メモ:2021年1月15日に公表された甲状腺検査結果の数字の整理など

 

*末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節かのう胞)が、一箇所では公式に公表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。

 2021年1月15日に4ヶ月半ぶりに開催された第 40 回「県民健康調査」検討委員会では、2020年6月30日時点の結果が公表された。3巡目は確定版が7ヶ月前に公表されているため、今回、数字の動きがあったのは、実質、4巡目のみで、新たに6人が悪性ないし悪性疑いと診断され、3人が手術で甲状腺乳頭がんと診断された。2020年4月から開始されている5巡目の結果も公表はされたもの、パンデミックによる休校のために学校検査が実施されず、わずか564人が一次検査を受診するにとどまっている。

 各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数は、「参考資料 4 甲状腺検査結果の状況」にまとめられている。

 全体的には、前回の公表データ(第39回検討委員会で公表された「参考資料 1 甲状腺検査結果の状況」を参照)と比べると、悪性ないし悪性疑い例は6人増えて252人(良性1人含む)に、手術で甲状腺がんと確定された症例は3人増えて203人となっている。

**********

現時点での結果

 これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。


*集計外症例の甲状腺がん11人の病理組織診断については、福島医大の横谷進氏らによる英語論文(こちら)から、11人すべてが乳頭がんであることが判明している。

4巡目検査の結果

 2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、新たに 435人が一次検査を受診し、受診率はわずか 0.1%増えた 61.5%となった。二次検査対象者は 35人増えて 1,362人となり、うち 78人が新たに二次検査を受診し、15人が細胞診を受診した結果、6人が新たに悪性ないし悪性疑いと診断された。

 この 6人は全員が女性で、事故当時年齢は 0歳、2歳、6歳(2人)、10歳、11歳と、今回、初めて、事故当時 0歳と 2歳だった人たちが診断された。2人が中通り、1人が浜通り、3人が会津地方の住民で、1人が2018年度対象市町村の住民、残りの5人は2019年度対象市町村の住民である。この 6人の 3巡目の結果は、A1が 1人、A2が 2人(のう胞 1人、結節 1人)、Bが 1人、未検査が 1人である。

 4巡目の悪性ないし悪性疑いは 27人となり、前回結果は、A1が 5人、A2のう胞が 12人、A2結節が 4人、Bが 5人、未検査が 1人となる。
 
 手術症例は、2019年度実施市町村で 3人増え、4巡目で甲状腺がんと確定されたのは合計 16人となった。この 16人全員が甲状腺乳頭がんだった。
 
5巡目検査の結果

 2020年度から開始されている 5巡目検査は、COVID-19パンデミックによる休校措置などのために進捗が大幅に遅れている。そのため、通常の 2年間での実施が困難となり、小学校、中学校と特別支援学校では 3年間(2020年度分を 2年間、2021年度分を 2022年に繰り越し)、高等学校では 2021〜2年度の 2年間(2020年度実施校を除く)で実施するという、実施計画の変更案が公表された。

 2020年6月30日時点での一次検査受診者は 564人(うち 80人が県外受診)に留まり、うち 487人が 18歳以上(315人が 2020年度実施対象市町村、172人が 2021年度実施対象市町村)の住民だった。結果はまだ 41人でしか判定されておらず、うち 1人がB判定だった。この時点では、まだ二次検査は実施されていなかった。

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

1〜5巡目と25歳時節目検査の結果のまとめ

同情報は、「参考資料 4  甲状腺検査結果の状況」の6ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      54人(甲状腺がん 54人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     17人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 31(前回から変化なし)
手術症例      27人(前回から変化なし)(甲状腺がん 27人:乳頭がん 27人)
未手術症例       4人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 27(前回から 6人増)
手術症例      16人(前回から 3人増)(甲状腺がん 16人:乳頭がん 16人)
未手術症例     11人

本格検査(5巡目)
悪性ないし悪性疑い 0人
手術症例      0人
未手術症例     0人

25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 7(前回から変化なし)
手術症例      4人(前回から変化なし)甲状腺がん 4人:乳頭がん 3人、濾胞がん 1人)
未手術症例     3人

合計
悪性ないし悪性疑い 252人(良性結節を除くと251人
手術症例      203人(良性結節 1人と甲状腺がん 202人:乳頭がん 199人、低分化がん 1人、濾胞がん1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      49人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年 11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第 7 版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

前回検査の結果

2 巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 71人の 1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞 25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低 2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3 巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 31人の 2巡目での判定結果 
A1判定:7人
A2判定:14人(結節 4人、のう胞 10人)
B判定:7人
2巡目未受診:3人

4 巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 27人の 3巡目での判定結果  
A1判定:5人
A2判定:16人(結節 4人、のう胞 12人)
B判定:5人
3 巡目未受診:1人

25歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された7人の前回検査での判定結果  
A1判定:0人
A2判定:1人(結節かのう胞の内訳は未公表)
B判定:1人
2巡目未受診:5人


メモ:2020年8月31日に公表された甲状腺検査結果の数字の整理など

 

*末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節かのう胞)が、一箇所では公式に公表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。

 2020年8月31日に開催された第39回「県民健康調査」検討委員会では予想通り、2020年3月31日時点の年度末の結果が公表された。開催時期からして、本来なら2020年6月末のデータが公表されるべきなのだが、2019年の検討委員会が3回しか開催されなかったことから公表データがずれ始め、同じく3回のみの開催となった2020年も、各回で前回から3ヶ月分のデータしか公表されないままとなっている。検討委員会の開催回数が減っただけでなく、古い時期のデータしか報告されないということがニュー・ノーマルとなってしまい、親委員会であるはずの検討委員会がおざなりにされているという印象を否めない。諸事情で、これを執筆するのが4ヶ月以上経った年明けになってしまったが、2021年1月15日に開催予定である第40回検討委員会では、せめて2020年9月末時点のデータが公表されることを願いたい。

 第39回検討委員会では、2020年6月15日に開催された第15回甲状腺検査評価部会で先行公表された3巡目結果の確定版25歳時節目検査の結果、および2巡目の結果概要(2年ぶりの更新)と4巡目の実施状況が公表された。数字の動きのほとんどは4巡目に関するもので、新たに5人が悪性ないし悪性疑いと診断され、2人が手術で甲状腺乳頭がんと診断された。さらに、2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人中、未手術だった19人のうち2人で手術が施行され、いずれも甲状腺乳頭がんと確定したと報告された。(25歳時節目検査での数字の動きは、前回の”メモ”で説明済みである。)

 各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数は、「参考資料1 甲状腺検査結果の状況」にまとめられている。また、第39回検討委員会の議事録もすでに公表されている。

 全体的には、最近の公表データ(第15回甲状腺検査評価部会で公表された「参考資料1 甲状腺検査結果の状況」を参照)と比べると、悪性ないし悪性疑い例は5人増えて246人(良性1人含む)に、手術で甲状腺がんと確定された症例は、4人増えて200人となっている。

