*末尾の「前回検査の判定結果のまとめ」に、25歳時節目検査のデータ(本文では言及されているが、まとめから漏れていた)を追加した。(2020年8月24日)
2020年2月13日に、第37回「県民健康調査」検討委員会が開催され、2019年9月30日時点での3巡目(新たに1人が悪性ないし悪性疑いと診断、5人が手術により甲状腺がんと確定)、4巡目(新たに3人が悪性ないし悪性疑いと診断、7人が手術により甲状腺がんと確定)、25歳時節目検査(新たに2人が悪性ないし悪性疑いと診断、手術例の追加はなし)の結果が公表された。
前回の開催(2019年10月7日)から4ヶ月ぶりの開催であり、時期的には2019年12月末までのデータが公表されるのかと期待されたが、9月末時点でのデータしか公表されなかった。
各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数などは、「参考資料4 甲状腺検査結果の状況」にまとめられている。
全体的には、悪性ないし悪性疑い例は6人増えて237人(良性1人含む)となり、うち187人で手術が実施され、186人が甲状腺がんと確定診断されている。
**********
現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。
*これまで不明だった、集計外症例11人の病理組織診断については、福島医大の横谷進氏らによる英語論文(こちら)から、11例すべてが乳頭がんであることが判明した。
3巡目の結果
2016年5月1日から開始されている3巡目は、そろそろ終了に近づいているが、まだ数字に動きがあるため、結果の確定版が出されるには至らなかった。一次検査の受診率は64.7%で、二次検査を受診したのは8人、細胞診受診者は2人だった。
今回、新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは、2017年度実施市町村からで、事故当時に浜通り在住で9歳だった女性の1人のみである。2巡目での判定結果は、A2結節だった。3巡目での悪性ないし悪性疑いは30人となり、2巡目結果は、Aが20人(A1が6人、A2のう胞が10人、A2結節が4人)、Bが7人、未受診が3人となる。手術症例は、2017年度対象市町村で5人増えて24人(甲状腺乳頭がん 24人)となった。
4巡目の結果
2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、一次検査の受診率が6.4%増えて46.5%だった。二次検査を受診したのは92人で、6人が細胞診を受診した。
新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは、事故当時に中通り在住の3人で、男性2人(事故当時年齢10歳が2人)と女性1人(事故当時年齢7歳)だった。2018年度実施市町村から2人、2019年度実施市町村から1人である。前回検査の結果は、A1が1人、A2のう胞が2人だった。4巡目の悪性ないし悪性疑いは16人となり、前回結果は、A1が3人、A2のう胞が8人、A2結節が2人、Bが3人ということになる。
細胞診による腫瘍径の最大値が、前回までは17.2mmだったが、今回は29.4mmとなっている。
手術症例は、2018年度実施市町村で7人増え、4巡目で8人が甲状腺がんと確定診断されたことになる。
25歳時節目検査の結果
2017年度から開始された25歳時節目検査の結果は、通常の甲状腺検査とは別に、6ヶ月ごとに公表されているが、今回、1992〜3年度生まれの対象者における、2019年9月30日時点の結果が公表された。(受診は対象年度にとどまらず、次回の30歳時節目検査の前年まで可能で、追加の受診データも随時報告されていくことになっている。)
一次検査は、1116人が新たに受診しており、受診率は前回の報告時よりも2.5%上がったとはいえ、9.6%という低さである。二次検査対象となるB判定は93人で、前回検査結果は、A1が7人、A2が27人、Bが31人、受診なしが28人である。
二次検査を受診した62人のうち10人が細胞診を受診し、男性1人、女性1人の計2人が新たに悪性・疑いと診断され、25歳時節目検査の悪性ないし悪性疑いは4人となった。今回初めて、前回検査の結果が公表されたが、A2が1人、未受診が3人だった。A2がのう胞か結節かは公表されなかった。手術例は、今回追加なく、1人のままである。
また、今回初めて、平均年齢(24.8 ± 0.5歳、事故当時17.0 ± 0.8歳)と、平均腫瘍径(14.5 ± 2.7 mm, 範囲 12.3〜18.0 mm)が公表されている。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
以下は、1〜4巡目と25歳時の節目検査の結果であるが、同情報は、「参考資料4 甲状腺検査の状況」の6ページ目にもまとめられている。
先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例 102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例 14人
本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71人(前回から変化なし)
手術症例 52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例 19人
本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 30人(前回から1人増)
手術症例 24人(前回から5人増)(甲状腺がん 24人:乳頭がん24人)
未手術症例 6人
本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 16人(前回から3人増)
手術症例 8人(前回から7人増)
未手術症例 8人
25歳時の節目検査
悪性ないし悪性疑い 4人(前回から2人増)
手術症例 1人(前回から変化なし)
未手術症例 3人
合計
悪性ないし悪性疑い 237人(良性結節を除くと236人)
手術症例 187人(良性結節 1人と甲状腺がん 186人:乳頭がん 184人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例*** 50人
注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
2020年2月13日に、第37回「県民健康調査」検討委員会が開催され、2019年9月30日時点での3巡目(新たに1人が悪性ないし悪性疑いと診断、5人が手術により甲状腺がんと確定)、4巡目(新たに3人が悪性ないし悪性疑いと診断、7人が手術により甲状腺がんと確定)、25歳時節目検査(新たに2人が悪性ないし悪性疑いと診断、手術例の追加はなし)の結果が公表された。
前回の開催(2019年10月7日)から4ヶ月ぶりの開催であり、時期的には2019年12月末までのデータが公表されるのかと期待されたが、9月末時点でのデータしか公表されなかった。
各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数などは、「参考資料4 甲状腺検査結果の状況」にまとめられている。
