江:受診者の方に目的を正しく理解していただくというのは、初期の段階ではちょっと難しかったかもしれませんけど、かなり時間が経って冷静になってきた時に、検査の目的というのは何なのかということを考えていただくのには、やっぱり本来の目的というものはこういうものであるというのをきちんと記述した方が、何のための検査なのかを考えて行く情報として有用なものだと、私は思います。

南谷:部会の構成メンバーが変わって、初期からのメンバーは加藤先生だけだと思うんですけども、最初の時の資料をちょっと見てたんですけど、この会議の第1回のところの資料2の、②-6とかいうパワーポイントのスライドだと思うんですけど、当初、私の記憶では、被ばく線量は多くはないから甲状腺の検診はあまりやる必要がないというスタンスだったと思うんですけれど、②-6の上のところのスライド11に3つポチがあって、線量が少ないけれども、当然ながら不安があるから検査を始めたというのがこの検査の趣旨だと思うんで、それを変えるというのであれば、また、県民のかたがたの意識がどうなっているのかというところを確認しないとどうなのかなという気もしますが。

第1回甲状腺検査評価部会(2013年11月27日) 
資料2「甲状腺に関する基礎知識と甲状腺検査の概要」スライド11
座長:この甲状腺部会の中で、この検査のそもそもの目的のところをもう一度書き直すというのは、先ほど事務局の方も、設置要項自身から変えて行くというような作業が必要ではないかという意見があったかと思いますので、とりあえず今のままの設置要項の中に書かれている文面で行くというのが、今、ここに出されている案になっているかと思います。

祖父江:われわれ作業するようになってから議論をした甲状腺検査の目的というのは、被害を最小限にするということと、線量の関係を正しく評価する、とこの2点であるというふうに私は確認したと思っております。で、そこのところはまず一応押さえた上で、受診者の方への説明文の中に加えるかという議論をしていただくのだったら、そこは議論が必要だと思いますけれど、一応、まあ、目的としては、ここで同意されたものだと私は思ってました。

座長:ひとつはですね、当初から過剰診断というのが非常に大きな問題になってて、今現在、健診体制というのは、色んな議論をしてきた中で、かなり精度が上がってきた、そういう意味で過剰診断が起きにくい体制が、今、作られてきているんではないかと私は理解してるんですが、そういう現在における説明としては、当然、今、祖父江先生がおっしゃった、健康影響を最小にするというような健診体制をこちらがある程度評価して、過剰診断がなるべく起きないような体制ができているかということをみていくという意味では、やってるんじゃないかというふうにちょっと思っていますけど。

祖父江:いや、健康被害を最小限にするというのは、甲状腺による被害、甲状腺がんによる、ですね、端的に言うと。甲状腺がんによる死亡減少、死亡を減らす、まあ死亡は非常に少ないですから、それにまつわるような健康被害を少なくするということを目的にする、と。検診を行うことによって、ですよ?利益の部分を想定しての行為である、と。ただ、甲状腺がん検診の超音波検査の場合は、その想定以外に不利益の大きさが非常に大きいので、その目的を達成するどころか、むしろマイナスの面があるということが、その議論の中で議論すべきことではありますけども、甲状腺検査そのものの目的としては、なんらかのベネフィットを与えることを目的とする、と。それと線量との評価をきちんとする、と。ここが目的であるということが、共通理解だと私は思っています。

1:32:05
吉田:確かに祖父江委員の言うようなことは、この会の第8回ですか。一番最初の会の時に議論されたことだと思うんですけど、今言われているこの、なぜこの検査が始まったかということとは、直接は関係ないと思うんですね。これは、だって、こういう格好で始まりましたよということを、それで今の状況を、この後、書いてるんですから。

祖父江:始まったきっかけを、私、言ってるわけじゃなくて、この検査の目的、です。何をもって目的を達成したかというか。

座長:そちらの方になると、結局、メリット・デメリットの議論のところに入ってくるんじゃないでしょうか。

祖父江:___というのが、何をきっかけにして始まりましたという意味であれば、私の言ってること全部取り下げていいかもしれません。何かを目的として、という意味で言ってるのであれば、私の言ってることをちょっと議論していただきたいと思います。

髙野:インフォームドコンセントのフォーマットの原則として、やっぱり、目的は示さないと、そもそもインフォームドコンセントと言えないと思いますので、やはり、形式的でもこれが目的であるということは提示する必要があるし、その中身については議論の結果でいいと思いますけども、この書き方だけでは不十分だと思います。