 また、前回の”メモ”では、 「若年型甲状腺癌研究会」という過剰診断論グループについて説明した。このグループには、大津留晶氏(福島医大)、祖父江友孝氏(大阪大学)、髙野徹氏(大阪大学)、津金昌一郎氏(国立がん研究センター)、緑川早苗氏(元・福島医大、現在は宮城学院女子大学)など、現役の委員、元委員、元スクリーニング担当者らが含まれている。このグループの一部として、「こどもを過剰診断から守る医師の会 Save Children from Overdiagnosis」(略称 SCO)というツイッターアカウントが2020年10月に開設されており、髙野氏、緑川氏、大津留氏らによる過剰診断論の周知に拍車がかかっているようである。

 緑川氏と大津留氏に至っては、日本内分泌学会の英文誌『Endocrine Journal』に掲載された福島医大による1〜2巡目の悪性ないし悪性疑い以外の細胞診結果についての論文への反論レターを投稿し、論文内での「過剰治療」という言葉の使い方が間違っているとの持論を展開し、最終的には学校検査の中止の提言までしている。しかし、過剰診断ありきの論調は、論理破綻しているようにしか読めない。

 さらに、髙野氏が、2019年6月に米国病理医学会の学術誌『Archives of Pathology and Laboratory Medicine』に掲載されたレターで、過剰診断が福島の子どもたちを危険に陥れていると書いていることに関しては、さすがの福島医大も看過できなかったようで、反論レターで甲状腺検査の正確な状況を説明する羽目となっている。

 福島医大にとって、最近まで医大に所属していた緑川氏と大津留氏の活動や、論文等を恣意的に解釈し、自論展開により過剰診断を推す髙野氏の存在は、目の上のたんこぶとしか言えないのであろうが、第三者からすると、どっちもどっちとしか言いようがない。


**********

現時点での結果

 これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。



*集計外症例の甲状腺がん11人の病理組織診断については、福島医大の横谷進氏らによる英語論文(こちら)で、11人すべてが乳頭がんである。

2巡目の結果

 2巡目結果に関しては、2018年6月18日の第31回検討委員会で結果概要の2017年度追補版が公表されて以来の更新となるが、今回公表された結果概要は、ほんの2ページに簡略されたものである。

  悪性ないし悪性疑いの人数は71人と変わりはなく、2014年度対象市町村の悪性ないし悪性疑い52人中、未手術だった13人のうち2人が手術を受け、甲状腺乳頭がんと診断された。これにより、手術症例は54人(甲状腺乳頭がん53人、その他の甲状腺がん1人)となった。

3巡目の結果

 3巡目結果の確定版は、前述のように、2020年6月の第15回甲状腺検査評価部会ですでに公表されたものが、2020年8月の第39回検討委員会でも公表されたことになり、前回の”メモ”で言及していた、「評価部会の資料は公式に英訳されないため、2巡目同様、3巡目の結果確定版の公式英訳も存在しない見込みである」という懸念は消えたと思われる。

 3巡目結果の動きに関しては、前回の”メモ”で説明したが、現時点での結果をまとめると以下のようになる。

 3巡目での悪性ないし悪性疑いは31人で、2巡目結果は、Aが21人(A1が7人、A2のう胞が10人、A2結節が4人)、Bが7人、未受診が3人である。

 手術症例は27人(甲状腺乳頭がん 27人)である。

4巡目の結果

 2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、新たに17,177人が一次検査を受診し、受診率は5.8%増えて61.4%となった。二次検査対象者は243人増えて1,327人となり、うち137人が新たに二次検査を受診し、15人が細胞診を受診した結果、5人が新たに悪性ないし悪性疑いと診断された。この5人の3人が男性(事故当時年齢9歳、11歳、12歳)で2人が女性(事故当時年齢は2人とも8歳)である。2人が中通り、3人が浜通りの住民で、女性1人が2018年度対象市町村の住民、残りの4人は2019年度対象市町村の住民である。この5人の3巡目の結果は、A2が4人(のう胞3人、結節1人)、Bが1人である。

 4巡目の悪性ないし悪性疑いは21人となり、前回結果は、A1が3人、A2のう胞が11人、A2結節が3人、Bが4人となる。
 
 手術症例は、2018年度実施市町村で3人増え、4巡目で甲状腺がんと確定されたのは合計13人となった。13人全員が甲状腺乳頭がんだった。
 
25歳時節目検査の結果

 2017年度から開始された25歳時節目検査の結果は、通常の甲状腺検査とは別に、6ヶ月ごとに公表されている。2019年度は1994年度生まれの人たちが対象だったので、今回公表されたデータは、1992〜4年度生まれの対象者における、2020年3月31日時点のものである。(受診は対象年度にとどまらず、次回の30歳時節目検査の前年まで可能で、追加の受診データも随時報告されていくことになっている。)詳細は、前回の”メモ”で説明したので、現時点での結果を以下にまとめる。

 25歳時節目検査の悪性ないし悪性疑いは7人で、前回検査は、A2(のう胞か結節かは未公表)が1人、Bが1人、未受診が5人である。

 手術症例は4人で、うち3人は甲状腺乳頭がん、1人は濾胞がんである。

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

1〜4巡目と25歳時節目検査の結果のまとめ

同情報は、「参考資料1 甲状腺検査結果の状況」の6ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      54人(甲状腺がん 54人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     17人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 31(前回から1人増)
手術症例      27人(前回から3人増)(甲状腺がん 27人:乳頭がん27人)
未手術症例       4人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 21(前回から5人増)
手術症例      13人(前回から2人増)(甲状腺がん13人:乳頭がん13人)
未手術症例     8人

25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 7(前回から3人増)
手術症例      4人(前回から3人増)甲状腺がん4人:乳頭がん3人、濾胞がん1人)
未手術症例     3人

合計
悪性ないし悪性疑い 246人(良性結節を除くと245人
手術症例      200人(良性結節 1人と甲状腺がん 199人:乳頭がん 196人、低分化がん 1人、濾胞がん1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      46人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

前回検査の結果

2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された31人の2巡目での判定結果 
A1判定:7人
A2判定:14人(結節4人、のう胞10人)
B判定:7人
2巡目未受診:3人

4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された21人の3巡目での判定結果  
A1判定:3人
A2判定:14人(結節3人、のう胞11人)
B判定:4人
3巡目未受診:0人

25歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された7人の前回検査での判定結果  
A1判定:0人
A2判定:1人(結節かのう胞の内訳は未公表)
B判定:1人
2巡目未受診:5人


メモ:2020年5月25日と6月15日に公表された甲状腺検査結果の数字の整理など


*5〜6月に公表されたデータ自体には大きな動きはなかったが、論文報告に関する議論や状況を記録として残すため、いつもの”メモ”よりも長い内容となっている。また、末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節かのう胞)が、一箇所では公式に公表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。


 2020年5月25日に開催された第38回「県民健康調査」検討委員会、ようやく2019年12月31日時点での3巡目4巡目の結果が公表され、新たに悪性ないし悪性疑いと診断された人はいなかったが、新たな手術症例5人(3巡目2人と4巡目3人)が甲状腺乳頭がんと確定したことが報告された。3巡目はまだ二次検査が終わっていないということで、結果の確定版は出なかった。

