*末尾の「前回検査の結果」は、特にA2判定の内訳(結節、のう胞)が、まとめて公式発表されておらず探しにくいため、有用かと思われる。
2024年5月10日に第51回「県民健康調査」検討委員会(以下、検討委員会)が、 会場とオンラインのハイブリッド形式で開催された。
今回公表されたのは、5巡目と6巡目の 3ヶ月分のデータで、2023年12月末時点のものである。このブログでは、議事録などの公式情報のみでは察することが困難な「その時のリアルな印象」なども含め、備忘録的に記録している。今回は報告されたデータや数字の動きが小さかったこともあり、簡略化した記録に留めることにする。今回の記事では、新たに公表されたデータをまとめた上で、更新情報のない1〜4巡目のデータも記載している。
なお、記者会見を含まない会議自体の公式動画へのリンクは、配布資料ページの「動画配信」セクションに掲載されている。この公式動画は、2〜3ヶ月後に議事録が公表されると削除され、同セクションは「議事録について」に置き換えられる。なお、会議および記者会見は、Ourplanet-TVのアーカイブ動画で視聴できる。
甲状腺検査の結果について
今回報告されたのは5巡目と6巡目の 2023年12月31日時点のデータで、前回の第 50回検討委員会(2024年2月2日開催)で公表されたものに3ヶ月分が追加されたことになる。
6巡目の二次検査結果は今回も未公表で、新たに悪性ないし悪性疑いと診断されたのは 5巡目で 2人 、新たに手術で甲状腺がんと確定したのは 5巡目で 2人と、数字の動きは小さい。これで、これまでの悪性ないし悪性疑いは 330人(うち良性結節 1人)、手術で甲状腺がんと確定したのは 276人となった。
各検査回の一次・二次検査の結果概要、悪性ないし悪性疑いの人数、平均年齢と平均腫瘍径、および各年度ごとの手術症例の人数は「参考資料 1 甲状腺検査結果の状況」にまとめられている。
以下の表でも示されているが、公式データに含まれていない集計外症例も加えると、現時点での悪性ないし悪性疑いは408人(うち良性1人)、手術で甲状腺がんと確定したのは338人となる。
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現時点での結果
これまでに発表された集計外症例数を含む、現時点での結果をまとめた。
5巡目検査の結果
5巡目検査は 2020年度から開始され、COVID-19パンデミックによる遅延のため、通常の 2年間ではなく2022年度までの 3年間で実施されて来たが、数字の動きからほぼ終了に近いと思われる。参考として、2019年度までの実施予定だった 4巡目結果の確定版は、2022年6月末時点での集計データとして 2022年度終了間際の2023年3月20日に公表された。
2023年12月31日時点での一次検査受診者は9人増えて 113,950人(うち 7,968人が県外受診)で、うち5人が県外受診者である。結果判定数 113,946人、結果判定率 100%なので、一次検査は実質終了している。受診率は0.1%増えて 45.1%になったが、4巡目の 7割ほどにとどまっている。年齢階級別受診率は、8〜11歳で74.0%、12〜17歳で 57.8%、18歳以上で11.3%と、18歳以上で0.1%増えており、全体の受診率の変動がこの年齢層によるものであることがわかる。
二次査対象者は 1,346人のままだが、うち新たに32人が二次検査を受診し、3人が細胞診を受診した結果、2人が新たに悪性ないし悪性疑いと診断され、5巡目での悪性ないし悪性疑いは 45人となった。この 2人はどちらも2020年度対象市町村の女性(事故当時年齢 0歳と6歳)で、1人が浜通り、1人が中通りの住民だった、4巡目での判定は、1人が A1、1人が A2結節&のう胞だった。
まとめると、5巡目の悪性ないし悪性疑いは 45人(4巡目より6人増)となり、4巡目での結果は、A判定が33人(A1が 11人、A2のう胞が 20人、A2結節&のう胞が 2人)、B判定が 6人、未受診が 6人だった。
2020年度対象市町村から1人、2021年度対象市町村から1人が新たに手術を受け、5巡目では36人が甲状腺がんと確定し、36人すべてが甲状腺乳頭がんだった。
6巡目検査の結果
2023年度から始まった6巡目検査では、節目検査に移行する1998〜9年度生まれが外されたことで、 対象者は5巡目から 41053人少ない 211,885人となっている。2023年12月31日時点での受診者は 34,435人とほぼ倍となり、受診率も7.7%増えて 16.3%となった。このうち 81.1%の 27,927人で結果が判定されており、新たに214人がB判定を受け、結果判定数の 1.4%となる382人がB判定となった。二次検査は、進捗していないため結果は未公表である。