座長:これに関して、医大あるいは県の方から何かあれば。もともと、この検診は不安に応えるということだったので、ほとんどの人が心配するような状況ではないということを受診者に伝えるというのは、まず第一の目的になってるんだと思います。第二に、そこで実際に甲状腺がんが見つかった場合、それが過剰診断にならないように、そしてまた最適の治療を受けられるようにするというのが、それに付随してきているということになるんだと思うんですけども。そこは、この後のメリット・デメリットのところに書かれていると思うんで。やっぱり、一番最初にあるのは、この検診の目的というのは、不安に応えるというのが目的になるということ、私はおかしくないと思うんですけど、いかがでしょうかね。で、当然そういう検診をやって行った時にデメリットもあるんで、それは十分に理解してほしいということで、このインフォームドコンセントの書き方になってるかと思ってます。ですから、もし、始まりましたという書き方じゃないとすると、不安に応えることを目的にしておりますという書き方、何かその辺の、まあ、こっちの設置要項との関連でいうと、そういうふうな書きっぷり?に修正なるのかと思いますけども。いかがでしょうか。少なくとも、甲状腺がん、もともと死亡率が高い疾患ではないですから、死亡率を下げるためにやっているというような目的ではないです。でも、万が一見つかった場合は、なるべくQOLを害さないような治療機会を提供することになる。大部分の人にとっては、やっぱり、みなさん心配しているようなものではないと伝えられるというのが一番の目的になると思うんですけども。

祖父江:私はそう思いませんけども、ここのところよりも、むしろメリット・デメリットの__の方が重要なので、そちらの方の議論を進めた方がいいかと思います。

座長:それでは、その次のメリット・デメリットの方に移りたいと思います。(後略)

祖父江:重複しているので、整合性とれるようにきちんとした内容は別紙の方に、というのでいいと思うんですけども、ここに書いてある、IARCレポートの一番大きな事実として記述されているのが、専門家が不利益が利益を上回ると判断しているということですね。で、ここは、多くの人がそうは思っていないところなので、非常に重要なというか、必ず伝えるべきことだと思います。ここのところが議論していただきたいんですけれども、そのことをエッセンスとしてここで書くべきだと。

座長:現実に今、小児甲状腺がんの早期診断というのがどういうメリットとしてみて行けばいいかというのが、あまり明確になってないので、IARCの報告書自身もそこがそんなに解析できるデータを持ってなかったので、何も書いてないのだと思います。また、日本のように非常に手術侵襲を限定してやっていくというような手術形態を取っているところも、そんなに世界的にないわけですね。吉田先生、ちょっとその辺の日本の今の甲状腺手術の・・

吉田:はい、あの、小児甲状腺がんというのは非常に甲状腺がんと言われるものの中には、みな、手術しないと甲状腺がんであるという正確な診断がつきませんので、手術されたものの中では、小児甲状腺がんは1〜2%くらいしか占めないですね。それで、手術しないでそれをずっとみていくと言うことはできないんですね。みているグループというのはありますし、非常に小さいものは手術しないで経過観察でみようということになって、それを実際やってるんですけど、それはやっと始まって10年も経たないような状況です。それで、その、手術しなかったらどうなるかというようなことは、正確なエビデンスとしてはないわけですね。それと、手術したもので死亡率が低いから、まったく意味がないというような論調でWHOのIARCのレポートが書かれてますけど、それを金科玉条のごとくですね、__めるというのは、僕はこのIARCのレポートというのは、エビデンスレベルとして低いものだろうと思うんですね。低いものをいくつ集めても低いのは変わりないんです。本当に質が高いエビデンスっていうのは、やっぱり、今、世界で最大のってのはやっぱり、この福島で出てきた甲状腺がんじゃないかなと思いますので、これが超音波検査で見つかった甲状腺がんですね。これを手術しないでずっとみてたという群があればそれと比較するのが一番なんですけど、それにしてもまだ10年、20年、もっと30年、40年経たないと分からないんですね。本当のエビデンスというのは出てこないと思うんですね。ですから、そういった意味で、あまりそのことを、WHOのこの提案というのは、尊重すべきであろうと思いますので、どこかには書かなくちゃいけないんだろうと思うんですけど、それを前面に、だからと言って、この内容を書き換えるようなことはしない方がいい、と私は思っておりますけど。