 しかし、そのわずか3週間後の6月15日に開催された第15回「県民健康調査」検討委員会「甲状腺検査評価部会」(以下、評価部会)では、3巡目検査結果の確定版が出され、6ヶ月ごとに報告されることになっている25歳時節目検査の結果も公表された。いずれも、2020年3月31日時点での結果であり、3巡目では新たに1人が悪性ないし悪性疑いと診断、1人が手術で甲状腺乳頭がんと確定したことが報告された。25歳時節目検査では、3人が悪性ないし悪性疑いと診断、3人で手術が施行され、うち2人が甲状腺乳頭がん、1人が甲状腺濾胞がんと診断されたことが公表された。

 3週間の間に、3巡目と25歳時節目検査では3月末までの3ヶ月分のデータがさらに公表されたのに、4巡目ではされなかったという不可思議な展開である。(福島県立医科大学の甲状腺検査部門長の志村己氏によると、今後、3巡目の結果を解析することになっている評価部会の場で、確定版の説明をしたいということであった。)さらに、各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数などがまとめられている「参考資料 甲状腺検査結果の状況」も、5月25日公表版が、3週間後には6月15日公表版に更新され、一部のデータが塗り替えられるという運びとなった。

 全体的には、前回の公表データ(2020年2月13日の第37回検討委員会で公表)と比べると、悪性ないし悪性疑い例は4人増えて241人(良性1人含む)に、手術で甲状腺がんと確定された症例は、9人増えて196人となっている。

 諸事情で、これらのデータについてまとめ始めるまで2ヶ月かかってしまった。8月31日には第39回検討委員会の開催が予定されているため、その前にまとめてしまおうと急いでいる。おそらく、8月31日に公表されるのは、2020年3月31日時点での年度末データであると思われる。今年は、昨年よりも、公表されるデータの時期がどんどんと古くなってしまっており、検討委員会への報告がおざなりにされているような印象を受けざるを得ない。

 さらに、新型コロナウイルスのパンデミックのために、4巡目の検査、特に学校検査が滞っており、今後の公表データに影響を及ぼすと思われる。また、現役の委員、元委員、元スクリーニング担当者らを含めた過剰診断論グループは、すでに独自の結論を持っており、 「若年型甲状腺癌研究会」というグループを通して活動を開始している。この研究会が、学校検査自体の存続に圧力をかけてくるのではないかと危惧される。(このグループのウェブサイトからは、主旨が分かりにくいかもしれないので、追記として補足した。)

 ちなみに、この研究会のメンバーには、大津留晶氏(福島医大)、祖父江友孝氏(大阪大学)、髙野徹氏(大阪大学)、津金昌一郎氏(国立がん研究センター)、緑川早苗氏(元・福島医大、現在は宮城学院女子大学)などが名を連ねているが、これらのメンバーが、検討委員会や評価部会で声高に過剰診断説を唱えていたのは記憶に新しい。祖父江氏と津金氏にいたっては、それぞれ、現任の評価部会員と検討委員でさえあり、現行の委員らが堂々とこのような研究会に参加していることに驚きを隠せない。


**********

現時点での結果

 これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。

*集計外症例の甲状腺がん11人の病理組織診断については、福島医大の横谷進氏らによる英語論文(こちら)で、11人すべてが乳頭がんである。

3巡目の結果

  前述の通り、2016年5月1日から開始されている3巡目検査の結果は、2019年12月19日時点のデータが第38回検討委員会で公表され、2020年3月31日時点のデータが、6月15日に開催された第15回評価部会で確定版として発表された。(ちなみに、評価部会の資料は公式に英訳されないため、2巡目同様、3巡目の結果確定版の公式英訳も存在しない見込みである。)以下、第37回検討委員会(2020年2月13日開催)で公表された2019年9月30日時点のデータ以降の変化を説明する。

 新たに17人が一次検査を受診したが、受診率は64.7%のままである。新たに二次検査を受診したのは3人、細胞診受診者は4人だった。うち、13市町村等避難区域在住で事故当時5歳で二次検査時12歳の男性1人が新たに悪性ないし悪性疑いと診断された。この男性の2巡目での判定結果は、A1だった。

 3巡目での悪性ないし悪性疑いは31人となり、2巡目結果は、Aが21人(A1が7人、A2のう胞が10人、A2結節が4人)、Bが7人、未受診が3人となる。

 手術症例は、2016年度対象市町村で1人、2017年度対象市町村で2人と、合計3人増えて27人(甲状腺乳頭がん 27人)となった。

4巡目の結果

 2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、2019年12月31時点のデータが最新となる。前回の9月30日時点のデータ以降の変化を説明する。

 新たに26,511人が一次検査を受診し、受診率は9.1%増えて55.6%となった。二次検査対象者は255人増えて1,084人となり、うち120人が新たに二次検査を受診し、5人が細胞診を受診したが、新たに悪性ないし悪性疑いと診断された人はいなかった。

 4巡目の悪性ないし悪性疑いは16人のままで、前回結果は変わりなく、A1が3人、A2のう胞が8人、A2結節が2人、Bが3人のままである。
 
 手術症例は、2018年度実施市町村で3人増え、4巡目で甲状腺がんと確定されたのは合計11人となった。11人全員が甲状腺乳頭がんだった。
 
25歳時節目検査の結果

 2017年度から開始された25歳時節目検査の結果は、通常の甲状腺検査とは別に、6ヶ月ごとに公表されている。2019年度は1994年度生まれの人たちが対象だったので、今回公表されたデータは、1992〜4年度生まれの対象者における、2020年3月31日時点のものである。(受診は対象年度にとどまらず、次回の30歳時節目検査の前年まで可能で、追加の受診データも随時報告されていくことになっている。)

 1,301人(1992年度生まれが16人、1993年度生まれが63人、1994年度生まれが1,222人)が新たに一次検査を受診したが、分母である対象者数が増えたため、受診率は前回より1.2%下がった8.4%となった。年度別にみると、1992年度生まれの受診率は変わらず9.9%、1993年度生まれでは0.3%上がって9.6%、1994年度生まれは5.5%である。1993年度生まれの対象者の対象年度である2018年度末の受診率は4.5%だったが、今ではその2倍以上となっているように、対象年度である対象年度に受診するとは限らないので、1994年度生まれの受診率も徐々に上がると予想されるとはいえ、受診率の低さが際立つ。

 二次検査対象者は46人増えて244人となり、23人が新たに二次検査を受診し、3人が細胞診を受診、3人全員が悪性ないし悪性疑いと診断され、この3人はすべて女性で、前回検査の結果は、Bが1人で未受診が2人だった。

 25歳時節目検査の悪性ないし悪性疑いは7人となり、前回検査は、A2(のう胞か結節かは未公表)が1人、Bが1人、未受診が5人である。

 また、新たに3人で手術が施行され、甲状腺がんが確定された。うち2人は乳頭がん、1人は濾胞がんである。今回公表された平均腫瘍径は、22.6 ± 15.6 mm(範囲 10.8〜49.9 mm)で、前回の平均腫瘍径(14.5 ± 2.7 mm, 範囲 12.3〜18.0 mm)の一倍半となっているが、これは、濾胞がんによると思われる最大腫瘍径49.9 mm のためであろう。