年齢階級別受診率は、11歳が 13.0%増えて39.0%、12〜17歳が 12.9%増えて27.3%、18〜24歳が 2.1%増えて3.7%だった。
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1〜6巡目と25歳時および30歳時節目検査の結果のまとめ
同情報は、「参考資料 1 甲状腺検査結果の状況」の 9ページ目にもまとめられている。
先行検査(1巡目)(結果確定版の2016年度追補版はこちら)
悪性ないし悪性疑い 116人(前回から変化なし)
手術症例 102人(良性結節 1人、甲状腺がん 101人:乳頭がん 100人、低分化がん1人)
未手術症例 14人
本格検査(2巡目)(結果確定版の2020年度更新版はこちら、手術症例更新版はこちら)
悪性ないし悪性疑い 71人(前回から変化なし)
手術症例 56人(前回から 1人増)(甲状腺がん 56人:乳頭がん 55人、その他の甲状腺がん**1人) 未手術症例 15人
本格検査(3巡目)(結果確定版の2020年度追補版はこちら)
悪性ないし悪性疑い 31人(前回から変化なし)
手術症例 29人(前回から変化なし)(甲状腺がん 29人:乳頭がん 29人)
未手術症例 2人
本格検査(4巡目)(結果確定版はこちら)
悪性ないし悪性疑い 39人(前回から 変化なし)
手術症例 34人(前回から 変化なし)(甲状腺がん 34人:乳頭がん 34人)
未手術症例 5人
本格検査(5巡目)(実施状況はこちら)
悪性ないし悪性疑い 45人(前回から 2人増)
手術症例 36人(前回から 2人増)(甲状腺がん 36人:乳頭がん 36人)
未手術症例 9人
本格検査(6巡目)(実施状況はこちら)
悪性ないし悪性疑い 0人
手術症例 0人
未手術症例 0人
25歳時の節目検査(実施状況はこちら)
悪性ないし悪性疑い 23人(前回から 変化なし)
手術症例 17人(前回から 変化なし)(甲状腺がん 17人:乳頭がん 16人、濾胞がん 1人)
未手術症例 6人
30歳時の節目検査(実施状況はこちら)
悪性ないし悪性疑い 5人(前回から 変化なし)
手術症例 3人(前回から 変化なし)(甲状腺がん 3人:乳頭がん 3人)
未手術症例 2人
合計
悪性ないし悪性疑い 330人(良性結節を除くと 329人)
手術症例 277人(良性結節 1人と甲状腺がん 276人:乳頭がん 273 人、低分化がん 1人、濾胞がん 1人、その他の甲状腺がん**1人)
未手術症例*** 53人(変化なし)
注**「その他の甲状腺がん」とは、2015年 11月に出版された甲状腺癌取り扱い規約第 7 版 内で、「その他の甲状腺がん」と分類されている甲状腺がんのひとつであり、福島県立医科大学の大津留氏の検討委員会中の発言によると、低分化がんでも未分化がんでもなく、分化がんではあり、放射線の影響が考えられるタイプの甲状腺がんではない、とのこと。
注*** 未手術症例の中には、福島県立医科大学付属病院以外での、いわゆる「他施設手術症例」が含まれている可能性があるため、実際の未手術症例数は不明である。
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前回検査の結果
2巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 71人の 1巡目での判定結果
A1判定:33人(エコー検査で何も見つからなかった)
A2判定:32人(結節 7人、のう胞 25人)
B判定: 5人(すべて結節、とのこと。先行検査では最低 2人が細胞診をしている)
先行検査未受診:1人
3巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 31人の 2巡目での判定結果
A1判定:7人
A2判定:14人(結節 4人、のう胞 10人)
B判定:7人
2巡目未受診:3人
4巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 39人の 3巡目での判定結果
A1判定:6人
A2判定:20人(結節 6人、のう胞 13人、結節&のう胞 1人)
B判定:9人
3巡目未受診:4人
5巡目で悪性ないし悪性疑いと診断された 45人の 4巡目での判定結果
A1判定:11人
A2判定:22人(のう胞 20人、結節&のう胞 2人)
B判定:6人
4巡目未受診:6人
25歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された 23人の前回検査での判定結果
A1判定:1人
A2判定:4人(結節 1人、のう胞 3人)
B判定:4人
未受診:14人
30歳時節目検査で悪性ないし悪性疑いと診断された 5人の前回検査での判定結果 (今回、初公表)
A1判定:0人
A2判定:1人(結節 0人、のう胞 1人)
B判定:1人
未受診:3人