座長:ずっとこの一年間そうなんですけど、外科系の先生と内科系あるいは疫学系の先生の中で、どうしても見解が違っているところなんです。確かに小児甲状腺がんというのは、死亡というような意味でいうと、老人の甲状腺がんと比べると、死亡率は低いと思いますが、再発とか早期の転移とか、そういうアグレッシブネスという意味でいうと、むしろ高い。そういう意味でQOLというのは、小児の甲状腺がんをそのまま放っておいて行った場合、QOLは間違いなく悪くなるという、そこの途中段階のエビデンスはいっぱいあると思うんです。ただ、どのステージで手術したらそれがどのくらい変わるかというような細かいエビデンスがないというのは、髙野先生おっしゃってる通りなんです。

祖父江:この、別紙の方の中身にもう入ってると思いますので、この意見で行くと、甲状腺の②-7ですね。資料全体のところの意見として、私が申し上げさせていただいているわけですけども、専門家の意見を列挙する形で情報提供するというのは非常に混乱すると思います。で、もし提示するのであれば、きちんと証拠に基づいた記述をするために、システマティックレビューをこのグループでやるべきだと思います。ただ、それをしている時間と労力というのが限られていますので、既存のグループが行ったシステマティックレビューの引用をするということが考えられるので、その意味で一番客観的でレベルの高いまとめが、IARCのレポートだと思います。国際的な科学者が集まってやったものですから、このエビデンスレベルが低いというのであればですね、やっぱり、このグループでやって、きちんとエビデンスレポートを代わりに出さないと、そういう言い方をするのはちょっと良くないということだと思います。

吉田:エビデンスレベルが低いと言ったのはですね、もともと、エビデンスの元となるエビデンスがないから、それを無理にしてるから低いという話をしたので、これ、やり方を変えてもですね、そういうエビデンスの元のデータがないので、変わらないんじゃないかなというふうに思います。これは、どなたがやってもそうじゃないかと思います。だから、分からないということですね。

座長:まあ、あの、部会の中でも小児甲状腺がんに対してステージが長いほど予後が良くなるというようなデータは、ある程度出てきている。ただ、症例数が少ないということと、それからrandomized trialというような形で比較検討をしたような論文ってのは、一個もありませんから、結局その辺がエビデンスレベルが低いというようなところに繋がってくるんだろうと思います。ただ、どのレベルのエビデンスをもって、QOLが改善するというふうに考えるかで、ずいぶん変わってくるんだろうと思います。IARCの論文は、決してQOLをエンドポイントにした解析というのは、やってないですよね。で、今まで、私自身も見ましたけど、まだそれに関するエビデンスが、そういう報告が見当たらないから判断できない、というような判断をしている報告書、結構多いと思います。

南谷:色んな症例__データが小児がんで出てますけども、そういうの大体みると、肺転移が2〜3割あると。大人の肺転移は10%くらいなので、大人に比べると肺転移がとても多いということですとか、または、福島県のデータでもそうですけど、頸部リンパ節転移だとか、甲状腺外浸潤もかなり多い、7割以上でしたっけ?、そういうデータがちゃんと出てると思いますし、あと、ちょっと出しましたけど、この前の?データでもアクティブサーベイランスは、年齢が低い方が、低いと言っても20代とかですけど、20代の甲状腺がんはアクティブサーベイランスをしていると、どんどん大きくなる率が、30代、40代、50代に比べると高い、まあ活動性が高いという、そういう報告は出てますね。だが、それぞれ施設ごとのデータなので、__ができるかというと、それはなかなか症例数が少なすぎるんで。福島県でも今の点で125例くらいでしょうから、なかなか難しいような気もしますけど。

祖父江:あの、先生がた、ということはですよ、そのIARCのレポートで行っているharm and meritのレビューですね、これがレベルが低いと。で、個々のレポートを積み上げた方が、違った答えが出ると。あの、IARCは基本的に・・

南谷:私が言ったのは、放射線とは関係ない小児甲状腺がんの話であって、今回、ここでやってるのは、まあIARCの方も、放射線で誘発された甲状腺がんのスクリーニングはデメリットが多い、そういうことであって、ここで見つかっている小児甲状腺がんが、放射線が関係ないとしたらばそれはそれでまた、別に大事な議論になると思ってますけど。わかりますかね、言ってることが。

