メモ:2019年4月8日発表の甲状腺検査結果の数字の整理など



2019年4
月8日に、第34回「県民健康調査」検討委員会が開催され、2018年12月31日時点での3巡目(新たに3例が悪性ないし悪性疑いと診断、2例が甲状腺がんと確定)と4巡目(2例が悪性ないし悪性疑いと診断)の結果が公表された。

各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数・年齢・性分布、および各年度ごとの手術症例の人数などは、「参考資料1 甲状腺検査の状況」にまとめられている。

3巡目の結果
  2016年5月1日から開始されている3巡目では、新たに県外受診者10人を含む150人が受診し、17人で結果が判定された。一次検査受診率は前回よりわずか0.1%増えた64.6%、結果判定率は前回より0.1%減り99.9%だった。毎回繰り返しているが、1巡目と2巡目での受診率はそれぞれ81.7%と71.0%だったので、それよりも低いことには変わりない。今回、年齢階級別受診率で唯一動きがあったのは検査年度4月1日時点での年齢が18歳以上で、前回より0.2%増えて16.6%である。全体的な受診率のわずかな増加は、18歳以上の受診者によるものだということになる。
  一次検査でB判定とされた二次検査対象者は前回より2人増えて1487人となった。この2人は、中通り(鮫川村)と会津地方(湯川村)の住民で、いずれも2巡目検査は未受診だった。二次検査の受診者数は35人(2016年度対象市町村で4人、2017年度対象市町村で31人)増えて1059人になり、受診率は2.2%増えて71.2%となった。これも毎回繰り返しているが、1巡目と2巡目の二次検査受診率(92.9%と84.1%)より低い。二次検査の結果確定数は、2016年度対象市町村で8人増えて568人、2017年度対象市町村で54人増えて427人と、全体的には933 人となり、結果確定率はそれぞれ、0.7%増えた95.0%、5.9%増えた92.6%となり、全体的には2.9%増えて94.0%となった。
  2016年度対象市町村から3人、2017年度対象市町村から7人の計10人が新たに細胞診を受診し、2017年度対象市町村から3人の女性が新たに悪性ないし悪性疑いと診断され、3巡目での悪性ないし悪性疑いは21人となった。3人とも浜通りの住民で、事故当時年齢は、7歳、11歳、12歳だった。2巡目での判定結果は、2人がA1判定、1人がA2判定だった。A2判定の内訳(結節か、のう胞)については、悪性ないし悪性疑い21人中、現時点で2巡目結果がA2判定だった9人の内訳が報告され、6人がのう胞、3人が結節ということだった。前回(第33回)は、悪性ないし悪性疑い新症例3人のうち2巡目がA2だった2人について報告されておらず、前々回(第32回)の結果と比較すると、A2結節が1人、A2のう胞が2人増えていることになるが、前回の1人と今回の2人の個々の内訳は不明のままである。手術症例は、2017年度対象市町村で1例増えて15例(甲状腺乳頭がん 15例)となった。
  3巡目以降、さまざまなデータが公開されなくなっており、細胞診結果の平均年齢と平均腫瘍径は、年度別ではなく合計のみでしか報告されていない。また、二次検査実施状況は、市町村別ではなく地域別でしか公表されなくなっている。「別表5 地域別二次検査実施状況」によると、二次検査受診率は、避難区域等13市町村と中通りでわずかに増えて74.9%と73.8%、浜通りと会津地方では、前回よりそれぞれ6.9%と2.6%増えて66.4%と65.5%となった。二次検査受診者35人中20人が20歳以上(うち12人が浜通り)、35人中22人が浜通りの住民であることからも、浜通りでの二次検査が進捗したことがわかる。細胞診実施者10人は、3人が中通り、4人が浜通り、3人が会津地方の住民である。
  

4巡目の結果
  2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、一次検査対象者数293945人中、前回より受診者が35442人増えて76979人(2018年度対象市町村で72435人、2019年度対象市町村で4544人)となったが、増加人数の9割以上は2018年対象市町村からだった。受診率は前回の2倍弱の26.2%となった。結果判定数は34759人増えて60777人(2018年度対象市町村で57878人、2019年度対象市町村で2899人)となり、受診者の79.0%で結果が判定されている。B判定者数は、前回の276人増えて427人(2018年度実施市町村で383人、2019年度実施市町村で44人)となった。
  二次検査対象者427人中、143人(2018年度対象市町村で135人、2019年度対象市町村で6人)が二次検査を受診し、受診率は7.9%増えた33.5%だった。結果確定数は83人増えて90人となり、結果確定率は62.9%だった。90人中81人(2018年度対象市町村で78人、2019年度対象市町村で3人)がA1・A2相当以外となり、6人(全員、2018年度対象市町村)が細胞診を受診、うち2人が悪性ないし悪性疑いとなった。この2人に関しては、おそらく人数が少ないため、性別(男性1人、女性1人)以外の詳細は公表されなかった。手術症例は0人だった。

前回検査結果との比較
  表4の前回検査結果との比較で前回検査が未受診だった人の受診者に対する割合は、2巡目で8.8%、3巡目で6.9%、4巡目では現時点で10.2%である。前回検査でB判定だった人がまたB判定となる割合は、2巡目で53.4%、3巡目で61.5%, 4巡目では現時点で80.0%であることがわかる。
  (注:前回検査との比較表における「前回検査」とは、前回検査での一次検査の結果であり、二次検査後の再判定が反映された結果ではない。)


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現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数と、前回発表された25歳時節目検査の結果も含む、現時点での結果をまとめた。

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以下は、1〜4巡目と25歳時の節目検査の結果であるが、同情報は、「参考資料1 甲状腺検査の状況」の5ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     19人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 21(前回から3人増)
手術症例      15人(前回から2人増)(甲状腺がん 15人:乳頭がん15人)
未手術症例       6人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 2人(前回から2人増)
手術症例      0人


25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 2人
手術症例      0人

合計
悪性ないし悪性疑い 212人(良性結節を除くと211人
手術症例      169人(良性結節 1人と甲状腺がん 168人:乳頭がん 166人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      43人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。
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2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された21人の2巡目での判定結果
A1判定:4人
A2判定:9人(結節3人、のう胞6人)
B判定:5人
2巡目未受診:3人

4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された2人の3巡目での判定結果
未報告のため不明

メモ:2024年2月2日に公表された甲状腺検査結果の数字の整理、およびアンケート調査について

  *末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節、のう胞)が、まとめて公式発表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。  2024年2月22日に 第50回「県民健康調査」検討委員会 (以下、検討委員会) が、 会場とオンラインのハイブリッド形式で開催された。  ...