3巡目結果の地域比較

 第15回評価部会で公表された3巡目結果の確定版には、B・C判定者と悪性ないし悪性疑い者の割合を4地域で比較した表11が含まれている。

   中通りでの悪性ないし悪性疑い者率が6.6%と、他の3地域よりも極端に低いことに、部会員らの注目が集まった。性別や年齢などの要因に差異はみられないが、中通りでは細胞診実施率が低めで、細胞診を実施した場合に悪性ないし悪性疑いと診断される割合がかなり低かった。部会員からは、細胞診実施機関によって細胞診率や細胞診の判定が異なる可能性についての質問が出た。

 福島医大の甲状腺検査部門長の志村浩己氏によると、細胞診の判定基準は決まっており、県内の実施機関は福島医大に検体を送ることになっているため、県内ではほとんどの検体を福島医大が扱っているが、県外の実施機関では、その病院の方針に従い、院内で検体の判定を行う場合と、福島医大に検体を送る場合があるということだった。

 二次検査で細胞診を実施するかの適応評価については、県内では福島医大の複数の専門医らにより決定され、県外では、それぞれの専門医の判断によるということであった。


”大平解析”の論文の報告と問題点

   また、第15回評価部会では、前期の評価部会における2巡目の結果の解析(”大平解析’)の追加データが公表され、その解析にもとづいたとされる論文の報告があった。

 この大平解析とは、県民健康調査支援部門長の大平哲也氏により公表されたもので、UNSCEAR2013年報告書の市町村別推計甲状腺吸収線量により福島県内の59市町村を4区分し、6〜14歳と15歳以上の2つの年齢グループにおける甲状腺がんのオッズ比を出した解析である。しかし、4区分ごとの受診者数が未公表のため、「あとの数値が理解しにくい」解析の検証も不可能な状態であった。そもそも、牧野淳一郎氏が岩波『科学』2014年11月号で考察しているように、UNSCEARの推計甲状腺吸収線量自体が信頼できるものであるか疑わしい。(その考察は、こちらで特別公開されている。)

 また、前期の評価部会の目的は2巡目の結果の解析であったため、2巡目のデータを様々な調整因子で調整されたものも報告されたが、いずれも”実数”を伴わないグラフや表のみで、「何をどう調整したのか解釈のしようがない」と、部会員らから何度も困惑した発言が出ていた。しかし、最終的には、それらの未公表データを含む解析にもとづいて、部会員らがまともに把握できないうちに、「甲状腺検査本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくとの間の関連は認められない」という部会まとめ(最終版はこちら)が作成されたのである。(部会まとめ案を巡る経緯や問題点については、岩波『科学』2019年7月号電子版で詳しく説明した。PDFはこちら。)

 県民健康調査データの公表において、検討委員会や評価部会よりも学会・論文発表が優先されることは通常運転になっている。今回も例外ではなく、大平解析にもとづいた論文が学術誌に掲載されたということで、その解析で用いられた ”受診者数” が、追加データこちら)として公表された運びになる。現に、志村氏が、「大平先生の論文が公開されましたので、昨年6月に開催した第13回評価部会で公開された資料1-2について、受診者数を公表させていただきます」とはっきりと述べている。(動画リンク

 県民のものであるはずの県民データを、県民と共有する前に学術発表することについては、決して、検討委員や部会員らに黙認されてきたわけではない、しかし、それが横行しているのが現実で、鈴木元部会長も論文優先を容認している節がある。

 第35回検討委員会後の記者会見(動画リンク)では、大平氏が、実数データを出さなかったのは、「曲解されるおそれがあるために、部会長の判断で出さなかった」と発言している。同記者会見での鈴木部会長の発言は、途中段階のデータを出すことは、透明性が高いと思われるかもしれないが、オリジナリティのない論文を受け付ける査読付きの科学雑誌はないため、結局、そのデータが、どこからも評価されずに埋もれてしまう危険性があることを自分は気にしていて、大平先生がなるべく早く論文を書いて、データを公表できるようにしてほしいと思っている、というものだった。

 しかし、今回は、データの事後公表以外の問題が浮上した。祖父江友孝部会員が、「大平解析の解析法が論文で必ずしも採用されていない」と指摘したのである。大平氏の説明によると、大平解析の対象者は2巡目の6歳以上の受診者(175,268人)である一方、論文は、1巡目をベースラインとした追跡調査という位置づけで、1巡目と2巡目を両方受診した164,299人が対象となっているため、論文の方が人数が少ないというのだ。

 その上、驚くべきことに、前期も部会員だった祖父江部会員と片野田耕太部会員が、次々と、「Acknowledgement(謝辞)に自分の名前が載っているが、初耳だ」と発言したのである。祖父江氏の、「評価部会の資料から形が違う論文になっているが、改変をするのであれば知らせてほしかった」という発言に対し、大平氏は、「UNSCEARの甲状腺吸収線量を使った方向性としては先生方のご意見をいただいて来たので、謝辞に載せさせてもらったし、これについては先生方の了承を得たと思っている」と、返答した。

 片野田部会員は、「出版倫理の最新の基準からいうと、謝辞も含めて名前を入れる場合は、原稿も含めて事前に確認を取るのがあるべき姿」だと、当たり前のことを指摘したが、その当たり前のことを理解もせずに、論文を出したというのだろうか?

 そもそも、大平解析については、前述の通り、データの不透明性や、解析が立脚しているUNSCEARデータの信頼性という問題がある。鈴木部会長は、データのオリジナリティの保全のため、評価部会で実数データを出さないことを容認したが、最終的に出た論文では、その実数データが改変されていたわけである。

 また、今回の評価部会では、1〜3巡目の結果を、大平解析の解析法を用いて横断的に解析した資料も公表されたが、もともとの解析がきちんと検証されていないことを考えると、どこまで信頼できるのが疑問である。 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

1〜4巡目と25歳時節目検査の結果のまとめ

同情報は、「参考資料1 甲状腺検査結果の状況」の6ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     19人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 31(前回から1人増)
手術症例      27人(前回から3人増)(甲状腺がん 27人:乳頭がん27人)
未手術症例       4人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 16人(前回から変化なし)
手術症例      11人(前回から3人増)(甲状腺がん11人:乳頭がん11人)
未手術症例     5人

25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 7(前回から3人増)
手術症例      4人(前回から3人増)甲状腺がん4人:乳頭がん3人、濾胞がん1人)
未手術症例     3人

合計
悪性ないし悪性疑い 241人(良性結節を除くと240人
手術症例      196人(良性結節 1人と甲状腺がん 195人:乳頭がん 192人、低分化がん 1人、濾胞がん1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      45人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

前回検査の結果

2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された31人の2巡目での判定結果 
A1判定:7人(前回より1人増)
A2判定:14人(結節4人、のう胞10人)
B判定:7人
2巡目未受診:3人