祖父江:よくわかりません。

髙野:ちょっと、ここの誤解は解いておきたいんですけども、小児甲状腺がんが非常にアグレッシブで経過が悪いというのは、大きな誤解だと思うんです。まず、prognosisは大人の方に比較して圧倒的にいいですし、それからちょっと福島のケースで考えないといけないのは、超音波で見つかったケースであるということ。それから、今ので、南谷先生が論文のレビューとかでおっしゃってるのは、症状があってadvancedなレベルで見つかっていること、ここに大きな違いがあって、それでadvancedなレベルで見つかっても非常に生涯prognosisはめちゃくちゃいいですから。それで、隈病院のデータも出されていましたけども、隈病院のデータとは別のデータもありまして、30歳以降になると成長が止まってくる。こういうデータも出てます。ですから基本的には、10代、20代で非常にアグレッシブに成長して転移とかもしますけども、その後は段々おとなしくなるという説があります。ですから、ちょっと大人の甲状腺がんと一緒に考えると、大きな判断ミスを起こすんじゃないかなと思っています。

南谷:ちょっと良く分からなかったんですけど。Prognosisって、何を言ってるんですか?

髙野:一般的な死亡率のことです。

南谷:それは先ほどから出てるんですけども、死亡率はもともと低いんで、子どもにとって生きるか死ぬかというよりやっぱりQOLですから、生きるか死ぬかそれでいいと言われても、小児科医としては、それはちょっと認められない、許せないですね。やっぱり、どういう学校生活を送れるかというそういう意味からですし、あともうひとつ言わせていただくと、福島県で見つかっているケースでも、もう肺転移が3人いますし、早期に見つかってみてるのでもそうだと。だから症状が出て、もうちょっと放っておいたら、肺転移が増える可能性はある、とは思いますけど。

髙野:ですから、そこで問題になるのが、超音波で早期に見つかっている。なのに、8割以上がすでに、甲状腺外に進展している、と。これをどう考えるかということで、じゃあ超音波かけなかったらどうなっているのかということですと、おそらく、先生がおっしゃっている、肺転移などを起こしている例を除いて、今でも無症状でいるんじゃないかということは十分推測できます。ですから、それをもって、非常にアグレッシブな症例をつかまえているという考えは、やっぱり違うんじゃないでしょうか。

座長:多分それは、今の学会の超音波の所見からbiopsyを行うかどうか、今実際にどの症例がよりアグレッシブで手術に向けた方が、検査をした方がいいかということを、実際に県立医大の方で実践しているわけですが、そのcriteria自身、どう思われてますか?それ自身がもう、間違いだというふうな考え方でしょうか?

髙野:今回のケースは、とにかく世界で初めてのケースなので、あまり先入観を持たずに考えた方がよくて、やはり、一番問題になっているのは、放射線の影響がないとされながら、罹患率が跳ね上がっているということで、じゃあ、跳ね上がった分の罹患率を出している患者というのは何者なのかというところに視点を集めなきゃいけなくて、その患者さんが、放っておいたらQOLがガクッと悪くなるような患者さんなのかというところが考えるべきだと思います。

南谷:放射線の影響がないっておっしゃられた時点でこの部会は存在すべきじゃないと思いますんで、やめた方がいいと思いますけど(拍手)。追加しますと、先ほどの議論でも、まあ、県民の不安を解消するためにやってると。甲状腺がんの不安というのでなくて、放射線による影響の不安で、影響を受けるのは甲状腺なのでそういう甲状腺の検査をしているという、そういう認識で私はいます。

座長:まあ、あの、この議論、委員の立場がきれいに分かれてしまっていて、なかなか妥協点がないというか、収束点がないというのが欠点の議論になってしまっているんです。で、いくつかの点に関して、メリット・デメリットの中で、具体的に挙げてきた中で、これはやっぱり違うんじゃないかというようなことを、もう少し議論していただけないでしょうか?最終的には、これ、県立医大の方が、あと親委員会の方が、こういう文章でやって行きたいと言った時に、どう判断して行ったらいいか。こちらがそれに対する論点を十分ディスカッションしているかということが重要だと思ってます。で、メリットに関していくつか、たとえば、⑨メリット(1)のところに、「甲状腺に異常がないことが分かれば、放射線の健康影響を心配している方にとって、安心とそれによる生活の質的向上に繋がります」ということに関して、祖父江先生が「証拠に基づいた内容ではない」。これは、どういう証拠を期待して書かれているのか、ちょっと説明いただけますでしょうか?