全体的には、悪性ないし悪性疑い例は6人増えて237人(良性1人含む)となり、うち187人で手術が実施され、186人が甲状腺がんと確定診断されている。
**********
現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。
*これまで不明だった、集計外症例11人の病理組織診断については、福島医大の横谷進氏らによる英語論文(こちら)から、11例すべてが乳頭がんであることが判明した。
2016年5月1日から開始されている3巡目は、そろそろ終了に近づいているが、まだ数字に動きがあるため、結果の確定版が出されるには至らなかった。一次検査の受診率は64.7%で、二次検査を受診したのは8人、細胞診受診者は2人だった。
今回、新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは、2017年度実施市町村からで、事故当時に浜通り在住で9歳だった女性の1人のみである。2巡目での判定結果は、A2結節だった。3巡目での悪性ないし悪性疑いは30人となり、2巡目結果は、Aが20人(A1が6人、A2のう胞が10人、A2結節が4人)、Bが7人、未受診が3人となる。手術症例は、2017年度対象市町村で5人増えて24人(甲状腺乳頭がん 24人)となった。
2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、一次検査の受診率が6.4%増えて46.5%だった。二次検査を受診したのは92人で、6人が細胞診を受診した。
新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは、事故当時に中通り在住の3人で、男性2人(事故当時年齢10歳が2人)と女性1人(事故当時年齢7歳)だった。2018年度実施市町村から2人、2019年度実施市町村から1人である。前回検査の結果は、A1が1人、A2のう胞が2人だった。4巡目の悪性ないし悪性疑いは16人となり、前回結果は、A1が3人、A2のう胞が8人、A2結節が2人、Bが3人ということになる。
細胞診による腫瘍径の最大値が、前回までは17.2mmだったが、今回は29.4mmとなっている。
手術症例は、2018年度実施市町村で7人増え、4巡目で8人が甲状腺がんと確定診断されたことになる。
25歳時節目検査の結果
2017年度から開始された25歳時節目検査の結果は、通常の甲状腺検査とは別に、6ヶ月ごとに公表されているが、今回、1992〜3年度生まれの対象者における、2019年9月30日時点の結果が公表された。(受診は対象年度にとどまらず、次回の30歳時節目検査の前年まで可能で、追加の受診データも随時報告されていくことになっている。)
一次検査は、1116人が新たに受診しており、受診率は前回の報告時よりも2.5%上がったとはいえ、9.6%という低さである。二次検査対象となるB判定は93人で、前回検査結果は、A1が7人、A2が27人、Bが31人、受診なしが28人である。
二次検査を受診した62人のうち10人が細胞診を受診し、男性1人、女性1人の計2人が新たに悪性・疑いと診断され、25歳時節目検査の悪性ないし悪性疑いは4人となった。今回初めて、前回検査の結果が公表されたが、A2が1人、未受診が3人だった。A2がのう胞か結節かは公表されなかった。手術例は、今回追加なく、1人のままである。
また、今回初めて、平均年齢(24.8 ± 0.5歳、事故当時17.0 ± 0.8歳)と、平均腫瘍径(14.5 ± 2.7 mm, 範囲 12.3〜18.0 mm)が公表されている。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
以下は、1〜4巡目と25歳時の節目検査の結果であるが、同情報は、「参考資料4 甲状腺検査の状況」の6ページ目にもまとめられている。
先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例 102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例 14人
本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71人(前回から変化なし)
手術症例 52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例 19人
本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 30人(前回から1人増)
手術症例 24人(前回から5人増)(甲状腺がん 24人:乳頭がん24人)
未手術症例 6人
本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 16人(前回から3人増)
手術症例 8人(前回から7人増)
未手術症例 8人
25歳時の節目検査
悪性ないし悪性疑い 4人(前回から2人増)
手術症例 1人(前回から変化なし)
未手術症例 3人
合計
悪性ないし悪性疑い 237人(良性結節を除くと236人)
手術症例 187人(良性結節 1人と甲状腺がん 186人:乳頭がん 184人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例*** 50人
注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
前回検査での判定結果のまとめ
2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人
3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された30人の2巡目での判定結果
A1判定:6人
A2判定:14人(結節4人、のう胞10人)(前回より、結節1人増)
B判定:7人
2巡目未受診:3人
4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された16人の3巡目での判定結果
A1判定:3人(前回より1人増)
A2判定:10人(結節2人、のう胞8人)(前回より、のう胞2人増)
B判定:3人
2巡目未受診:0人
2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人
3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された30人の2巡目での判定結果
A1判定:6人
A2判定:14人(結節4人、のう胞10人)(前回より、結節1人増)
B判定:7人
2巡目未受診:3人
4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された16人の3巡目での判定結果
A1判定:3人(前回より1人増)
A2判定:10人(結節2人、のう胞8人)(前回より、のう胞2人増)
B判定:3人
2巡目未受診:0人
25歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された4人の前回検査での判定結果
A1判定:0人
A2判定:1人(結節かのう胞の内訳は未公表)
B判定:0人
2巡目未受診:3人
A1判定:0人
A2判定:1人(結節かのう胞の内訳は未公表)
B判定:0人
2巡目未受診:3人