Fukushima Voice original version   Fukushima Voice version 2 English

2014年10月24日金曜日

国際連合総会第69セッション第4委員会での日本代表のステートメントの和訳 


2014年10月24日の国連総会第69セッション第4委員会で、議題項目48「原子放射線の影響」についてステートメントを述べた13ヶ国のリストから、午後4時21分から25分の間に口述された日本代表のステートメントを和訳した。動画へのリンクはこちら。 ちなみに、昨年のステートメントの一部はこちら


***


日本代表によるステートメント
国際連合第69セッション第4委員会
議題項目48:原子放射線の影響

2014年10月24日


議長、

   まずは、国際連合第69セッション第4委員会での、特にこの重要な議題項目、「原子放射線の影響」においての、あなたの効果的な議長職に心からの謝辞を述べたいと思います。

   原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、日本が1955年以来の設立メンバー国でもありますが、電離放射線への被ばくの影響について科学的評価と報告を提供するという極めて重要な役割を果たしています。委員会の仕事は、われわれが放射線リスクを評価し、皆が恩恵を受ける放射線防護と安全基準を確立する助けとなっています。

   特に東京電力株式会社(TEPCO)の福島第一原子力発電所での2011年の事故に照らして、原子力技術の安全性に長年コミットしてきている国として、われわれは、委員会の仕事を高く評価しています。この点では、2013年4月に出版された報告書「電離放射線の線源、影響およびリスク」とその附属書「2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルと影響」を賞讃、そして感謝いたします。

   9月に、UNSCEAR委員長のカール=マグナス・ラーソン氏とそのチームが来日されました。福島で、訪問団は、最近出版された報告書についてのパグリック・ダイアログのイベントを開催されました。報告書は、他の点と共に、全体的には事故後の発がん率には変わりがないだろうと示しました。UNSCEARのこの報告書とパグリック・ダイアログは、科学的知識に基づいた知見を提供したために、歓迎されました。また、それらは、経験と学んだ教訓を国際コミュニティーと共有するにおいても役だっています。

議長、

   これらは、UNSCEARが原子力の安全性において果たしている極めて重要な役割の例のごく一部です。その重要な役割を認め、日本はこれまでも、そしてこれからもUNSCEARの活動を支援し続けます。これに関連して、今年の2月に、日本政府はUNSCEARに、全額$863,000の自主的な寄付を貢献したことを謹んでご報告いたします。

   結論として、私は、UNSCEARの重要な仕事に対する日本のコミットメントと支援が続くことを再確認したいと思います。

   議長、ありがとうございました。


***

原文


Statement by Japanese Delegation 
At the Meeting of the Fourth Committee
69th Session of the United Nations General Assembly 
On agenda item 48:
Effects of atomic radiation 

24 October 2014

Mr. Chairman,

At the outset, I would like to express our sincere appreciation for your Excellency’s effective chairmanship at the Committee during the 69th session of the United Nations General Assembly, in particular under this important agenda
item “Effects of atomic radiation.”

The United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation (UNSCEAR), to which Japan has been a founding member since 1955, plays a vital role in providing scientific assessments and reports on the effects of exposure to ionizing radiation. The work of the Committee helps us evaluate radiation risk and establish radiation protection and safety standards from which we all benefit.

As a country long committed itself to the safety of nuclear technology, particularly in light of the accident of 2011 at the Tokyo Electric Power Company (TEPCO)’s Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, we highlyvalue the work of the Committee. In this regard, we commend and appreciate the publication in April of the 2013 Report “Sources, Effects and Risks of Ionizing Radiation” and its annex “Levels and effects of radiation exposure due to the nuclear accident after the 2011 great east-Japan earthquake and tsunami”. 

In September, we welcomed the visit of Mr. Carl-Magnus Larsson, Chair of UNSCEAR, and his team to Japan. In Fukushima, the visiting delegation held public dialogue events on their recent published report. The report indicated, among other points, that overall, cancer rates would remain stable following the accident. This report by UNSCEAR and their public dialogues were well received as they provided the findings based on scientific knowledge. They have also been useful in sharing the experiences and the lessons learnt with the international community.

Mr. Chairman,

These are just some of the examples of the vital role that UNSCEAR plays in the safety of nuclear energy. In recognition of their important role, Japan has and will continue to support the activities of UNSCEAR. In this context, we are pleased to inform you that in February of this year, the Government of Japan made a voluntary contribution totaling 863,000 USD to UNSCEAR.