祖父江:安心、あるいは生活の質の向上。これをどうやって測るかっていうことですね。

座長:はい、安心に関しては、たとえば、栃木の方で同じような検診をやった後のアンケート調査をやった先生がおられますが、結果として大丈夫だったと言われた時に安心を覚える方が大部分で、そのレベルのエビデンスでよろしいんであれば、引用できると思います。

祖父江:ですから、検診受けた人の中で、受けない人と比べて、相対として、安心というか、なんか仕様がですね、改善したというなら、それはそうかもしれません。ですけど、中にですね、異常がないことが分かればじゃなくて、異常がある人がいますね。で、間違って異常があると言われた人もいますね。そういう人たちの不安のところは、やはりきちんと考えないといけないということです。ですから、受診者全体での総量としての安心とかですね、生活の質の向上が上がるんだったらやるということなんじゃないですか。

座長:それは、県立医大の方に少し振りたいんですが、今までそういう受診者の意向調査のようなものは実際にやられてますでしょうか?

志村:すでにpublishしてる論文の中で、放射線へのリスクへの心配が甲状腺検査を受けた方で下がったという論文は出しております。あとは、こころのケアの方で、心的な状況に係る報告を検討委員会でたびたび行っていますけども、それはまあ、甲状腺検査が原因かどうかというのは難しいところですが、軽減しているという、そういうこともございます。

座長:ある程度、医大の中で受診者に対する調査の結果は、__したものはあるというご意見でした。そういうエビデンスが出るということではないと__

祖父江:個々の断片的な論文を根拠として記述をしていくこともいいですけども、それで一体、何を受診者の方に伝えるのか、です。総量として、メリットとデメリットと、どちらが一体大きいのかという判断をですね、誰がするのかですけども、それを個々の事実を羅列して、しかも専門家の意見も含めてバラバラな意見を羅列をして、それで判断を受診者に求めます、と書いただけでいいのか、ということです。

吉田:エビデンス、エビデンスということなんですけど、これは説明文であって、これを実際に読んだ人がですね、どの程度わかるかということでですね、エビデンスを積み重ねて、こうです、こうです、という説明では論文としてはいいかもしれないんですけど、一般の説明文としてはこれでいいんじゃないかなと私は思いましたけども。

片野田:もともと、この部会で、メリット・デメリット両方あるから説明した方がいいという意見が出てこれを作ってるわけで、この部会としては、どちらが多いかという判断まではしないものと私は理解していて、それで、メリットとして安心を与えられると記述して、デメリットとして、もしかしたら将来治療の必要のないものが見つかる可能性があると両面を提示するのであれば、今のままで私はいいと思います。

座長:はい、ありがとうございます。ちょっと落としどころを示していただいたようなんですが・・。いかがですか、阿美委員?

阿美:わたくしの意見としてはですね、この福島の検診を期に、対象外への検診の広がりがある。で、全然関係ない県で検診が始まったり、大人に対して超音波検診が行われていたりというようなことが実際に起こってまして、そういったことは推奨されてないというのは一定の事実だとは思いますので、そういう記載をちゃんとした方がいいというふうに。(最後聞き取れず)

座長:確かに、線量、被ばくの可能性はほぼないという人たちに対して甲状腺検査というのを積極的に推奨する所はどこもないわけです。一番、福島で悩ましいのは、誰もあなたたちは被ばく線量がゼロですよという保証をしてくれる人がないという現状だと思うんですね。今もUNSCEARの、私たち、線量評価、決して正しくないだろうと、過大評価になってるだろうというふうに思ってますけど、やっぱりこういう形で、線量評価に対して権威のある国連の科学委員会が、福島の線量をこういう形で、ある程度、ゼロではないということを言ってるということは、重いんだろうと思うんです。だから、髙野委員がおっしゃるように、被ばくがないからやる必要がないっていうふうな前提でまず議論を始めてしまうと、ちょっと難しい話になるのかなと思うんです。

髙野:言ってるのは、被ばくがないからやる必要がないと言ってるわけではなくて、今までの結論で、被ばくの影響が見えるか見えないかと言った時に、見えないという結論を出しているにも関わらず罹患率が跳ね上がっていると。これはいいこととみなすのか、悪いこととみなすのかということを、ぜひ考えてくださいと言ってることで、被ばくの影響がないと言ってませんので、これはちょっと誤解を招かぬようお願いします。