4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された16人の3巡目での判定結果  
A1判定:3人
A2判定:10人(結節2人、のう胞8人)
B判定:3人
2巡目未受診:0人

25歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された7人の前回検査での判定結果  
A1判定:0人
A2判定:1人(結節かのう胞の内訳は未公表)
B判定:1人(前回より1人増)
2巡目未受診:5人(前回より2人増)


追記

上記の「現役の委員、元委員、元スクリーニング担当者らを含めた過剰診断論グループ」の結論とは、ここでも主張されている。

web.mgu-ac.work/essay/2072.htm (2020.8.31現在)

「福島では放射線被ばくによって甲状腺がんが増えているわけではありません」 

「福島では甲状腺がんスクリーニングを行うことによって、がんがたくさん「発見」されているに過ぎないのです。」 

「そしてそのがんの多くは検査を受けなければ、おそらく一生気付かずに過ごしただろう無害のがんです(過剰診断といいます)。」 

「そして検査を受けている福島の住民とその家族でさえ、その事実を知らずに検査を受けています。」


メモ:2020年2月13日発表の甲状腺検査結果の数字の整理など


*現在、新型コロナウイルス(COVID-19)関連の情報に気を取られて、なかなかこの記事をまとめることができないでいるのだが、まだ記憶が新しいうちに最低限の情報だけでも掲載することにした。
*末尾の「前回検査の判定結果のまとめ」に、25歳時節目検査のデータ(本文では言及されているが、まとめから漏れていた)を追加した。(2020年8月24日)


 2020年2月13日に、第37回「県民健康調査」検討委員会が開催され、2019年9月30日時点での3巡目(新たに1人が悪性ないし悪性疑いと診断、5人が手術により甲状腺がんと確定)、4巡目(新たに3人が悪性ないし悪性疑いと診断、7人が手術により甲状腺がんと確定)、25歳時節目検査(新たに2人が悪性ないし悪性疑いと診断、手術例の追加はなし)の結果が公表された。
 前回の開催(2019年10月7日)から4ヶ月ぶりの開催であり、時期的には2019年12月末までのデータが公表されるのかと期待されたが、9月末時点でのデータしか公表されなかった。
 各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数などは、「参考資料4 甲状腺検査結果の状況」にまとめられている。
 全体的には、悪性ないし悪性疑い例は6人増えて237人(良性1人含む)となり、うち187人で手術が実施され、186人が甲状腺がんと確定診断されている。

**********

現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。

*これまで不明だった、集計外症例11人の病理組織診断については、福島医大の横谷進氏らによる英語論文(こちら)から、11例すべてが乳頭がんであることが判明した。


3巡目の結果
  2016年5月1日から開始されている3巡目は、そろそろ終了に近づいているが、まだ数字に動きがあるため、結果の確定版が出されるには至らなかった。一次検査の受診率は64.7%で、二次検査を受診したのは8人、細胞診受診者は2人だった。
  今回、新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは、2017年度実施市町村からで、事故当時に浜通り在住で9歳だった女性の1人のみである。2巡目での判定結果は、A2結節だった。3巡目での悪性ないし悪性疑いは30人となり、2巡目結果は、Aが20人(A1が6人、A2のう胞が10人、A2結節が4人)、Bが7人、未受診が3人となる。手術症例は、2017年度対象市町村で5人増えて24人(甲状腺乳頭がん 24人)となった。

4巡目の結果
 2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、一次検査の受診率が6.4%増えて46.5%だった。二次検査を受診したのは92人で、6人が細胞診を受診した。
 新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは、事故当時に中通り在住の3人で、男性2人(事故当時年齢10歳が2人)と女性1人(事故当時年齢7歳)だった。2018年度実施市町村から2人、2019年度実施市町村から1人である。前回検査の結果は、A1が1人、A2のう胞が2人だった。4巡目の悪性ないし悪性疑いは16人となり、前回結果は、A1が3人、A2のう胞が8人、A2結節が2人、Bが3人ということになる。
 細胞診による腫瘍径の最大値が、前回までは17.2mmだったが、今回は29.4mmとなっている。
 手術症例は、2018年度実施市町村で7人増え、4巡目で8人が甲状腺がんと確定診断されたことになる。
 
25歳時節目検査の結果
 2017年度から開始された25歳時節目検査の結果は、通常の甲状腺検査とは別に、6ヶ月ごとに公表されているが、今回、1992〜3年度生まれの対象者における、2019年9月30日時点の結果が公表された。(受診は対象年度にとどまらず、次回の30歳時節目検査の前年まで可能で、追加の受診データも随時報告されていくことになっている。)
 一次検査は、1116人が新たに受診しており、受診率は前回の報告時よりも2.5%上がったとはいえ、9.6%という低さである。二次検査対象となるB判定は93人で、前回検査結果は、A1が7人、A2が27人、Bが31人、受診なしが28人である。

 二次検査を受診した62人のうち10人が細胞診を受診し、男性1人、女性1人の計2人が新たに悪性・疑いと診断され、25歳時節目検査の悪性ないし悪性疑いは4人となった。今回初めて、前回検査の結果が公表されたが、A2が1人、未受診が3人だった。A2がのう胞か結節かは公表されなかった。手術例は、今回追加なく、1人のままである。
 また、今回初めて、平均年齢(24.8 ± 0.5歳、事故当時17.0 ± 0.8歳)と、平均腫瘍径(14.5 ± 2.7 mm, 範囲 12.3〜18.0 mm)が公表されている。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

以下は、1〜4巡目と25歳時の節目検査の結果であるが、同情報は、「参考資料4 甲状腺検査の状況」の6ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     19人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 30(前回から1人増)
手術症例      24人(前回から5人増)(甲状腺がん 24人:乳頭がん24人)
未手術症例       6人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 16人(前回から3人増)
手術症例      8人(前回から7人増)
未手術症例     8人

25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 4人(前回から2人増)
手術症例      1人(前回から変化なし)

未手術症例     3人

合計
悪性ないし悪性疑い 237人(良性結節を除くと236人
手術症例      187人(良性結節 1人と甲状腺がん 186人:乳頭がん 184人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      50人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

前回検査での判定結果のまとめ

2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された30人の2巡目での判定結果 
A1判定:6人
A2判定:14人(結節4人、のう胞10人)(前回より、結節1人増)
B判定:7人
2巡目未受診:3人

4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された16人の3巡目での判定結果  
A1判定:3人(前回より1人増)
A2判定:10人(結節2人、のう胞8人)(前回より、のう胞2人増)
B判定:3人
2巡目未受診:0人

25歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された4人の前回検査での判定結果  
A1判定:0人
A2判定:1人(結節かのう胞の内訳は未公表)
B判定:0人
2巡目未受診:3人

メモ:2019年10月7日発表の甲状腺検査結果の数字の整理など


* 4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された13人で3巡目でA2と診断された8人の内訳が、正確には「A2結節が2人、A2のう胞が6人」であるところ、逆になっていたので訂正した。(2019年11月12日)