By way of conclusion, I would like to reaffirm Japan’s continued commitment and support to the important work of UNSCEAR.

I thank you, Mr. Chairman.

2014年10月21日火曜日

甲状腺検査の偽陽性について:岡山大学・津田敏秀教授の説明「診断学の基礎知識と甲状腺がん議論の整理」(第4.41版)

(注:2014年10月31日に、現時点での最終版の第4.41版に差し替えられた)


2014年10月20日午後2時より、環境省の「第12回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が開催された。その前日の2014年10月19日午前5時00分付けで、大岩ゆり記者による朝日新聞デジタル記事『甲状腺検査の問題指摘「がんの疑い」判定、福島の子に負担 専門家会議』が公表された。この記事は、環境省会議資料のリーク記事であった。その証拠に、会議冒頭で、環境省の得津馨参事官がこのように述べている。「それから、昨日、本会議の資料の一部と思われる内容が報道され、大変失礼致しました。今後とも引き続き科学的・医学的な見地から議論を続けてございますけれども、事務局と致しましては、資料の管理等、さらに気をつけて行きたいと思っております。」(動画

この記事では、会議で公表された「中間とりまとめのたたき台」に言及しており、中でも目を引いたのは次の記述であった。1,744人が「偽陽性」だとは初耳だったからである。

『たたき台では、無症状のまま問題にならないがんを見つける可能性や、がんではないのにがんの疑いがあると判定される「偽陽性」の増加、手術で合併症が起きる可能性などの問題点も指摘。これまで検査を受けた約30万人のうち1744人が偽陽性だったと認定した。うち381人は、超音波検査などを経て、甲状腺に針を刺す検査も受けたとしている。』

そしてこの供述は、環境省事務局配布資料3「中間とりまとめに向けた論点整理等(線量評価部分以外)」の10ページ目(画像)から引用されていたようだった。




「ここで言う偽陽性 とは、がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断されることを指す。 」と定義した上で、「一次検査で B 又は C 判定とされて二次検査を受診し結果が確定した 1,848 人のうち 1,744 人が、穿刺吸引細胞診を受けた 485 人のうち 381 人が、いずれも偽陽性であったと言える(悪性ないし悪性疑いと診断されたのは 104 人)。」と述べられている。
会議中に、福島県立医科大学副学長の阿部委員がこの供述に関して異議を唱え、福島医大としては、手術後に良性だと判明した1名のみが偽陽性だと考えている、と述べた。

会議を中継していたアワープラネットTVの白石草氏によると、会議終了後、得津参事官は「公衆衛生の世界では、一次検査で異常が見つかり、最終的に異常なしは全て偽陽性というんです」とコメントされたそうだ。

しかし、「がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断される」偽陽性が381人や1,744人となると、スクリーニングのデメリットが非常に大きくなってしまうが、そもそもこのような偽陽性の定義は正しいのか?

疫学の教授である、岡山大学の津田敏秀氏に問い合わせ、その返事を簡潔にまとめた。詳細は、この下に貼付けてある、津田氏の詳細な説明のPDFファイルを参照願いたい。


”結論から言うと、いずれもあっているし、いずれも舌足らずで間違っていると言えます。試験の記述式なら、バツにするかお情けの部分点でしょう。

阿部氏が福島医大での穿刺吸引細胞診の偽陽性例のことを言っているのであれば、正解です。もちろん、何の検査での偽陽性は明示した方が良いですが、この場合言わなくても分かるでしょう。環境省資料の、「穿刺吸引細胞診を受けた485人のうち381人が偽陽性」というのは、この検査陽性が「(穿刺吸引細胞診で)がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断される」と定義されていることが間違いなので混乱の元となっています。この場合の本来の485人は、「医師により穿刺吸引細胞診が必要と判断される」と定義されるからです。穿刺細胞診の話であれば、381人は偽陽性ではなく単なる陰性です。(下記の「診断学の基礎知識と甲状腺癌議論の整理」p. 11の表5の③を参照)穿刺吸引細胞診で陽性とされた者のうち「がんが無いにも関わらずがんがあるかもしれないと判断される」が検査陽性の定義であれば、偽陽性は正しくは阿部氏が言うように1人です(p.11の表5の③とp.12の表5の④を参照)。診断学の基礎として学ぶ、偽陽性というのは、検査毎に出てきます。偽陽性をどの検査について問題にしているのかを定義することが必要です。原則的に、1つの検査に感度と特異度があり、それぞれの検査に対して偽陽性例などを論じる必要があります。