座長:はい、ここはまた別の議論になるかと思います。それはこの間ずっと、なんで検診の受診率とか細胞診実施率とか、そういうものが微妙に絡めてるという議論をしてきてますんで、今、その議論をここの中に落とし込む必要はないんでないかと思ってます。あくまでここでは、過剰診断を、間違えば起こしてしまうという検査をやってますよということを、伝わればそれでいいんだろうと思ってますんで。どうですかね。メリット・デメリットを提示した上で、それがそれぞれどうなってるかという価値判断まで含まないで説明文を作るという・・

祖父江:今、受けておられる人たちの理解度を調査した結果というのが、まあ、こないだの国際シンポジウムで緑川先生が言っておられましたけども、不利益が存在していることを知っている人がほぼいない。もう、1割以下という状況で、その理解度のギャップをですね、とにかく埋めるのが一番重要なことだと僕は思ってます。

座長:それでここで、デメリットということが正面切って入って来ちゃうんだろうと思ってるんですが。

祖父江:で、まあ、不利益という言葉自体が、馴染みのない言葉ですけども、そのことを羅列することで理解を得るということだと、ですから、IARCの、まあ、不利益が利益を上回るという判断というか、これはまあ、システマティックレビューにもとづく専門家の判断ですけど、このことを、きちんと伝えることが僕は重要だと思うんですけども。

座長:あれはあくまで、一般集団ですよね。あの、IARCのは2つに分かれていて、at riskの人たちっていう、リスクがあると思われるグループに関しては、別の話をしているわけです。ただ、あそこで、線量を、IARCのグループは100〜500 mGyというような線量を出してますけども、あのこと自身、あの論文のあとに、今、出て来ている、小児甲状腺がんの評価ですと、結構、50 mSvくらいから相対リスクが1.5くらいになってるような論文も、これは一番、小児甲状腺がんの疫学解析の中では一番新しくて、しかもかなり強いデータになってるんですけど、そういうものを必ずしも反映してない。ですから、IARCがレビューした時点と、それ以降の話というのは違ってくる可能性があって、必ずしも、at riskというのが100 mGy以上だというふうに、今、断言できないんじゃないかと思ってるんです。そうすると、at riskになるかもしれない福島の集団に対して、どっちを使うのかですよね。IARCの、at riskの人たちに対する、モニタリングと言ってるガイドラインと、それから一般集団のリスクがない人たちに関しては、スクリーニングはリコメンドしないという、どっちを使って(最後、聞き取れず)

(筆者注:鈴木座長が言及されているのは Lubinらによる論文だが、2017年10月のIARC国際専門家グループの最初のミーティング以前に出ており、IARC国際専門家グループの報告書でレビューされてはいる。ただ、100〜200 mGy未満に関しての言及のみで、50mGyでの相対リスク(Figure 1)については言及していない。)


祖父江:今、福島でやっている甲状腺超音波検査は、線量にもとづいてやっているわけではありませんので、前者のリコメンデーションに相当すると私は思ってますけど。

座長:いや、at riskの人たちに対する、今、健診という形で、これ、始まったわけですよね、あくまで。

祖父江:__にもとづいては、やっていないですよね。

座長:線量が出てくるというのは、どの集団でも、疫学集団でも、ずっと後です。線量が確定した集団だから始めましょうというふうにはならない。

祖父江:いや、その方がいいと思います。甲状腺検査の場合は、確定した後の方が。早急にやってるのは、何のメリットもないと僕は思ってます。

片野田:私もIARCの報告書をかなり読んだんですけど、その、やるかやらないかは、その地域の社会的状況に応じて決めるべきだというような、最後はそういう__になっていたと理解してますんで。福島においては、その住民の感情なり社会的な状況を考慮して、今、この検査が行われているふうに理解しているので、あれをもとに、この福島でやるべきかどうかというのを、ここで蒸し返すのはちょっと違うんじゃないかなと感じてます。

座長:ちょっと時間もだいぶんオーバーになってきてますんで、今、いくつかご意見が出てましたんで、少し、修文しないといけない所も出て来たかと思います。で、一度、今の議論の段階を、やはり親委員会の方にあげてみて、こういう議論でしたという形で出したいなと思うんですけど。

南谷:前も言ったんですけど、小児科病院で臨床研究やる時は、小学生でも同意書を求めますんで、これ、15歳以下は保護者とか色々案が出てますけど、小学生もサインを求めるべきです。でないと、通常の臨床研究は求めてるので。あと、説明文書ですよね。この説明文書を、小学生が読んで分かるでしょうか。小学生が分かるような文章も作っていただきたいと思います。