 2019年10
月7日に、第36回「県民健康調査」検討委員会が開催され、2019年6月30日時点での3巡目(新たに5例が悪性ないし悪性疑いと診断、1例が手術により甲状腺がんと確定)と4巡目(新たに8例が悪性ないし悪性疑いと診断、手術例なしの結果が公表された。
 各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数などは、「参考資料1 甲状腺検査の状況」にまとめられている。今回、初めて4巡目の年齢・性分布ヒストグラムが公開されている。

**********

現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数と、前回発表された25歳時節目検査の結果も含む、現時点での結果をまとめた。


第5期検討委員会および第3期甲状腺検査評価部会の委員名簿
 なお今回は、2011年5月27日に発足した検討委員会の第5期(任期は2019年8月1日〜2021年7月31日)となり、再任を含む新たな委員構成での開催となる。(検討委員名簿PDFはこちら。)「これまでの流れを変えないように」という堀川章仁氏の推薦で、星北斗氏が座長として再選された。
 新規の委員は、福島県臨床心理士会長の安部郁子氏(前任は成井香苗委員
)、量子化学技術研究開発機構の高度被ばく医療センター・副センター長である立崎英夫氏、環境省の田原克志氏(前任は梅田珠美氏)、日本甲状腺学会推薦で獨協医科大学教授の菱沼昭氏(前任は髙野徹氏)、弘前大学の三浦富智氏(前任は柏倉幾郎氏)、日本内分泌外科学会推薦で前期は甲状腺検査評価部会員を務めた甲状腺外科医の吉田明氏(前任は清水一雄氏)の6人である。立崎氏は新たに設けられた18人目の委員ポジションを占めることになる。(ちなみに、山下俊一氏が2019年4月1日付けで高度被ばく医療センター長に就任している。)

 また、開催は未定ながら、3巡目の結果を検討することになる第3期(任期は2019年8月1日〜2021年7月31日)の甲状腺検査評価部会の名簿も公表されている。福島県病院協会の推薦で会津中央病院の旭修司氏(前任は阿美弘文氏)、日本内分泌外科学会の推薦で東名古屋病院長の今井常夫氏(前任は吉田明氏)、日本病理学会の推薦で山梨大学の近藤哲夫氏(前任は加藤良平氏)、日本甲状腺学会の推薦で野口病院の村上司氏(前任は髙野徹氏)の4人の部会員が新任となった。


3巡目の結果
  2016年5月1日から開始されている3巡目では、新たに県外受診者35人を含む177人が受診し、182人で結果が判定された。一次検査受診率も結果判定率もそれぞれ前回と同じ64.7%と100.0%と安定している。
  一次検査でB判定とされた二次検査対象者は前回より9人増えて1499人となった。この9人のうち5人が2016年度対象市町村(南相馬市1人、郡山市3人、白河市1人)、4人が2017年対象市町村(いわき市1人、須賀川市1人、昭和村1人、会津若松市1人)の住民で、2巡目検査の結果は、A1が1人、A2が1人、Bが4人、未受診が3人だった。二次検査の受診者数は9人(2016年度2人、2017年度7人)増えて1090人となり、受診率は0.1%増えて72.7%となった。二次検査の結果確定数は、2016年度で3人増えて573人、2017年度で16人増えて465人と、計1038人となり、全体的な結果確定率は0.9%増えて95.2%となった。
  2017年度対象市町村から5人が細胞診を受診し、5人とも新たに悪性ないし悪性疑いと診断され、3巡目での悪性ないし悪性疑いは29人となった。この5人のうち2人が浜通り、3人が会津地方の住民で、男性が3人(事故当時年齢6歳、8歳、8歳)と女性が2人(同10歳、11歳)だった。2巡目での判定結果は、A1が1人、A2のう胞が2人、Bが2人だった。3巡目の悪性ないし悪性疑い29人の2巡目結果は、Aが19人(A1が6人、A2のう胞が10人、A2結節が3人)、Bが7人、未受診が3人となる。手術症例は、2017年度対象市町村で1例増えて19例(甲状腺乳頭がん 19例)となった。今回発表された手術症例は全体的に1例と少ない。次回発表のデータには夏休みに手術を受けた人が含まれることになる。
  3巡目以降、二次検査実施状況は、市町村別ではなく地域別でしか公表されなくなっている。「別表5 地域別二次検査実施状況」によると、二次検査を受診したのは中通り2人(20歳以上2人)、浜通り4人(10〜14歳1人、20歳以上3人)、会津地方3人(15〜19歳1人、20歳以上2人)で、二次検査受診率は、避難区域等13市町村75.5%、中通り73.8%、浜通り70.9%、会津地方68.8%と、ほぼ横並びとなっている。

4巡目の結果
 2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、一次検査対象者数が前回より31人増えて294158人、受診者は前回より13745人(2018年度1659人、2019年度12089人、うち県外受診者は2018年度549人と2019年度291人の計840人)増えて117899人(2018年度99948人、2019年度17951人)となった。一次検査受診率は、前回より4.7%増えて40.1%(2018年度59.5%、2019年度14.2%)となった。結果判定数は16120人(2018年度14167人、2019年度1959人)増えて105927人(2018年度98942人、2019年度6985人)となり、受診者の89.8%(前回より3.6%増)で結果が判定されている。B判定者数は、前回より64人増えて655人(2018年度562人、2019年度93人)となった。この64人のうち38人が2018年度対象市町村(南相馬市1人、田村市1人、福島市4人、郡山市31人、白河市1人)、26人が2019年度対象市町村(いわき市8人、須賀川市2人、浅川町2人、棚倉町2人、玉川村1人、下郷町1人、喜多方市1人、猪苗代町1人、会津美里町2人、会津坂下町4人、会津若松市2人)の住民で、この26人の3巡目検査の結果は、A1が4人、A2が31人、Bが24人、未受診が5人だった。
 一次検査受診者の88%が2019年度対象市町村、結果確定数の88%が2018年度対象市町村であり、2018年度対象市町村では受診率が59.5%で結果判定率が99.0%、2019年度対象市町村では受診率が14.2%で結果判定率が38.9%である。これまでの受診率が1巡目から3巡目まで81.7%、71.0%、64.7%と徐々に低下していることを考慮すると、2018年度受診者の結果は安定しつつあるといえ、2019年度対象市町村での検査はまだまだ進捗中であることがうかがえる。ちなみに、2019年度受診者17951人中8305人は7〜11歳、6680人は12〜17歳である。
 二次検査対象者655人中、前回から新たに81人(2018年度68人、2019年度13人)が二次検査を受診し、合計392人(2018年度352人、2019年度40人)となり、受診率は7.2%増えて59.8%となった。結果確定数は122人(2018年度109人、2019年度13人)増えて346人(2018年度316人、2019年度30人)となり、結果確定率は16.3%増えて88.3%となった。
 2018年度対象市町村から新たに12人が細胞診を受診し、8人が悪性ないし悪性疑いと診断され、4巡目での悪性ないし悪性疑いは13人となった。この8人は全員中通りの住民で、男性4人、女性4人である。4巡目では、今回初めて年齢・性分布のヒストグラムが公表されたため、この8人での年齢と性別は不明である。4巡目全体の13人では男性6人(事故当時年齢5歳が2人、7歳が2人、12歳が2人)、女性7人(同4歳が1人、6歳が1人、8歳が1人、9歳が1人、10歳が3人)である。
 8人の3巡目での判定結果は、A1が2人、A2のう胞が2人、A2結節が2人、Bが2人だった。4巡目の悪性ないし悪性疑い13人の3巡目結果は、Aが10人(A1が2人、A2のう胞が2 6人、A2結節が6 2人)、Bが3人となる。今回、4巡目での手術症例はなかった。
 「別表5 地域別二次検査実施状況」によると、二次検査を受診したのは、避難区域等13市町村6人(12〜17歳5人、18歳以上1人)が、中通り69人(6〜11歳19人、12〜17歳41人、20歳以上9人)、浜通り3人(20歳以上3人)、会津地方3人20歳以上3人)である。二次検査受診率は、避難区域等13市町村72.7%、中通り59.6%、浜通り45.2%、会津地方25.0%と、かなりのばらつきがみられる。

受診率の推移
 一次検査の受診率は、1巡目が81.7%、2巡目が71.0%、3巡目が64.7%、4巡目が40.0%、25歳時節目検査が7.1%である。二次検査の受診率は、1巡目が92.9%、2巡目が84.1%、3巡目が72.7%、4巡目が52.6%、25歳時節目検査が59.8%である。
 前回の記事でも言及しているが、最初から県民健康調査外での受診、あるいは二次検査から甲状腺検査実施機関以外の医療機関を受診という可能性もあると思われるが、完全な症例把握は困難な状況である。検討委員会および甲状腺検査評価部会では、全国・地域がん登録データからの拾い上げによる症例把握について言及されているが、これは理論的には可能ではあるもの、実情としては、がん登録データの精度という問題が存在する。(がん登録制度の問題点については、岩波『科学』電子版2019年7月号「第13回甲状腺検査評価部会で公表された部会まとめ案について」の11〜12ページを参照のこと。PDFリンク

前回検査結果との比較
  表4の前回検査結果との比較によると、前回検査が未受診だった人の受診者に対する割合は、2巡目で8.8%、3巡目で7.0%、4巡目では11.5%、25歳時節目検査では33.5%である。前回検査でB判定だった人がまたB判定となる割合は、2巡目で53.4%、3巡目で61.5%, 4巡目では78.4%、25歳時節目検査では69.1%である。
  (注:前回検査との比較表における「前回検査」とは、前回検査での一次検査の結果であり、二次検査後の再判定が反映された結果ではない。)

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

以下は、1〜4巡目と25歳時の節目検査の結果であるが、同情報は、「参考資料1 甲状腺検査の状況」の6ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     19人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 29(前回から5人増)
手術症例      19人(前回から1人増)(甲状腺がん 19人:乳頭がん19人)
未手術症例       6人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 13人(前回から8人増)
手術症例      1人(前回から変化なし)


25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 2人(前回から変化なし)
手術症例      1人(前回から1人増)

合計
悪性ないし悪性疑い 231人(良性結節を除くと230人
手術症例      175人(良性結節 1人と甲状腺がん 174人:乳頭がん 172人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      56人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された24 29人の2巡目での判定結果 (2019年11月12日に「24→29」と訂正)
A1判定:6人(前回より1人増)
A2判定:13人(結節3人、のう胞10人)(前回よりのう胞2人増)
B判定:7人(前回より2人増)
2巡目未受診:3人

4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された5 13人の3巡目での判定結果  (2019年11月12日に「5→13」と訂正)
A1判定:2人(前回より2人増)
A2判定:8人(結節6 2人、のう胞2 6人)(前回より結節2人とのう胞2人増)
B判定:3人(前回より2人増)
2巡目未受診:0人

メモ:2019年7月8日発表の甲状腺検査結果の数字の整理など


2019年7
月8日に、第35回「県民健康調査」検討委員会が開催され、2019年3月31日時点での3巡目(新たに3例が悪性ないし悪性疑いと診断、3例が手術により甲状腺がんと確定)と4巡目(新たに3例が悪性ないし悪性疑いと診断、1例が手術により甲状腺がんと確定)および25歳時節目検査(新診断数0、1例が手術により甲状腺がんと確定)の結果が公表された。

各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数などは、「参考資料2 甲状腺検査の状況」にまとめられている。なお、3巡目まで公表されている年齢・性分布ヒストグラムは、4巡目と25歳時節目検査では公表されていない。25歳時節目検査は、症例数が非常に少ないために現時点ではヒストグラムで出す必要性がないかもしれないが、4巡目では事故当時年齢による分布が不可視化されてしまっている。

3巡目の結果
  2016年5月1日から開始されている3巡目では、新たに県外受診者9人を含む26人が受診し、157人で結果が判定された。一次検査受診率は前回と変わらず64.7%、結果判定率は前回より0.1%増え100.0%と安定しており、一次検査に関しては、ほぼ確定していると思われる。
  一次検査でB判定とされた二次検査対象者は前回より3人増えて1490人となった。2人が福島市、1人がいわき市の住民で、2巡目検査はA2が1人、Bが1人、未受診が1人だった。二次検査の受診者数は22人(2016年度対象市町村で5人、2017年度対象市町村で17人)増えて1081人となり、受診率は1.4%増えて72.6%となった。二次検査の結果確定数は、2016年度対象市町村で2人増えて570人、2017年度対象市町村で22人増えて449人と、全体的には1019人となり、全体的な結果確定率は0.3%増えて94.3%となった。
  細胞診受診者は2017年度対象市町村から3人で、3人とも新たに悪性ないし悪性疑いと診断され、3巡目での悪性ないし悪性疑いは24人となった。3人とも浜通りの住民で、男性が1人(事故当時年齢6歳)と女性が2人(事故当時年齢5歳と13歳)だった。2巡目での判定結果は、A1が1人、A2のう胞が2人だった。A2判定の内訳(結節、のう胞)については、悪性ないし悪性疑い24人中、現時点で2巡目結果がA2判定だった11人の内訳が報告され、8人がのう胞、3人が結節ということだった。手術症例は、2017年度対象市町村で3例増えて18例(甲状腺乳頭がん 18例)となった。
  3巡目以降、さまざまなデータが公開されなくなっており、細胞診結果の平均年齢と平均腫瘍径は、年度別ではなく合計のみでしか報告されていない。また、(2019年10月13日訂正)二次検査実施状況は、市町村別ではなく地域別でしか公表されなくなっている。「別表5 地域別二次検査実施状況」によると、二次検査受診率は、避難区域等13市町村と中通りでわずかに増えて75.8%と75.0%、浜通りと会津地方では、前回よりそれぞれ3.5%と2.5%増えて69.9%と68.0%となった。二次検査受診者22人中16人が15〜19歳、6人が20歳以上、22人中12人が浜通りの住民である。細胞診実施者は3人のみで、前述のとおり3人とも浜通りの住民である。 