座長:はい、ありがとうございます。医大の方で、今の案を。小学生でも同意のサインをいただくべきだという話でした。また、小学生が理解できる別バージョンの説明文書も必要ではないかというご意見でしたが、いかがでしょうか。

志村:はい、別にサインをいただく紙がございます。16歳、高校生以上は必ず本人のということで、それ以下の子どももサインはできるような形で欄は作ってあります。ちょっとその辺の整合性はまた本学の委員会と検討した上で最終的には決めさせていただきますが、基本的にサインはできるようにはなっております。いわゆる、お子さんでも分かるような説明文書っていうのも重要であることも、認識はしております。まあ、骨子が決まらないと、その説明も何も決まらないので、まずこの、いわゆる方向性の決まってからの作業になるかと思ってます。

座長:ある程度議論が平行性のままで、なかなか着地点がないという議論が続いています。で、やっぱり、あの、いつまでも昔の同意書・説明文のまま続いていくというのも、デメリットについてきっちり対象者に伝えてないということもありますんで、あまり議論だけ長く続けるというのはいいことだとは思ってません。だから、今回出た内容で、ある程度、少し、より明確に書かなきゃいかんという所があれば、たとえば、メリットとデメリットに関して、線量がないような人たちに関しては、あまり推奨されるようなものではありませんというようなIARCの文章を、どっかに入れるかとか、そういうふうないくつかのオプションがあるんだろうと思ってますんで、ちょっとその辺を医大の方で叩き台を出してもらって、一度、委員のみなさんに回覧して行きたいと思うんです。で、根本的な所を完全に書き換えるということがなかなか難しいと思いますので、ある程度、あの、総花的になるかもしれませんけど、メリット・デメリットのようなものを書いたものでまとめて行きたいと思ってますが、よろしいでしょうか?

安村:この改訂案については、甲状腺のチームの__がですね、学内でも一生懸命、理解してもらえるような文章を作ってきた経過がございます。で、今の議論をお聞きして、部会長さんが先ほどおっしゃった、落としどころっていうのがどこかというのを、私も聞きながら考えていましたけども、これを、小学生でも理解できるようにということを含めてですけど、これだけ議論が一致点を見ない中で叩き台をと言われても、正直、私たちがどういう方向でまとめていいかっていうのは、非常に苦しいです。部会の方でしっかり方向性を決めていただいて、どういうポイントをメリットと書くのか、またはデメリットをどうするのか、あと、委員の中には、メリット・デメリットという表現自体変えるべきだという意見もございますので、ちょっと申し訳ありませんけど、もうちょっと部会で詰めていただければ、私たち、最善の努力を最大限やりたいと思ってます。よろしくお願いいたします。

座長:はい。あの、今の部会の中で完全に意見が分かれていますんで、ある意味、妥協点がないんですね。ですから、妥協点としては、先ほど片野田委員がおっしゃったように、価値判断を含まないでメリット・デメリットを羅列したかたちで、それを完成品にするという考え方があると思って、そこの中でまだ足りないというところ、たとえばIARCの価値判断というようなものを、どういう形で一文付け加えるかというようなところは、少し、妥協点として残ってるのかと思ってますんで、少しその辺に関するたたき台、逆に言ったら、この次の部会までに、少し委員の間で、私の方から何点か妥協点になりそうな文面を考えますんで、それをもとに、もう一度、部会員の方たちに、判断していただくというような作業をしたいと思います。医大の方からそれを出すのはしんどいということですので、ちょっと部会長として、それを、責任を持って出してみたいと。ただ、先ほどから言いましたように、これは、まったく考え方が違って、価値観が違ってしまってるんで、なかなか、両方が完全にハーモナイズされるようなものってのは、最終的に出ないんではないかと思ってます。ある意味、それはしょうがないのかなという気もするんですけども、なるべく、やはり、受診者の人たちに何がメリットで何がデメリットになるのかを伝えるというのが一番の目的だと思いますんで、そこは考えて行きたいと思います。ちょっとまとまりのない、今回、成案を仕上げることができないということで、大変申し訳ございませんでしたが、少なくとも、IARCの価値判断のようなものを、何らかの形で少し書き加えられるかということは、少し宿題として残させていただきます。






















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