4巡目の結果
  2018年4月1日から開始されている4巡目(25歳節目検査対象者は除外)では、一次検査対象者数294127人中、前回より受診者が27175人増えて104145人(2018年度対象市町村で2 (2019年10月13日訂正)98292人、2019年度対象市町村で5862人)となったが、2018年度締めのデータであるため、増加人数の9割以上は2018年対象市町村で、2019年度対象市町村での進捗はこれからである。受診率は前回の1倍半弱の35.4%となった。結果判定数は29030人増えて89807人(2018年度対象市町村で84781人、2019年度対象市町村で5026人)となり、受診者の86.2%で結果が判定されている。B判定者数は、前回より164人増えて591人(2018年度実施市町村で524人、2019年度実施市町村で67人)となった。
  二次検査対象者524人中、前回から168人が二次検査を受診し、合計311人(2018年度対象市町村で284人、2019年度対象市町村で27人)となり、受診率は19.1%増え、52.6%だった。結果確定数は134人増えて90人となり、結果確定率は72.0%だった。新たに2018年度対象市町村5人が細胞診を受診し、3人が悪性ないし悪性疑いと診断された。
  前回悪性ないし悪性疑いと診断された2人では細胞診結果が公表されなかったが、今回はその2人を含めた5人(男性2人、女性3人)の詳細が公表された。ただし、3巡目まで公表されてきていた年齢分布のヒストグラムは公表されていないため、性別・年齢別の詳細は不明である。しかし、公表された事故当時平均年齢「7.2 ± 3.3歳(4〜12歳)」から、5人の中に事故当時4歳の人がいることがわかる。この5人の3巡目の結果は、4人がA2のう胞、1人がB判定だった。手術症例は1人で、乳頭がんだった。
  この5人のうち2人は避難区域等13市町村、3人は中通りの住民である。細胞診受診者11人のうち、4人が避難区域等13市町村、7人が中通りの住民であるが、いずれも細胞診受診者の半数が悪性ないし悪性疑いと診断されたことになる。


25歳時節目検査の結果
 2017年度から開始された25歳時節目検査の結果は、通常の甲状腺検査とは別に、6ヶ月ごとに公表される。1992年度生まれの対象者22653人における甲状腺検査の実施状況は、第33回検討委員会(2018年12月27日)に公表されており、ここにまとめてある。
 今回公表されたのは2019年3月31日時点(2018年度末時点)での結果で、2018年度の検査対象である1993年度生まれの対象者での受診状況が報告されている。また、受診は対象年度にとどまらず、次回の30歳時節目検査の前年まで可能で、追加の受診データも随時報告されていくことになっており、1992年度生まれの対象者の追加情報も含まれている。
 一次検査は、1991年度生まれの対象者
22653人からは今回の171人を追加した2176人が、1992年度生まれの対象者21889人からは985人が受診しており、受診率は、1991年度生まれで9.6%、1992年度生まれで4.5%、合わせて7.1%と、かなり低い。2288人で結果が判定されており、二次検査対象となるB判定は1991年度生まれから新たに6人、1992年度生まれからは11人と、合計17人出ている。この17人の前回検査結果は、A1が1人、A2が3人、Bが7人、受診なしが6人である。
 二次検査は、1991年度生まれからは前回から6人増えた73人、1992年度生まれから10人と合計83人が受診(受診率79.0%)し、うち80人で結果が確定している。4人がA2相当と再判定、76人がA1・A2相当以外となり、1991年度生まれの3人が新たに細胞診を受診したが、新たに悪性・疑いと診断された人はおらず、25歳時節目検査の悪性・疑い数は、前回野2人(男性1人、女性1人)のままである。この2人に関しては、腫瘍径データや市町村の公表は、今回もなかった。また、2人のうち1人は手術を受け、乳頭がんと確定診断されている。

受診率の推移
 一次検査の受診率は、1巡目が81.7%、2巡目が71.0%、3巡目が64.7%、4巡目が35.4%、25歳時節目検査が7.1%である。二次検査の受診率は、1巡目が92.9%、2巡目が84.1%、3巡目が72.6%、4巡目が52.6%、25歳時節目検査が79.0%である。
 最初から県民健康調査外での受診、あるいは二次検査から甲状腺検査実施機関以外の医療機関を受診という可能性もあると思われるが、完全な症例把握は困難な状況である。検討委員会および甲状腺検査評価部会では、全国・地域がん登録データからの拾い上げによる症例把握について言及されているが、これは理論的には可能ではあるもの、実情としては、がん登録データの精度という問題が存在する。(がん登録制度の問題点については、岩波『科学』電子版2019年7月号「第13回甲状腺検査評価部会で公表された部会まとめ案について」の11〜12ページを参照のこと。PDFリンク

前回検査結果との比較
  表4の前回検査結果との比較によると、前回検査が未受診だった人の受診者に対する割合は、2巡目で8.8%、3巡目で7.0%、4巡目では10.7%、25歳時節目検査では33.5%である。前回検査でB判定だった人がまたB判定となる割合は、2巡目で53.4%、3巡目で61.5%, 4巡目では78.9%、25歳時
節目検査では69.1%である。
  (注:前回検査との比較表における「前回検査」とは、前回検査での一次検査の結果であり、二次検査後の再判定が反映された結果ではない。)

***

現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数と、前回発表された25歳時節目検査の結果も含む、現時点での結果をまとめた。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

以下は、1〜4巡目と25歳時の節目検査の結果であるが、同情報は、「参考資料2 甲状腺検査の状況」の5ページ目にもまとめられている。

先行検査(1巡目)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例      102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん100人、低分化がん1人)
未手術症例      14人

本格検査(2巡目)
悪性ないし悪性疑い 71(前回から変化なし)
手術症例      52人(甲状腺がん 52人:乳頭がん 51人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例     19人 

本格検査(3巡目)
悪性ないし悪性疑い 24(前回から3人増)
手術症例      18人(前回から3人増)(甲状腺がん 18人:乳頭がん18人)
未手術症例       6人

本格検査(4巡目)
悪性ないし悪性疑い 5人(前回から3人増)
手術症例      1人(前回から1人増)


25歳時の節目検査 
悪性ないし悪性疑い 2人(前回から変化なし)
手術症例      1人(前回から1人増)

合計
悪性ないし悪性疑い 218人(良性結節を除くと217人
手術症例      174人(良性結節 1人と甲状腺がん 173人:乳頭がん 171人、低分化がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例***      44人

注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第7版内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された71人の1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人

3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された24人の2巡目での判定結果
A1判定:5人(前回より1人増)
A2判定:11人(結節3人、のう胞8人)(前回よりのう胞2人増)
B判定:5人
2巡目未受診:3人

4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された5人の3巡目での判定結果
A1判定:0人
A2判定:4人(のう胞4人)
B判定:1人
2巡目未受診:0人

メモ:2021年1月15日に公表された甲状腺検査結果の数字の整理など

  *末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節かのう胞)が、一箇所では公式に公表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。  2021年1 月15日に4ヶ月半ぶりに開催された 第 40 回「県民健康調査」検討委員会 では 、2020年6月30日時点の結果が公表され...